世界の天然蜂蜜生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した最新データによると、2008年の天然蜂蜜生産量ランキングでは、中国が400,000トンで圧倒的な1位となりました。2位にはトルコ（81,364トン）、3位にはウクライナ（74,900トン）が続きました。一方、日本は2,791トンで54位に位置しており、主要生産国に比べ相対的に低い生産量であることが分かります。このデータは、各国の食糧生産や生態系維持の観点で重要な養蜂産業における地域別の状況を示す指標となっています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	400,000
2	トルコ	アジア	81,364
3	ウクライナ	ヨーロッパ	74,900
4	アメリカ合衆国	北アメリカ	74,293
5	アルゼンチン	南アメリカ	72,000
6	メキシコ	南アメリカ	59,682
7	ロシア連邦	ヨーロッパ	57,440
8	インド	アジア	55,000
9	エチオピア	アフリカ	42,000
10	イラン（イスラム共和国）	アジア	40,700
11	ブラジル	南アメリカ	37,836
12	カナダ	北アメリカ	30,910
13	スペイン	ヨーロッパ	30,361
14	タンザニア連合共和国	アフリカ	27,000
15	大韓民国	アジア	26,000
16	アンゴラ	アフリカ	23,152
17	ハンガリー	ヨーロッパ	22,394
18	ルーマニア	ヨーロッパ	20,037
19	オーストラリア	オセアニア	17,600
20	ドイツ	ヨーロッパ	15,727
21	フランス	ヨーロッパ	14,860
22	中央アフリカ共和国	アフリカ	14,500
23	ギリシャ	ヨーロッパ	14,110
24	ポーランド	ヨーロッパ	14,007
25	ニュージーランド	オセアニア	12,375
26	ケニア	アフリカ	12,037
27	イタリア	ヨーロッパ	11,577
28	ブルガリア	ヨーロッパ	11,378
29	チリ	南アメリカ	11,000
30	ウルグアイ	南アメリカ	10,000
31	ベトナム	アジア	9,960
32	タイ	アジア	7,800
33	中国、台湾 中国省	アジア	7,219
34	イギリス	ヨーロッパ	7,194
35	エジプト	アフリカ	6,960
36	ポルトガル	ヨーロッパ	6,654
37	チェコ	ヨーロッパ	6,079
38	オーストリア	ヨーロッパ	5,300
39	キューバ	南アメリカ	5,100
40	スロバキア	ヨーロッパ	4,243
41	パキスタン	アジア	4,000
42	マダガスカル	アフリカ	4,000
43	カメルーン	アフリカ	3,844
44	チュニジア	アフリカ	3,607
45	モロッコ	アフリカ	3,500
46	グアテマラ	南アメリカ	3,446
47	ベラルーシ	ヨーロッパ	3,382
48	アルジェリア	アフリカ	3,312
49	モルドバ共和国	ヨーロッパ	2,964
50	スイス	ヨーロッパ	2,803
51	アフガニスタン	アジア	2,800
52	セネガル	アフリカ	2,800
53	イスラエル	アジア	2,800
54	日本	アジア	2,791
55	クロアチア	ヨーロッパ	2,714
56	スウェーデン	ヨーロッパ	2,650
57	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	2,571
58	セルビア	ヨーロッパ	2,561
59	アルバニア	ヨーロッパ	2,517
60	シリア・アラブ共和国	アジア	2,462
61	イエメン	アジア	2,439
62	グルジア	アジア	2,400
63	ルワンダ	アフリカ	2,309
64	エルサルバドル	南アメリカ	2,234
65	ウズベキスタン	アジア	2,183
66	タジキスタン	アジア	2,060
67	リトアニア	ヨーロッパ	1,907
68	パラグアイ	南アメリカ	1,750
69	ミャンマー	アジア	1,595
70	スロベニア	ヨーロッパ	1,580
71	アルメニア	アジア	1,500
72	デンマーク	ヨーロッパ	1,500
73	コロンビア	南アメリカ	1,500
74	フィンランド	ヨーロッパ	1,500
75	ペルー	南アメリカ	1,500
76	ノルウェー	ヨーロッパ	1,450
77	アゼルバイジャン	アジア	1,411
78	キルギスタン	アジア	1,293
79	コスタリカ	南アメリカ	1,290
80	南アフリカ	アフリカ	1,082
81	ネパール	アジア	1,000
82	チャド	アフリカ	980
83	レバノン	アジア	970
84	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	915
85	ドミニカ共和国	南アメリカ	900
86	エクアドル	南アメリカ	850
87	カザフスタン	アジア	805
88	リビア	アフリカ	800
89	シエラレオネ	アフリカ	790
90	北マケドニア	ヨーロッパ	775
91	トルクメニスタン	アジア	767
92	ジャマイカ	南アメリカ	765
93	ラトビア	ヨーロッパ	688
94	東ティモール	アジア	663
95	キプロス	アジア	630
96	ギニア	アフリカ	615
97	ニカラグア	南アメリカ	608
98	コートジボワール	アフリカ	602
99	フィジー	オセアニア	595
100	ハイチ	南アメリカ	559
101	ザンビア	アフリカ	550
102	エストニア	ヨーロッパ	501
103	モンテネグロ	ヨーロッパ	476
104	モザンビーク	アフリカ	410
105	マリ	アフリカ	330
106	パレスチナ国	アジア	287
107	ブルンジ	アフリカ	282
108	サモア	オセアニア	280
109	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	244
110	アイルランド	ヨーロッパ	238
111	ヨルダン	アジア	184
112	パプアニューギニア	オセアニア	159
113	サウジアラビア	アジア	137
114	ギニアビサウ	アフリカ	130
115	ホンジュラス	南アメリカ	120
116	ルクセンブルク	ヨーロッパ	114
117	イラク	アジア	100
118	オマーン	アジア	96
119	ニューカレドニア	オセアニア	93
120	ガイアナ	南アメリカ	75
121	フランス領ポリネシア	オセアニア	69
122	スリナム	南アメリカ	50
123	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	40
124	ベリーズ	南アメリカ	29
125	プエルトリコ	南アメリカ	17
126	トンガ	オセアニア	12
127	モンゴル	アジア	11
128	ニウエ	オセアニア	7
129	ツバル	オセアニア	3
130	クック諸島	オセアニア	1
+ すべての国を見る

