世界の天然蜂蜜生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した1996年の最新データによると、世界の天然蜂蜜生産量ランキングにおいて、中国が184,000トンで1位、アメリカ合衆国が89,850トンで2位、トルコが62,950トンで3位となりました。日本の生産量は3,138トンで48位にランクインしており、アジア地域では中国やインドに比べて大幅に少ないことがわかります。これらのデータは、各国の農業生産構造、生態環境、そして蜂蜜消費市場の動向を反映しています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	184,000
2	アメリカ合衆国	北アメリカ	89,850
3	トルコ	アジア	62,950
4	アルゼンチン	南アメリカ	57,000
5	ウクライナ	ヨーロッパ	55,215
6	インド	アジア	52,000
7	メキシコ	南アメリカ	49,178
8	ロシア連邦	ヨーロッパ	46,228
9	スペイン	ヨーロッパ	27,312
10	エチオピア	アフリカ	27,000
11	カナダ	北アメリカ	26,980
12	オーストラリア	オセアニア	25,925
13	ケニア	アフリカ	24,300
14	タンザニア連合共和国	アフリカ	24,000
15	イラン（イスラム共和国）	アジア	23,600
16	アンゴラ	アフリカ	23,000
17	ブラジル	南アメリカ	21,173
18	フランス	ヨーロッパ	17,820
19	ハンガリー	ヨーロッパ	15,811
20	ドイツ	ヨーロッパ	14,674
21	ギリシャ	ヨーロッパ	14,200
22	ルーマニア	ヨーロッパ	11,157
23	中央アフリカ共和国	アフリカ	11,000
24	イタリア	ヨーロッパ	11,000
25	トルクメニスタン	アジア	9,500
26	ポーランド	ヨーロッパ	9,256
27	エジプト	アフリカ	8,991
28	ニュージーランド	オセアニア	8,610
29	大韓民国	アジア	8,449
30	マリ	アフリカ	7,729
31	ウルグアイ	南アメリカ	7,000
32	オーストリア	ヨーロッパ	6,500
33	チェコ	ヨーロッパ	5,433
34	ウズベキスタン	アジア	5,293
35	キューバ	南アメリカ	4,800
36	中国、台湾 中国省	アジア	4,791
37	ブルガリア	ヨーロッパ	4,608
38	アフガニスタン	アジア	4,107
39	エルサルバドル	南アメリカ	3,800
40	マダガスカル	アフリカ	3,800
41	カザフスタン	アジア	3,789
42	イギリス	ヨーロッパ	3,700
43	ポルトガル	ヨーロッパ	3,672
44	モロッコ	アフリカ	3,500
45	ベトナム	アジア	3,500
46	ベラルーシ	ヨーロッパ	3,443
47	モルドバ共和国	ヨーロッパ	3,362
48	日本	アジア	3,138
49	スロバキア	ヨーロッパ	3,043
50	タイ	アジア	3,000
51	スウェーデン	ヨーロッパ	2,773
52	カメルーン	アフリカ	2,769
53	アルジェリア	アフリカ	2,500
54	イスラエル	アジア	2,500
55	グアテマラ	南アメリカ	2,430
56	チュニジア	アフリカ	2,300
57	キルギスタン	アジア	1,845
58	スロベニア	ヨーロッパ	1,800
59	レバノン	アジア	1,738
60	パラグアイ	南アメリカ	1,500
61	北マケドニア	ヨーロッパ	1,359
62	アルメニア	アジア	1,350
63	ドミニカ共和国	南アメリカ	1,337
64	ノルウェー	ヨーロッパ	1,266
65	シリア・アラブ共和国	アジア	1,260
66	コスタリカ	南アメリカ	1,237
67	スイス	ヨーロッパ	1,175
68	南アフリカ	アフリカ	1,074
69	パキスタン	アジア	1,000
70	フィンランド	ヨーロッパ	1,000
71	リトアニア	ヨーロッパ	956
72	クロアチア	ヨーロッパ	944
73	シエラレオネ	アフリカ	920
74	チャド	アフリカ	918
75	グルジア	アジア	797
76	エクアドル	南アメリカ	780
77	ジャマイカ	南アメリカ	752
78	リビア	アフリカ	750
79	イエメン	アジア	742
80	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	720
81	アルバニア	ヨーロッパ	705
82	ハイチ	南アメリカ	684
83	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	604
84	ラトビア	ヨーロッパ	563
85	東ティモール	アジア	517
86	ギニア	アフリカ	484
87	パレスチナ国	アジア	476
88	キプロス	アジア	450
89	サモア	オセアニア	372
90	モザンビーク	アフリカ	360
91	エストニア	ヨーロッパ	335
92	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	319
93	アゼルバイジャン	アジア	300
94	ニカラグア	南アメリカ	300
95	ウガンダ	アフリカ	280
96	ザンビア	アフリカ	270
97	ブルンジ	アフリカ	260
98	アイルランド	ヨーロッパ	200
99	ホンジュラス	南アメリカ	166
100	セネガル	アフリカ	165
101	サウジアラビア	アジア	144
102	パプアニューギニア	オセアニア	125
103	ミャンマー	アジア	122
104	ベリーズ	南アメリカ	90
105	スリナム	南アメリカ	86
106	ギニアビサウ	アフリカ	84
107	ガイアナ	南アメリカ	74
108	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	62
109	イラク	アジア	61
110	フィジー	オセアニア	61
111	プエルトリコ	南アメリカ	52
112	レユニオン	アフリカ	50
113	ヨルダン	アジア	50
114	ニューカレドニア	オセアニア	43
115	フランス領ポリネシア	オセアニア	30
116	タジキスタン	アジア	19
117	トンガ	オセアニア	14
118	モンゴル	アジア	8
119	ニウエ	オセアニア	7
120	ツバル	オセアニア	1
121	クック諸島	オセアニア	1
+ すべての国を見る

