世界の天然蜂蜜生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

1980年の世界の天然蜂蜜生産量ランキングによると、中国が約120,000トンを生産し圧倒的な1位でした。次いでアメリカ合衆国が90,608トン、メキシコが65,245トンでそれに続きます。これら上位3か国だけで全体の約35％の生産量を占めています。一方、日本は6,211トンで24位となり、生産量では上位国との差が大きいことが分かります。天然蜂蜜の生産量は、気候条件や農業の発展度、養蜂技術などに大きく影響を受けるため、地域ごとに大きなばらつきがあります。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	120,000
2	アメリカ合衆国	北アメリカ	90,608
3	メキシコ	南アメリカ	65,245
4	インド	アジア	45,000
5	アルゼンチン	南アメリカ	37,600
6	カナダ	北アメリカ	29,235
7	トルコ	アジア	25,170
8	オーストラリア	オセアニア	24,954
9	アンゴラ	アフリカ	16,000
10	ドイツ	ヨーロッパ	14,907
11	ルーマニア	ヨーロッパ	14,421
12	ハンガリー	ヨーロッパ	13,624
13	スペイン	ヨーロッパ	12,513
14	ギリシャ	ヨーロッパ	11,541
15	ケニア	アフリカ	10,840
16	フランス	ヨーロッパ	10,063
17	ブルガリア	ヨーロッパ	9,873
18	タンザニア連合共和国	アフリカ	9,500
19	ポーランド	ヨーロッパ	8,906
20	ニュージーランド	オセアニア	7,489
21	キューバ	南アメリカ	7,300
22	エジプト	アフリカ	7,241
23	モロッコ	アフリカ	6,300
24	日本	アジア	6,211
25	ブラジル	南アメリカ	6,202
26	中央アフリカ共和国	アフリカ	6,000
27	イラン（イスラム共和国）	アジア	5,170
28	チリ	南アメリカ	5,000
29	イタリア	ヨーロッパ	4,000
30	グアテマラ	南アメリカ	3,440
31	マダガスカル	アフリカ	3,072
32	アフガニスタン	アジア	3,000
33	オーストリア	ヨーロッパ	3,000
34	ポルトガル	ヨーロッパ	2,966
35	スイス	ヨーロッパ	2,573
36	大韓民国	アジア	2,533
37	スウェーデン	ヨーロッパ	2,382
38	エルサルバドル	南アメリカ	2,200
39	カメルーン	アフリカ	2,200
40	コロンビア	南アメリカ	2,100
41	イギリス	ヨーロッパ	2,000
42	イスラエル	アジア	1,650
43	ウルグアイ	南アメリカ	1,448
44	ホンジュラス	南アメリカ	1,410
45	ドミニカ共和国	南アメリカ	1,300
46	アルジェリア	アフリカ	1,200
47	フィンランド	ヨーロッパ	1,100
48	パラグアイ	南アメリカ	1,066
49	エクアドル	南アメリカ	1,000
50	ジャマイカ	南アメリカ	1,000
51	ノルウェー	ヨーロッパ	961
52	チャド	アフリカ	960
53	南アフリカ	アフリカ	900
54	コスタリカ	南アメリカ	800
55	中国、台湾 中国省	アジア	764
56	シリア・アラブ共和国	アジア	688
57	パキスタン	アジア	660
58	イエメン	アジア	640
59	アルバニア	ヨーロッパ	620
60	チュニジア	アフリカ	620
61	シエラレオネ	アフリカ	600
62	サモア	オセアニア	600
63	東ティモール	アジア	400
64	キプロス	アジア	381
65	リビア	アフリカ	360
66	ベトナム	アジア	331
67	マリ	アフリカ	310
68	レバノン	アジア	300
69	ハイチ	南アメリカ	300
70	ザンビア	アフリカ	300
71	ブルンジ	アフリカ	280
72	ベリーズ	南アメリカ	250
73	オランダ	ヨーロッパ	250
74	モザンビーク	アフリカ	240
75	アイルランド	ヨーロッパ	200
76	セネガル	アフリカ	170
77	ウガンダ	アフリカ	130
78	ヨルダン	アジア	121
79	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	115
80	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	110
81	プエルトリコ	南アメリカ	101
82	タイ	アジア	100
83	ニカラグア	南アメリカ	100
84	パプアニューギニア	オセアニア	80
85	スリナム	南アメリカ	66
86	ガイアナ	南アメリカ	60
87	ギニアビサウ	アフリカ	60
88	イラク	アジア	48
89	ニウエ	オセアニア	32
90	モンゴル	アジア	20
91	トンガ	オセアニア	16
92	レユニオン	アフリカ	13
93	ニューカレドニア	オセアニア	12
94	ルワンダ	アフリカ	10
95	フランス領ポリネシア	オセアニア	10
96	フィジー	オセアニア	4
97	グアドループ	南アメリカ	4
98	ツバル	オセアニア	2
99	ミャンマー	アジア	1
100	クック諸島	オセアニア	1
+ すべての国を見る

