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ブルガリアのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新データによると、ブルガリアのキュウリ類の生産量は、長期的な推移として1960年代から1970年代にかけて増加し、その後1970年代後半から90年代にかけて波を描くような変動を見せています。近年では、特に2000年以降の数値の変動が顕著であり、2020年代に入って50,000~70,000トンという低水準に止まっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 52,510
0.46% ↑
2022年 52,270
-2.63% ↓
2021年 53,680
0.09% ↑
2020年 53,630
-26.5% ↓
2019年 72,970
-1.86% ↓
2018年 74,350
36.68% ↑
2017年 54,398
-18.39% ↓
2016年 66,653
32.42% ↑
2015年 50,335
-5.5% ↓
2014年 53,263
0.48% ↑
2013年 53,008
39.64% ↑
2012年 37,961
-35.5% ↓
2011年 58,852
-10.38% ↓
2010年 65,668
-15.8% ↓
2009年 77,988
24.55% ↑
2008年 62,618
9.5% ↑
2007年 57,183
-6.98% ↓
2006年 61,477
37.38% ↑
2005年 44,748
-48.3% ↓
2004年 86,560
1.47% ↑
2003年 85,305
16.02% ↑
2002年 73,527
17.64% ↑
2001年 62,504
-52.39% ↓
2000年 131,287
-23.07% ↓
1999年 170,660
-11.7% ↓
1998年 193,276
43.86% ↑
1997年 134,353
13.61% ↑
1996年 118,255
-25.06% ↓
1995年 157,803
60.07% ↑
1994年 98,586
-5.21% ↓
1993年 104,001
-12.97% ↓
1992年 119,494
-21.14% ↓
1991年 151,534
1.51% ↑
1990年 149,274
16.62% ↑
1989年 128,005
-17.57% ↓
1988年 155,296
-5.9% ↓
1987年 165,030
32.01% ↑
1986年 125,009
-16.66% ↓
1985年 149,991
-11.16% ↓
1984年 168,842
6.68% ↑
1983年 158,268
9.96% ↑
1982年 143,932
11.58% ↑
1981年 128,993
8.8% ↑
1980年 118,557
-37.71% ↓
1979年 190,325
83.53% ↑
1978年 103,703
-45.13% ↓
1977年 188,993
10.84% ↑
1976年 170,512
3.61% ↑
1975年 164,566
5.78% ↑
1974年 155,578
101.37% ↑
1973年 77,260
-2.83% ↓
1972年 79,511
31.89% ↑
1971年 60,287
25.92% ↑
1970年 47,876
2% ↑
1969年 46,938
4.77% ↑
1968年 44,801
-15.61% ↓
1967年 53,085
-10.54% ↓
1966年 59,342
35.17% ↑
1965年 43,902
5.86% ↑
1964年 41,473
-12.89% ↓
1963年 47,610
24.78% ↑
1962年 38,154
25.67% ↑
1961年 30,360 -

ブルガリアは長い農業の歴史を持ち、その中でもキュウリ類の生産は国内外において重要な位置を占めてきました。この統計データを見ると、特に1960年代後半から1970年代半ばにかけて生産量が顕著に増加し、1977年には約189,000トン、1979年にはさらに190,325トンに達しました。この時期の急上昇は、共産主義体制下での農業インフラ整備や生産活動集中化の影響を受けた結果と考えられます。しかし、1980年代後半から1990年代にかけては、社会主義から市場経済への移行や政治的・経済的混乱を背景に生産量が一部減少し、不安定な推移を見せています。

特に、2000年代の生産量の低下傾向は顕著です。2001年には62,504トンと大幅に落ち込み、2004年や2005年も50,000トンを下回る低水準に陥りました。その後も大きな回復は見られず、最新の2023年のデータでは52,510トンと、1960年代の水準に近い低い数値となっています。この減少基調の背景として、市場の自由化に伴う外国産キュウリとの競争激化、農業従事者の高齢化や農地の減少などの要因が挙げられます。また、近年では気候変動や自然災害がブルガリアの農業に与える影響も無視できないものとなっています。

ブルガリアのキュウリ類生産量を他国と比較すると、例えば中国は世界最大の生産国として、2023年には数千万トンの規模を誇っています。また、近隣のトルコやギリシャにおいても、施設栽培の導入など近代化が進む中、ブルガリアは同様の改革において出遅れが見られています。これは、ブルガリア国内の農業部門における投資や技術革新の遅れが一因となっていると考えられます。また、EU加盟後の共通政策に基づく支援がある一方で、EU内競争が過熱し、ブルガリア産キュウリの競争力が削がれる結果にもつながっています。

将来的な課題として、国内農業の競争力維持や気候変動への対応が挙げられます。具体的には、技術革新を通じた生産効率の向上が急務です。例えば、温室栽培や自動化システムの導入、また、水資源の効率的な利用がブルガリア農業にとっての重要なテーマです。さらには、若年層の農業参入を促進するための補助金制度や農業教育の刷新など、労働力問題にも対応する必要があります。

地政学的リスクも軽視できません。ブルガリアはバルカン地域の一角を占めており、隣国間の貿易摩擦や政治的緊張が輸出入政策や物流に影響を及ぼす可能性があります。特に、EU域外の近隣諸国との関係が生産および流通効率に影響を与えるため、地域間の協力枠組みの強化が望まれます。

結論として、ブルガリアにおけるキュウリ類生産の推移は、主に国内の経済的、社会的、地政学的背景によって形成されてきたといえます。回復のためには、国内の農業支援政策の見直しや国際市場での競争力強化、気候変動への迅速な適応が必要です。国や国際機関において、これらの問題解決に向けた具体的なプランを立案し、実行することが求められています。

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