国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ブルガリアの羊の毛生産量は大きな変遷をたどってきました。1960年代から1980年代中盤までは増加傾向にあり、ピーク時である1984年には36,158トンを記録しましたが、1990年代以降急激に減少しました。2017年には2,946トンとなり、過去50年以上で約1割以下の水準にまで縮小しています。この減少は、国内の経済情勢、農業政策の変化、および農村人口の減少など、複数の要因によると考えられます。
ブルガリアの羊の毛生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 2017年 | 2,946 |
24.04% ↑
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| 2016年 | 2,375 |
-24.7% ↓
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| 2015年 | 3,154 |
24.08% ↑
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| 2014年 | 2,542 |
-13.6% ↓
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| 2013年 | 2,942 |
13.2% ↑
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| 2012年 | 2,599 |
-10.78% ↓
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| 2011年 | 2,913 |
-4.74% ↓
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| 2010年 | 3,058 |
-0.23% ↓
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| 2009年 | 3,065 |
-6.24% ↓
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| 2008年 | 3,269 |
-26.08% ↓
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| 2007年 | 4,422 |
-17.37% ↓
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| 2006年 | 5,352 |
-17.66% ↓
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| 2005年 | 6,500 | - | |
| 2004年 | 6,500 | - | |
| 2003年 | 6,500 | - | |
| 2002年 | 6,500 |
-1.04% ↓
|
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| 2001年 | 6,568 |
-5.85% ↓
|
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| 2000年 | 6,976 |
-12.8% ↓
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| 1999年 | 8,000 | - | |
| 1998年 | 8,000 |
8.31% ↑
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| 1997年 | 7,386 |
-19.81% ↓
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| 1996年 | 9,211 |
4.79% ↑
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| 1995年 | 8,790 |
-23.68% ↓
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| 1994年 | 11,518 |
-18.16% ↓
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| 1993年 | 14,073 |
-26.35% ↓
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| 1992年 | 19,109 |
-17.99% ↓
|
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| 1991年 | 23,302 |
-16.21% ↓
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| 1990年 | 27,811 |
-2.54% ↓
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| 1989年 | 28,536 |
-6.91% ↓
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| 1988年 | 30,654 |
-2.84% ↓
|
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| 1987年 | 31,550 |
-4.86% ↓
|
|
| 1986年 | 33,163 |
-1.74% ↓
|
|
| 1985年 | 33,751 |
-6.66% ↓
|
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| 1984年 | 36,158 |
0.62% ↑
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| 1983年 | 35,935 |
3.01% ↑
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| 1982年 | 34,886 |
-0.21% ↓
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| 1981年 | 34,959 |
-0.38% ↓
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| 1980年 | 35,092 |
-0.05% ↓
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| 1979年 | 35,109 |
2.5% ↑
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| 1978年 | 34,254 |
0.61% ↑
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| 1977年 | 34,046 |
0.6% ↑
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|
| 1976年 | 33,844 |
-0.5% ↓
|
|
| 1975年 | 34,014 |
3.07% ↑
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| 1974年 | 33,002 |
2.4% ↑
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|
| 1973年 | 32,229 |
2.42% ↑
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| 1972年 | 31,469 |
5.81% ↑
|
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| 1971年 | 29,740 |
3.26% ↑
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| 1970年 | 28,800 |
1.77% ↑
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| 1969年 | 28,300 |
-2.08% ↓
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| 1968年 | 28,900 |
6.25% ↑
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| 1967年 | 27,200 |
6.67% ↑
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| 1966年 | 25,500 |
-1.16% ↓
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| 1965年 | 25,800 |
1.57% ↑
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| 1964年 | 25,400 |
7.17% ↑
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| 1963年 | 23,700 |
3.95% ↑
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| 1962年 | 22,800 |
-1.72% ↓
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| 1961年 | 23,200 | - | |
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ブルガリアの羊の毛生産量は、1960年代から1980年代にかけて順調に増加し、当時の農業部門の活性化や牧羊業の重要性を反映していました。特に1970年代後半から1980年代半ばにかけては、毎年35,000トンを超える生産が達成され、国内外における羊毛の供給源としての地位を高めていました。この時期、ソビエト圏の計画経済の影響下にあったため、畜産業全体に支援政策が強化されていたことが背景にあります。
しかし、1989年の社会主義体制崩壊以降、ブルガリアの羊の毛生産量は急激に減少しました。自由市場経済への移行に伴い、国家の支援が縮小し、農業と畜産業全般が困難な状況に直面しました。1993年から1994年にかけて、わずか14,073トンから11,518トンまで落ち込み、その後も減少傾向が続きました。2000年代にはさらに深刻な状況となり、生産量は一気に1桁台の小幅な推移に移行し、2010年以降の平均生産量は約3,000トン前後に留まっています。
この低迷にはいくつかの要因が挙げられます。一つは、農村部の人口減少と高齢化です。特に若年層の都市への移動が進み、農業労働力が減少しました。また、欧州連合(EU)加盟後、共通農業政策の一環として多くの集中放牧地が再編され、羊毛生産の効率性に影響を与えました。さらに、羊毛そのものの市場需要の変化も考慮すべきです。世界的に合成繊維の利用が増え、羊毛の需要が低下しているため、生産者の収益力が低下しました。
こうした状況を打破するためには、いくつかの対策が考えられます。第一に、農村地域の開発支援を強化することが必要です。具体的には、若年層による農業参入を促進するための補助金支給や教育プログラムの導入が求められます。第二に、羊毛の生産効率を向上させる新技術の導入や、付加価値を高めるための加工施設の整備も重要です。ブルガリアならではの高品質な羊毛をブランド化し、国内外の市場で競争力を獲得することが期待されます。また、国家間での協力も視野に入れ、EUの農業関連基金を最大限活用することが可能です。
一方で、地政学的視点も忘れてはなりません。ブルガリアは地域的にはバルカン半島に位置し、国際市場へのアクセスが他の欧州諸国と比べて制限されています。そのため、輸出産業としての羊毛生産を再活性化するには、輸送インフラの整備も鍵となります。さらに、気候変動や農地の過度な利用が環境に影響を及ぼすリスクにも対処する必要があります。
結論として、ブルガリアの羊毛生産の歴史的な推移は、経済構造の急激な変化や社会的背景に強く結びついています。今後は、国内政策と国際的支援の両方が必要とされます。合理的な農業支援政策や地域開発の促進を通じて、持続可能な羊毛生産の再興が期待されます。
ブルガリアの統計データ
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