1996年度の天然蜂蜜生産量ランキングでは、中国が総生産量の面で圧倒的な1位を占めています。同国の生産量（184,000トン）は2位のアメリカ合衆国の2倍を超えており、蜜源植物の豊富さや大規模な養蜂産業の存在がその要因と考えられます。また、中国の広大な国土面積と地域ごとの多様な気候条件は、蜂蜜生産に必要な花粉資源を提供し続ける能力を持ちます。しかし、中国は国内需要も大きく、同時にアジア近隣諸国や世界市場への輸出にも力を入れているため、品質管理や持続可能な生産モデルの確立が今後の課題となるでしょう。

一方、2位のアメリカ合衆国（89,850トン）では、森林農業地域での蜜蜂飼育が盛んです。しかし、同国における大規模商業農業と農薬使用の増加は、蜂群崩壊症候群（CCD）と呼ばれる蜜蜂の減少問題を悪化させてきました。この現象は、必然的に国内の蜂蜜生産量に影響を及ぼすため、農業政策の中で農薬削減策を進めるとともに、専門的な養蜂業への支援が重要となります。

トルコ（62,950トン）やアルゼンチン（57,000トン）、ウクライナ（55,215トン）が上位にランクインしている点も注目すべきです。トルコは地中海性気候や蜜源植物の多さが生産の強みであり、特にアナトリア地方は特産品となる蜂蜜を多く生産しています。また、アルゼンチンは広大な牧草地帯を利用して質の高い蜂蜜を作ることで国際市場での競争力を高めています。ただし、これらの地域では気候変動による異常気象の頻発が蜜源の供給に不安定要素を与える可能性があり、温暖化対策の一部として生態系保全活動が必要となるでしょう。

アジアではインドが52,000トンを生産して6位、韓国が8,449トンで29位、日本が3,138トンで48位となりました。日本はその土地面積や気候から大量生産には向かない環境にありますが、国内での品質重視と高級蜂蜜ブランドの育成によって、独自の生産方針を打ち出しています。しかし、国内生産だけでは需要を賄いきれないため、大量の蜂蜜を輸入に依存する状況が続いています。これを改善し、安定した供給を確保するためには、国内での蜂蜜生産を支援し、同時に輸入品の品質評価を更に強化する必要があります。

地域別の課題としては、アフリカ諸国で見られる蜂蜜生産の不均衡に触れるべきです。エチオピア（27,000トン）やケニア（24,300トン）は自然環境に恵まれた地域ですが、技術的な知識不足やインフラの制限に直面しており、生産性向上の余地があります。また、内戦や政情不安が長期的な農業・蜂蜜産業の持続性に悪影響を及ぼしつつあります。国際機関やNGOによる技術支援や安定的な商業インフラの整備が急務となっています。

地政学的な観点では、紛争地帯や経済制裁下にある国々（例：シリア、イランなど）の蜂蜜生産量が停滞していることも注目すべきです。また、蜂蜜のような高付加価値農産物は、地域経済の成長に寄与しますが、一方で市場参入障壁が高いため、発展途上国の輸出拡大は困難な局面を持っています。

2050年に向けては、気候変動、成長する人口、食料安全保障問題とともに、蜂蜜産業の持続性強化が求められます。具体的な対策としては、まずは養蜂の専門教育を推進し、生産技術を普及させることです。次に、国際連携を高め、天然資源を保護しつつも効率的な資源利用を可能にする枠組みを形成すべきです。さらに、消費国側では、地元の蜂蜜消費を促進し、市場の安定化を目指すための取り組みが求められるでしょう。

結論として、このデータは単なる生産量のランキングで終わるものではなく、各国の農業政策、環境問題、貿易関係、地政学的要因が複雑に絡み合った現状を反映しています。世界の各国および国際機関は、長期的な視点で持続可能な養蜂業の確立を目指す必要があります。