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ブルガリアの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ブルガリアの大麦生産量は2023年に797,220トンを記録しました。1960年代から現在まで大きな変動が見られ、1970年代後半にはピークを迎えたものの、その後は不安定な推移を示しています。2023年の生産量は、過去数十年間の歴史的な平均と比べれば低めの水準にあります。近年の生産量の増減には、気候変動、農業政策の変更、国際的な市場価格の影響など複数の要因が関与しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 797,220
27.64% ↑
2022年 624,600
-11.29% ↓
2021年 704,070
24.32% ↑
2020年 566,320
0.56% ↑
2019年 563,150
25.51% ↑
2018年 448,700
-24.62% ↓
2017年 595,237
-13.72% ↓
2016年 689,850
-1.15% ↓
2015年 697,863
-18.11% ↓
2014年 852,231
16.93% ↑
2013年 728,836
10.11% ↑
2012年 661,932
-6.38% ↓
2011年 707,022
-15.15% ↓
2010年 833,271
-2.96% ↓
2009年 858,679
-2.2% ↓
2008年 878,001
109.17% ↑
2007年 419,762
-23.16% ↓
2006年 546,292
-16.96% ↓
2005年 657,863
-44.29% ↓
2004年 1,180,836
124.93% ↑
2003年 524,990
-56.66% ↓
2002年 1,211,435
30.13% ↑
2001年 930,918
38.02% ↑
2000年 674,461
3.16% ↑
1999年 653,799
-8.83% ↓
1998年 717,105
-11.45% ↓
1997年 809,841
77.34% ↑
1996年 456,669
-61.06% ↓
1995年 1,172,650
2.58% ↑
1994年 1,143,200
22.59% ↑
1993年 932,530
-21.95% ↓
1992年 1,194,726
-20.44% ↓
1991年 1,501,617
8.23% ↑
1990年 1,387,396
-11.75% ↓
1989年 1,572,058
19.76% ↑
1988年 1,312,655
20.27% ↑
1987年 1,091,450
-4.61% ↓
1986年 1,144,212
43.09% ↑
1985年 799,628
-37.49% ↓
1984年 1,279,177
22.15% ↑
1983年 1,047,198
-27.07% ↓
1982年 1,435,860
2.13% ↑
1981年 1,405,969
2.22% ↑
1980年 1,375,483
-10.47% ↓
1979年 1,536,355
3.23% ↑
1978年 1,488,338
0.46% ↑
1977年 1,481,480
-16.84% ↓
1976年 1,781,493
4.85% ↑
1975年 1,699,034
3.86% ↑
1974年 1,635,815
19.59% ↑
1973年 1,367,884
-4.12% ↓
1972年 1,426,690
13.84% ↑
1971年 1,253,277
7.39% ↑
1970年 1,167,015
28.94% ↑
1969年 905,102
12.09% ↑
1968年 807,446
-18.06% ↓
1967年 985,375
-7.38% ↓
1966年 1,063,936
21.46% ↑
1965年 875,936
14.7% ↑
1964年 763,664
23.63% ↑
1963年 617,680
3.08% ↑
1962年 599,200
-2.01% ↓
1961年 611,517 -

ブルガリアの大麦生産量は、1961年に611,517トンからスタートし、1970年代後半には年間170万トンを超える大幅な増加を記録しました。この時期の大麦生産量の伸長は、化学肥料や農業技術の進歩、集中的な農業政策の影響が大きいと考えられます。しかし、1990年代以降にブルガリアが社会・経済体制の変革を迎えると、農業構造にも大きな影響が生じ、1996年には456,669トンと大幅な減少を記録しました。この年の生産量は、1960年代以降で最も低い値となっています。

2000年代に入って以降、ブルガリアの大麦生産量は再び回復傾向を見せるものの、750,000トン前後で推移する不安定な状況が続いています。2018年の448,700トンは過去10年間で特に低い水準でしたが、その後2021年には704,070トン、最新データの2023年には797,220トンと回復基調にあります。このような変動は、気候条件(特に降水量や気温)、土地の肥沃度、そして政府の農業支援政策の影響が主な要因となっているでしょう。

大麦はブルガリアの農業および経済的な重要作物であり、特に国内の家畜飼料や醸造原料として需要があります。その一方で、世界的な価格競争が激化しているため、大麦の輸出収益の確保が課題となっています。例えば、アメリカやフランスといった主要な大麦生産国やEU内での競争が、ブルガリアの生産者に影響を与えています。また、近年では気候変動による深刻な干ばつや洪水がブルガリアを含む欧州地域に及び、大麦生産の安定性を脅かしています。

ブルガリアの大麦生産の課題としては、農地の適切な管理、気候変動への適応技術の導入、そして農業従事者の高齢化問題が挙げられます。特に気候変動の影響は深刻で、干ばつや不規則な降雨量が収量に与える影響は無視できません。この点については、高品質な耐干ばつ性の品種開発や水資源の効率利用技術を進める必要があります。さらに、若い世代への農業の魅力を高める政策やEUの補助金制度を活用した支援も求められるでしょう。

加えて、国際的な地政学的状況も無視できない要因です。ウクライナ戦争を背景にした穀物輸送の不安定性や、エネルギー価格高騰は、ブルガリアの農業経済に圧力を与え続けています。これにより肥料や燃料のコストが上昇し、農業経営者の収益を圧迫しているため、これらの問題に対する解決策の策定が急務です。

今後、ブルガリア政府や国際機関が取るべき具体的な対策として、気候変動適応型農業への移行、農民への財政面での支援強化、そしてEU内での農業関連の地域協力の枠組み作りが挙げられます。また、ICT(情報通信技術)を活用したスマート農業へのシフトにより、効率的かつ持続的な生産が可能になると期待されます。

ブルガリアの大麦生産量の推移は、不安定ではあるものの、潜在的な改善余地を多く持っています。適切な政策の導入と長期的な戦略を通じて、持続可能な農業の実現が目指されるべきです。