国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1965年の天然蜂蜜生産量ランキングによると、トップのアメリカ合衆国が109,701トンを生産し、中国(60,000トン)やメキシコ(33,000トン)を大きくリードしています。日本は6,462トンで16位となり、当時の国際市場における主要な生産国ではありませんでした。トップ10には北アメリカ、南アメリカ、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア各地域がバランスよく含まれ、蜂蜜生産が広範囲にわたる産業であることが確認できます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 109,701 |
| 2 |
|
アジア | 60,000 |
| 3 |
|
南アメリカ | 33,000 |
| 4 |
|
南アメリカ | 28,000 |
| 5 |
|
アジア | 25,000 |
| 6 |
|
北アメリカ | 22,296 |
| 7 |
|
アフリカ | 20,000 |
| 8 |
|
オセアニア | 19,087 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 15,613 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 10,509 |
| 11 |
|
アジア | 10,320 |
| 12 |
|
アフリカ | 9,500 |
| 13 |
|
南アメリカ | 7,904 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 7,718 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 6,950 |
| 16 |
|
アジア | 6,462 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 6,276 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 6,228 |
| 19 |
|
アフリカ | 6,000 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 6,000 |
| 21 |
|
アフリカ | 5,800 |
| 22 |
|
南アメリカ | 5,200 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 4,837 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 4,500 |
| 25 |
|
オセアニア | 4,095 |
| 26 |
|
南アメリカ | 3,900 |
| 27 |
|
アフリカ | 3,450 |
| 28 |
|
アフリカ | 3,200 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 3,050 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 3,037 |
| 31 |
|
アジア | 3,000 |
| 32 |
|
アジア | 2,770 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 2,444 |
| 34 |
|
南アメリカ | 2,177 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 2,000 |
| 36 |
|
アフリカ | 1,950 |
| 37 |
|
南アメリカ | 1,550 |
| 38 |
|
アジア | 1,520 |
| 39 |
|
アフリカ | 1,500 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 1,340 |
| 41 |
|
南アメリカ | 1,200 |
| 42 |
|
南アメリカ | 1,150 |
| 43 |
|
南アメリカ | 900 |
| 44 |
|
アフリカ | 870 |
| 45 |
|
南アメリカ | 750 |
| 46 |
|
アジア | 724 |
| 47 |
|
南アメリカ | 700 |
| 48 |
|
アジア | 619 |
| 49 |
|
アフリカ | 600 |
| 50 |
|
南アメリカ | 580 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 560 |
| 52 |
|
アジア | 550 |
| 53 |
|
南アメリカ | 481 |
| 54 |
|
南アメリカ | 420 |
| 55 |
|
ヨーロッパ | 410 |
| 56 |
|
アフリカ | 370 |
| 57 |
|
アフリカ | 360 |
| 58 |
|
南アメリカ | 350 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 350 |
