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ブルガリアのナス生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点の最新データに基づくブルガリアのナス生産量の推移をみると、1961年以降、ブルガリアのナス生産量は大きな変動を経験してきました。ピーク時の1986年には33,451トンを記録しましたが、1990年代以降急激に減少し、2000年代後半では1万トンを下回る年もありました。近年では年間1万トン前後で推移しており、2022年では9,690トンとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 10,240
5.68% ↑
2022年 9,690
24.23% ↑
2021年 7,800
-21.37% ↓
2020年 9,920
-11.27% ↓
2019年 11,180
-0.71% ↓
2018年 11,260
-5.44% ↓
2017年 11,908
50.64% ↑
2016年 7,905
-20.42% ↓
2015年 9,933
5.72% ↑
2014年 9,396
11.14% ↑
2013年 8,454
7.97% ↑
2012年 7,830
14.71% ↑
2011年 6,826
-36.48% ↓
2010年 10,747
-35.41% ↓
2009年 16,638
135.6% ↑
2008年 7,062
-15.1% ↓
2007年 8,318
6.89% ↑
2006年 7,782
-29.16% ↓
2005年 10,985
-72.6% ↓
2004年 40,097
23.51% ↑
2003年 32,465
163.04% ↑
2002年 12,342
2.08% ↑
2001年 12,090
-55.22% ↓
2000年 27,000
17.39% ↑
1999年 23,000
-29.88% ↓
1998年 32,800
17.14% ↑
1997年 28,000
21.74% ↑
1996年 23,000
53.33% ↑
1995年 15,000
25% ↑
1994年 12,000
71.43% ↑
1993年 7,000
-30% ↓
1992年 10,000
-25.19% ↓
1991年 13,368
-32.79% ↓
1990年 19,890
-26.28% ↓
1989年 26,979
-12.66% ↓
1988年 30,888
-8.08% ↓
1987年 33,604
0.46% ↑
1986年 33,451
11.4% ↑
1985年 30,029
4.16% ↑
1984年 28,829
5.72% ↑
1983年 27,270
-2.36% ↓
1982年 27,930
2.29% ↑
1981年 27,306
17.92% ↑
1980年 23,157
-26.55% ↓
1979年 31,528
-5.12% ↓
1978年 33,228
34.16% ↑
1977年 24,768
5.46% ↑
1976年 23,485
-11.66% ↓
1975年 26,585
-8.67% ↓
1974年 29,110
18.55% ↑
1973年 24,555
-21.66% ↓
1972年 31,343
10.6% ↑
1971年 28,339
18.15% ↑
1970年 23,985
4.16% ↑
1969年 23,027
3.54% ↑
1968年 22,240
30.68% ↑
1967年 17,019
0.11% ↑
1966年 17,000
1.19% ↑
1965年 16,800 -
1964年 16,800
2.44% ↑
1963年 16,400 -
1962年 16,400
2.5% ↑
1961年 16,000 -

1961年から2022年に至るまで、ブルガリアのナス生産量は複数の周期的な変動を示してきました。初期の1960年代および1970年代は順調な増加を辿り、特に1986年に記録した33,451トンはブルガリアのナス生産における歴史的な高水準といえます。この時期の農業部門全体の発展や集中管理的な農地利用政策が主要な背景にありました。しかし、1989年にブルガリアが市場経済への移行を開始して以降、農業政策や産業構造が大きく変化し、ナスの生産量も急激に落ち込みました。特に1993年には7,000トンにまで減少し、この生産量の低迷は国内外での需要や市場競争力の低下を反映しています。

2000年代に入ると一時的に回復の兆しがみられたものの、2008年から2015年にかけて再び減少傾向が顕著となりました。この時期の生産量低迷には、EU加盟に伴う農業政策の調整や、自家消費型農業から輸出志向農業への転換の難航が関連していると考えられます。また、外的要因として気候変動や地理的特徴による降水量不足が、農作物全体の生育環境を制約しています。

一方、近年のデータ(2017年以降)を見ると、年間生産量は概ね1万トン前後で推移しており、安定したが低水準の生産量にとどまっています。この点については、技術導入の遅れや農業従事者の減少、国際市場での競争力の欠如が続く課題として挙げられるでしょう。

ブルガリアの地政学的な位置を考えた場合、同国は東欧地域において農業輸出のポテンシャルを持つ重要なハブとなる可能性を秘めています。しかしながら、既存の物流網の整備不足や、主要な輸出国であるトルコやルーマニアとの競争の激化が、その潜在力を十分に引き出す妨げとなっていると言えます。また、地域衝突や不安定な国際情勢がブルガリアの農業関連輸出品に対し、リスク要因を高める可能性も十分考慮すべきです。

こうした状況を踏まえると、今後ブルガリアがナスの生産量を改善し、農業分野での競争力を高めるためには、以下の具体策が重要です。まず、気候や土壌のデータを活用したスマート農業の導入により、収穫可能性の最大化を目指すべきです。また、国内市場の需要拡大を図るために、自家用需要だけでなく料理用加工食品としての新たな販路を開拓すると良いでしょう。さらに、他国間と協調し、EU農業支援政策の恩恵を最大限に活用することが重要です。

結論として、ブルガリアのナス生産量の推移データは、同国の農業政策や経済構造の変遷を反映した重要な指標として位置づけられます。特に近年の環境変化や国際競争に対応し、生産プロセスの効率化と市場戦略の強化を進めることが、持続可能な農業およびナスの生産回復への鍵となるでしょう。