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した1980年の天然蜂蜜生産量ランキングのデータを詳しく見ていくと、いくつかの重要な傾向が浮かび上がります。このランキングでは、中国が世界の蜂蜜生産のトップを占めており、全体の供給において重要な役割を果たしていました。中国の養蜂業の発展は、その広大な農地や多様な作物生産による豊富な蜜源植物に加えて、伝統的な養蜂文化が存在している点が要因と考えられます。一方、2位のアメリカ合衆国と3位のメキシコは、農業生産規模の大きさだけでなく、近代的な養蜂技術の利用により生産効率を向上させていました。

対照的に、気候や経済規模による制約を受けているヨーロッパや中東、アフリカの多くの国々では、それほど高い生産量を達成していません。例えば、ドイツは14,907トンで10位にランクインしていますが、これはヨーロッパ全体としても高い部類に入っています。それでも、中国やアメリカと比較すると、生産量は大幅に少ないことが分かります。ヨーロッパの農業政策や自然保護の規制が、商業規模での大規模な蜂蜜生産に一定の制限を与えている可能性があります。

日本は24位で6,211トンの生産ですが、これは世界の上位層と比較すると控えめな数字です。日本の限られた土地面積や都市化の進行が生産規模に影響していると考えられます。また、蜜源植物の減少も課題の一つです。日本のように自然環境が多様でかつ都市部が密集している国では、生態系を保全しながら効率的な生産を目指す取り組みが必要とされます。

一方で、南米諸国やアフリカの一部の国々では、特定の地域で高品質な蜂蜜を生産していますが、生産規模は小規模で輸出に頼っている場合が多いです。例えば、アルゼンチンやトルコなどは同時に高い品質で知られており、これが国際市場でそれらの蜂蜜が高評価される理由となっています。それに対し、アンゴラやケニアなどのアフリカ諸国は自然条件に恵まれながらも、生産効率や国際貿易への参加が制限されていることが現状の課題です。

今後、天然蜂蜜の市場の成長が期待される中で、各地域が抱える問題に対応する提言が必要です。具体的には、生態系の保全を基盤としつつ、技術支援や教育を通じて効率を高めることが挙げられます。また、国際協力を通じて養蜂技術を共有し、途上国における生産支援を促進することが重要です。例えば、蜂群崩壊症候群（ミツバチ集団死滅現象）と呼ばれる疫病や気候変動が、蜂蜜生産と生態系全体に大きな影響を与えるリスクが高まっています。これに対しては、国際的な研究や政策の強化が必要です。

さらに、地政学的背景も今後の生産動向に影響を与える可能性があります。たとえば、紛争地域や経済制裁下にある国々では、農業全体が低迷しており、これが蜂蜜生産にも及んでいます。特に、イランやイラクのような中東諸国では、他の農業問題と連携して養蜂事業が後退する懸念があります。

結論として、1980年時点の天然蜂蜜生産量ランキングデータは、各国の生産能力に大きな差があることを示しています。この格差を縮小し、持続可能な蜂蜜生産を実現するためには、技術支援、教育、国際協力、そして生態系維持を念頭に置いた政策が重要です。これにより、地域間の格差を是正しつつ、世界的なニーズに応えることができると考えられます。