2008年の天然蜂蜜生産量データを見ると、世界的な蜂蜜生産の分布が明らかになっています。中国は400,000トンという圧倒的な生産量でトップに立っており、これは世界全体の蜂蜜市場において中国が中心的な役割を果たしていることを示しています。中国は広大な国土と多様な気候帯を有しており、多種多様な植物が繁茂することから、蜂蜜の生産において他国に比べ大きな優位性を持っています。また、中国国内では蜂蜜が食品のほか伝統的な医療や健康食材としても広く利用されており、需要にも支えられていると言えます。

2位のトルコ（81,364トン）と3位のウクライナ（74,900トン）は、それぞれヨーロッパ・アジア地域と東ヨーロッパ地域において重要な蜂蜜生産国とされています。これらの国々は、自然環境や植生に恵まれ、特に高品質な蜂蜜が生産されることで知られています。また、4位のアメリカ合衆国（74,293トン）では広大な農業用地を採用した多角的な利用、5位のアルゼンチン（72,000トン）では牧草地や天然植生の広がりが、生産を後押ししている要因となっています。

一方、アジア地域の中では、インドが55,000トンで8位にランクインし、大韓民国は26,000トンで15位となっています。一方の日本は2,791トンで世界54位という順位に甘んじている状況です。この要因として、国土の面積が限られる中で養蜂活動が制約されていること、養蜂環境に適した広域的な土地が不足していることが挙げられます。それに加えて、都市化の進行による自然環境の減少や、農薬利用の影響によるミツバチの生育への懸念も、日本の生産量に影響を与えている可能性があります。

このランキングを地政学的視点で見ると、蜂蜜生産はその地域の自然資源、環境政策、生物多様性、さらには国際貿易にも密接に関わっています。たとえば、ウクライナの高ランクは、その地域での豊富な自然資源と養蜂文化の発展を象徴しています。一方、ロシア（57,440トン）や中国のような広大な国土を持つ国々は、地理的隣接性を活用し、国際市場への輸出量を増加させる傾向にあります。しかし、これらの生産大国には、農薬汚染や土地開発による生態系の劣化といった問題も同時に存在しています。

日本にとって、この状況を改善するためには、ミツバチの生育環境の維持に向けた政策的な取り組みが急務です。都市部における「屋上養蜂」のような新しいアプローチや、自然環境保護と農薬使用低減のバランスを取る政策が一つの解決策となるでしょう。また、地域間の技術協力を積極的に推進し、高品質な蜂蜜のプロモーションにより市場を開拓することも重要です。

地球温暖化や土地開発、さらには病害虫被害など、養蜂業を取り巻く課題は2024年現在も続いています。特に新型コロナの影響で国際流通網が一時停滞したことにより、輸出入に頼る蜂蜜市場に影響が生じました。この現状を踏まえると、日本のみならず各国が生産活動と環境保全を両立させることが、持続可能性の観点からも求められます。

今後、国際的な協調の下で、養蜂活動を支える政策や技術の発展が期待されます。具体的には、環境に配慮した農業技術の共有、生物多様性を維持する資金の投入、低農薬農業の普及など、さまざまな分野での取り組みが必要です。また、自然災害や紛争地域では、養蜂業の再建と生態系復元を同時に進めるための国際支援が鍵を握るでしょう。蜂蜜は単なる食品だけでなく、地域の文化、経済、健康にも深く結びついています。その意味でも、各国の取り組みを結びつける包括的なプラットフォームの構築が望まれます。