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ブルガリアの豚飼育数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関によるデータによれば、ブルガリアの豚飼育数は、1961年の約255万頭から1990年の約435万頭まで増加しましたが、その後減少に転じました。2022年には約60万頭まで減少しました。データからは、特に1990年以降の急激な減少が顕著であり、それに伴い畜産業における大きな構造的変化があったことが示唆されます。

年度 飼育数(頭) 増減率
2023年 724,750
20.45% ↑
2022年 601,700
-13.38% ↓
2021年 694,660
17.32% ↑
2020年 592,100
20.39% ↑
2019年 491,810
-24.86% ↓
2018年 654,550
6.18% ↑
2017年 616,426
2.73% ↑
2016年 600,068
8.49% ↑
2015年 553,114
-5.68% ↓
2014年 586,418
10.45% ↑
2013年 530,945
-12.71% ↓
2012年 608,266
-8.39% ↓
2011年 664,000
-9.02% ↓
2010年 729,798
-6.87% ↓
2009年 783,649
-11.81% ↓
2008年 888,609
-12.25% ↓
2007年 1,012,655
7.39% ↑
2006年 942,992
1.24% ↑
2005年 931,402
-9.77% ↓
2004年 1,032,300
3.59% ↑
2003年 996,482
26.39% ↑
2002年 788,445
-31.06% ↓
2001年 1,143,599
-24.38% ↓
2000年 1,512,340
-12.15% ↓
1999年 1,721,500
16.34% ↑
1998年 1,479,734
-1.38% ↓
1997年 1,500,442
-29.89% ↓
1996年 2,140,010
7.75% ↑
1995年 1,986,180
-4.11% ↓
1994年 2,071,340
-22.7% ↓
1993年 2,679,719
-14.7% ↓
1992年 3,141,402
-24.96% ↓
1991年 4,186,575
-3.8% ↓
1990年 4,352,000
5.66% ↑
1989年 4,118,838
2.1% ↑
1988年 4,034,098
-0.4% ↓
1987年 4,050,255
3.54% ↑
1986年 3,911,599
4.76% ↑
1985年 3,733,940
-0.93% ↓
1984年 3,768,835
-1.08% ↓
1983年 3,809,800
-0.88% ↓
1982年 3,843,718
0.95% ↑
1981年 3,807,621
-0.59% ↓
1980年 3,830,319
1.54% ↑
1979年 3,772,270
10.99% ↑
1978年 3,398,829
-1.66% ↓
1977年 3,456,229
-11.12% ↓
1976年 3,888,640
13.62% ↑
1975年 3,422,472
40.78% ↑
1974年 2,431,088
-6.44% ↓
1973年 2,598,499
-7.4% ↓
1972年 2,806,052
18.44% ↑
1971年 2,369,129
20.47% ↑
1970年 1,966,509
-8.11% ↓
1969年 2,139,995
-7.52% ↓
1968年 2,313,947
1.68% ↑
1967年 2,275,798
-5.47% ↓
1966年 2,407,592
-7.66% ↓
1965年 2,607,432
24.35% ↑
1964年 2,096,817
1.48% ↑
1963年 2,066,156
-11.37% ↓
1962年 2,331,139
-8.7% ↓
1961年 2,553,380 -

ブルガリアの豚飼育業の発展と衰退を示すこのデータは、同国の農業や社会経済の変化を反映しています。1960年代から1990年までの期間は、豚飼育数が増加し、特に1980年代後半には400万頭を超える数値が続いていました。この背景には、ブルガリアにおける計画経済の下での農業生産の拡大や畜産分野への国の支援が挙げられます。この時期には、国内消費と輸出に向けた食肉生産が活発であり、それによって豚飼育業は経済の重要な役割を担っていました。

しかしながら、1990年代以降、豚頭数は急激に減少しています。1990年代初頭には約435万頭を記録していた飼育数が、1990年代半ばには約200万頭以下にまで下落しており、社会主義体制から市場経済への転換がその主な要因とみられます。この経済体制の変化により、国からの支援が減少し、小規模養豚場が厳しい市場競争に直面しました。また、輸入の自由化によって海外からの安価な豚肉が流入し、国内産業が圧迫されました。さらに、家畜疫病の流行や農村部での人口減少も、飼育数の低下に影響しています。

近年のデータでは、2010年代以降における豚飼育数のさらなる低迷が確認され、2022年には約60万頭にまで減少しました。一時的な増加の兆しが2016年から2018年に見られたものの、この期間以降の平均的な飼育数は過去と比べ大幅に減少しています。特に、2019年以降には、アフリカ豚熱(ASF)などの家畜疾病の発生が産地に大きな打撃を与えたことが要因の一つと考えられます。

この現状において、ブルガリアが直面している課題は多岐にわたります。まず、畜産業の構造改革が課題です。新しい市場経済に適応するためには、規模の経済を活かした新しい生産モデルの開発や、技術革新の推進が求められます。また、家畜疾病の管理と予防体制の強化が急務です。国際機関や欧州連合(EU)との連携を通じて、疾病発生リスクの最小化が必要となります。

さらに、輸入品に依存する食肉供給体制の転換も重要です。地元産業の競争力を高めるためには、品質保証の仕組みや地元ブランドの構築などが検討されるべきです。同様に、環境負荷を最小限に抑えた持続可能な豚飼育方法の開発も、今後のブルガリア農業にとって重要な視点となります。ヨーロッパ全体で推奨されている環境保護政策と調和をとりつつ、畜産業を再建する必要があります。

ブルガリアの豚飼育数の減少は、国内農業だけでなく、地域経済や国際的な食肉市場においても影響を与えています。他国、特にドイツやフランスなど欧州主要畜産国は、同様の課題に直面しながらも、規模拡大や産業の競争力強化に成功した例があり、ブルガリアもこれらの成功モデルを参考にすることが有益です。

結論として、ブルガリアの豚飼育産業が再び成長するためには、多方面からの政策対応が必要不可欠です。具体的には、市場への適応、技術革新、感染症の制御、そしてEUとの協調による支援強化を柱とした戦略が必要です。これにより、国内食肉供給の安定化と地域農村社会の再活性化を図ることができます。これらの課題解決に向けた努力が、ブルガリアの農業全体の健全な発展に寄与することでしょう。