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ブルガリアのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによれば、ブルガリアのニンジン・カブ類の生産量は1960年代から2023年まで大きく変動を繰り返しています。特に1970年代と1980年代には比較的高い生産量を記録した一方で、1990年代以降は大幅に減少し、その後も不安定な状況が続いています。近年では、2017年から2018年にかけて一時的に生産量が回復しましたが、2020年以降は再び減少傾向が見られ、2023年時点での生産量は9,710トンとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 9,710
1.78% ↑
2022年 9,540
-20.9% ↓
2021年 12,060
38.62% ↑
2020年 8,700
-57.37% ↓
2019年 20,410
-20.43% ↓
2018年 25,650
7.02% ↑
2017年 23,967
211.34% ↑
2016年 7,698
-9.65% ↓
2015年 8,520
-11.38% ↓
2014年 9,614
78.04% ↑
2013年 5,400
-43.69% ↓
2012年 9,590
-20.06% ↓
2011年 11,997
13.44% ↑
2010年 10,576
-27.63% ↓
2009年 14,614
8.76% ↑
2008年 13,437
30.63% ↑
2007年 10,286
-22.5% ↓
2006年 13,273
217.38% ↑
2005年 4,182
-87.68% ↓
2004年 33,955
72.62% ↑
2003年 19,670
121.36% ↑
2002年 8,886
-35.93% ↓
2001年 13,870
-30.65% ↓
2000年 20,000
-4.76% ↓
1999年 21,000
-9.87% ↓
1998年 23,300
16.5% ↑
1997年 20,000
33.33% ↑
1996年 15,000
25% ↑
1995年 12,000
33.33% ↑
1994年 9,000
12.5% ↑
1993年 8,000
-20% ↓
1992年 10,000
-21.7% ↓
1991年 12,771
-22.84% ↓
1990年 16,552
-40.16% ↓
1989年 27,660
13.3% ↑
1988年 24,412
29.73% ↑
1987年 18,818
-20.45% ↓
1986年 23,657
22.58% ↑
1985年 19,300
-23.99% ↓
1984年 25,391
8.37% ↑
1983年 23,429
-18.94% ↓
1982年 28,902
23.21% ↑
1981年 23,458
-17.88% ↓
1980年 28,566
-13.88% ↓
1979年 33,169
-23.22% ↓
1978年 43,199
18.65% ↑
1977年 36,409
11.41% ↑
1976年 32,680
74.27% ↑
1975年 18,753
-38.41% ↓
1974年 30,449
-13.63% ↓
1973年 35,253
43.24% ↑
1972年 24,611
-30.45% ↓
1971年 35,388
24.84% ↑
1970年 28,346
-11.83% ↓
1969年 32,149
166.11% ↑
1968年 12,081
-43.81% ↓
1967年 21,501
-25.78% ↓
1966年 28,969
123.53% ↑
1965年 12,960
-27.64% ↓
1964年 17,910
26.89% ↑
1963年 14,115
17.82% ↑
1962年 11,980
11.43% ↑
1961年 10,751 -

ブルガリアのニンジン・カブ類生産量の推移を詳しく見ると、時代ごとの政治的、経済的、そして環境的要因の影響を如実に示しています。1960年代から1970年代にかけて、社会主義体制下での集団農業が進行し、生産基盤の強化が行われたことで、生産量が安定して増加しました。1978年には43,199トンと過去最高を記録しており、当時の広範囲な農地利用や農業計画の成功を示していると考えられます。

しかし、1980年代後半から1990年代にかけて、ブルガリアの社会主義体制が崩壊し、市場経済への移行が進む中で農業体制が大きな転換期を迎えます。この時期の生産量は急激に減少し、1993年には8,000トンとこれまでの最低値を記録しました。この変動の背景には、集団農場から個別農地への移行に伴う農業効率の低下や、収益性の低さから農業に従事する人々の減少が影響していると推測されます。

1990年代後半以降、徐々に生産量の回復傾向が見られ、特に2004年や2017年にはそれぞれ33,955トンや23,967トンといった一定の上昇を示しました。これはEU加盟による欧州連合からの農業支援資金や技術導入が背景に当たる可能性があります。一方で、2005年のように4,182トンと低迷した年もあり、安定性には依然として注意が必要です。

近年の動向を見てみると、2018年の25,650トンという数字と比較して、2020年以降の生産量は減少傾向にあり、2023年には9,710トンにとどまっています。この背後には、気候変動による異常気象の頻発や、農地の劣化、そして新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが農業労働者や物流網に与えた影響があると考えられます。また、近年では他国から輸入された安価な農産物との競争も激化しており、国内での収益確保が厳しくなっています。

今後の課題としては、安定した生産量を維持するための持続可能な農業政策の構築が挙げられます。具体的には、農地の集約化や農業技術のデジタル化、気候変動に強い品種の導入などが有効です。また、EUからの資金や技術をさらに活用し、高付加価値のある農産物のブランディングやグローバル市場への輸出支援を強化することが求められています。

ブルガリアの地政学的背景として、近隣諸国や他のEU加盟国との競争の中で農業は戦略的重要性を持っています。特に国際情勢の変化や資源紛争が食糧供給に与える影響を考慮し、地域間の農業協力を進めることが緊急の課題です。さらには、気候変動を見据えた水資源の管理や土壌改良の取り組みも不可欠です。

結論として、ブルガリアのニンジン・カブ類の生産量の長期的推移からは、政治的および経済的な転換が農業生産に与える重要な影響が示唆されます。持続可能で競争力のある農業を実現するためには、産官学が連携して技術革新や政策支援を進めるとともに、EUや国際的な枠組みの中で地域を超えた協力を深めることが必要です。