| 60 |
|
アフリカ | 330 |
| 61 |
|
ヨーロッパ | 324 |
| 62 |
|
アフリカ | 290 |
| 63 |
|
南アメリカ | 280 |
| 64 |
|
アジア | 250 |
| 65 |
|
ヨーロッパ | 250 |
| 66 |
|
アジア | 233 |
| 67 |
|
南アメリカ | 220 |
| 68 |
|
アフリカ | 220 |
| 69 |
|
アジア | 205 |
| 70 |
|
南アメリカ | 200 |
| 71 |
|
南アメリカ | 170 |
| 72 |
|
アジア | 150 |
| 73 |
|
アフリカ | 121 |
| 74 |
|
オセアニア | 100 |
| 75 |
|
アフリカ | 90 |
| 76 |
|
アジア | 77 |
| 77 |
|
アジア | 70 |
| 78 |
|
アフリカ | 70 |
| 79 |
|
アフリカ | 60 |
| 80 |
|
オセアニア | 50 |
| 81 |
|
南アメリカ | 50 |
| 82 |
|
南アメリカ | 40 |
| 83 |
|
南アメリカ | 40 |
| 84 |
|
アフリカ | 15 |
| 85 |
|
アジア | 12 |
| 86 |
|
オセアニア | 10 |
| 87 |
|
南アメリカ | 10 |
| 88 |
|
オセアニア | 10 |
| 89 |
|
アジア | 9 |
| 90 |
|
オセアニア | 6 |
| 91 |
|
オセアニア | 5 |
| 92 |
|
オセアニア | 5 |
| 93 |
|
アフリカ | 3 |
| 94 |
|
オセアニア | 1 |
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1965年の天然蜂蜜生産量のデータは、農業資源利用、気候条件、養蜂技術、そして国際市場における需要と供給の状況を示す重要な指標です。このランキングによれば、アメリカ合衆国が約11万トン近い生産で1位を占めており、同国が農業セクターでの強い生産能力と効率性を持っていたことが伺えます。一方で、中国が約6万トンで2位となり、この時点で既に国内市場の広さと豊富な自然環境を生かして生産規模を拡大していたことが示されています。この後、中国は急速な成長を遂げ、天然蜂蜜の輸出市場における重要性を高めることになります。
メキシコ(33,000トン)やアルゼンチン(28,000トン)はそれぞれ3位と4位につけており、特にアルゼンチンはこの後も蜂蜜輸出国としての立場を強化していく発展途上の段階にありました。インド(25,000トン)やアンゴラ(20,000トン)といったアジアやアフリカ諸国も生産量上位に入っていますが、これらの国は当時、輸出よりも国内消費を主に支える役割を担っていました。
一方で、ランキング全体を見るとヨーロッパ各国(ドイツ、スペイン、ルーマニアなど)も生産において一定のシェアを占めていますが、多くは小規模での家族経営型生産や趣味レベルの養蜂が中心であり、規模の経済が強い他の地域に後れを取っていました。フランスやイギリス、日本なども中規模な生産国として水準を維持しています。日本の16位は当時の国内市場向け需要を主に供給しており、輸出志向の体制とはなっていませんでした。
このランキングは、地域的な構造や気候条件、国内農業政策、さらには地政学的な影響により形成されています。例えば、アフリカのアンゴラやタンザニア連合共和国など、一定の生産量を記録した国々は、豊富な自然環境を活かして蜂蜜生産を展開していますが、交通網や冷蔵設備といったインフラ不足が生産の限界要因となっています。一方、気候変動や災害が蜂蜜の供給に与える影響も重要です。特に旱魃(かんばつ)や森林火災の多い地域では、その年の天候パターンが生産量に影響を与えるケースが多いです。
将来的には、天然蜂蜜生産量のさらなる向上や効率化を目指すためには、持続可能な養蜂技術の普及が重要となります。特に日本においても、現在の状況は依然として小規模な養蜂が主流となっているため、養蜂家の組織化や技術支援による生産性向上が課題です。他国との比較では、中国やアメリカは規模の経済を基盤にさらなる成長を見込むことができました。これに対抗するには、日本のような生産規模の小さい国々は高付加価値な蜂蜜(例えば、地域ブランドや有機蜂蜜)を戦略的に育成し、国際市場での差別化を図るべきです。
また、地政学的リスクとしては、紛争地域や輸送経路の確保が蜂蜜の国際貿易に影響を及ぼす可能性があります。これを回避するためには、輸出主体国と輸入主体国の間で開かれた協議を通じた貿易協力が必要とされます。さらに、環境破壊や気候変動の影響による花粉媒介生物の減少は長期的に深刻な問題となります。これに対処するためには、生物多様性を保護し、蜂の生息地を確保するための国際的な取り組みが必要です。
総じて、1965年のランキングは、一部の大規模生産国と多数の中小規模生産国という構造を反映したものでした。この状況を背景に、各国は地産地消や高品質製品の推進、国際協力枠組みの構築を進めることで、持続可能かつ安定的な蜂蜜産業を目指すことが求められます。