世界の天然蜂蜜生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した1971年の天然蜂蜜生産量ランキングによると、1位はアメリカ合衆国で89,732トン、2位は中国で85,000トン、3位はメキシコで35,024トンという結果でした。日本は19位に位置し、生産量は7,711トンで、他の主要国と比べると低い水準となっています。全体を見ると、上位の国々が大きな生産量を占める一方で、多くの国は小規模生産にとどまっていることが特徴的です。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	アメリカ合衆国	北アメリカ	89,732
2	中国	アジア	85,000
3	メキシコ	南アメリカ	35,024
4	インド	アジア	35,000
5	カナダ	北アメリカ	23,594
6	ドイツ	ヨーロッパ	20,613
7	オーストラリア	オセアニア	19,126
8	アルゼンチン	南アメリカ	18,000
9	トルコ	アジア	16,345
10	アンゴラ	アフリカ	15,367
11	ルーマニア	ヨーロッパ	11,829
12	フランス	ヨーロッパ	11,000
13	ハンガリー	ヨーロッパ	10,606
14	ポーランド	ヨーロッパ	10,346
15	マダガスカル	アフリカ	10,200
16	ギリシャ	ヨーロッパ	8,678
17	スペイン	ヨーロッパ	8,197
18	タンザニア連合共和国	アフリカ	8,000
19	日本	アジア	7,711
20	チリ	南アメリカ	7,200
21	ケニア	アフリカ	7,000
22	イタリア	ヨーロッパ	7,000
23	ブルガリア	ヨーロッパ	6,277
24	エジプト	アフリカ	6,150
25	ブラジル	南アメリカ	6,088
26	ニュージーランド	オセアニア	5,570
27	中央アフリカ共和国	アフリカ	5,000
28	キューバ	南アメリカ	4,700
29	イラン（イスラム共和国）	アジア	3,370
30	グアテマラ	南アメリカ	3,130
31	イギリス	ヨーロッパ	3,050
32	アフガニスタン	アジア	3,000
33	モロッコ	アフリカ	2,660
34	ポルトガル	ヨーロッパ	2,653
35	スウェーデン	ヨーロッパ	2,100
36	カメルーン	アフリカ	2,050
37	イスラエル	アジア	2,000
38	オーストリア	ヨーロッパ	2,000
39	スイス	ヨーロッパ	1,885
40	コロンビア	南アメリカ	1,850
41	エルサルバドル	南アメリカ	1,400
42	アルジェリア	アフリカ	1,120
43	ジャマイカ	南アメリカ	1,043
44	ノルウェー	ヨーロッパ	1,016
45	ウルグアイ	南アメリカ	950
46	チャド	アフリカ	920
47	ドミニカ共和国	南アメリカ	749
48	大韓民国	アジア	650
49	パキスタン	アジア	650
50	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	600
51	シエラレオネ	アフリカ	600
52	フィンランド	ヨーロッパ	600
53	イエメン	アジア	570
54	パラグアイ	南アメリカ	554
55	東ティモール	アジア	506
56	エクアドル	南アメリカ	500
57	ホンジュラス	南アメリカ	441
58	アルバニア	ヨーロッパ	425
59	中国、台湾 中国省	アジア	407
60	キプロス	アジア	366
61	マリ	アフリカ	300
62	ザンビア	アフリカ	300
63	オランダ	ヨーロッパ	300
64	シリア・アラブ共和国	アジア	279
65	ブルンジ	アフリカ	260
66	南アフリカ	アフリカ	250
67	ハイチ	南アメリカ	248
68	モザンビーク	アフリカ	240
69	レバノン	アジア	235
70	ベトナム	アジア	230
71	チュニジア	アフリカ	230
72	コスタリカ	南アメリカ	225
73	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	200
74	アイルランド	ヨーロッパ	200
75	サモア	オセアニア	200
76	プエルトリコ	南アメリカ	166
77	ウガンダ	アフリカ	124
78	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	120
79	ベリーズ	南アメリカ	104
80	セネガル	アフリカ	100
81	ニカラグア	南アメリカ	80
82	パプアニューギニア	オセアニア	70
83	ニウエ	オセアニア	70
84	ギニアビサウ	アフリカ	60
85	スリナム	南アメリカ	54
86	ヨルダン	アジア	45
87	ガイアナ	南アメリカ	41
88	リビア	アフリカ	40
89	イラク	アジア	35
90	レユニオン	アフリカ	14
91	モンゴル	アジア	14
92	トンガ	オセアニア	10
93	グアドループ	南アメリカ	8
94	ニューカレドニア	オセアニア	8
95	ルワンダ	アフリカ	8
96	フィジー	オセアニア	5
97	フランス領ポリネシア	オセアニア	5
98	クック諸島	オセアニア	1
+ すべての国を見る

1971年時点での天然蜂蜜生産量データは、各国の農業実態や地理的条件、産業構造を反映しています。首位を獲得したアメリカ合衆国は、広大な土地と進んだ農業技術を背景に、大規模生産が可能な環境を有しており、主に移動養蜂の全国的な展開が生産量を支えていました。同様に、中国も生産が盛んで、広範な農村地域と多様な生態系を活かし、高い生産量を記録しています。一方で、メキシコやインドは比較的生産量が少ないものの、伝統的な蜂蜜生産が根付いており、それが現在まで続いています。

日本の7,711トンという生産量は、世界全体では中位水準に位置していますが、国内では養蜂産業が商業規模よりも小規模で行われる傾向が強く、また地理的条件や気候の制約も大きな要因となっています。特に蜜源植物の不足や養蜂の担い手減少が課題となっており、現在の農村地域でも類似した問題が見られます。

しかし、日本以外の東アジア地域を見てみると、中国が抜きん出て高い生産量を記録しており、韓国では650トンと比較的少ない数値を示しています。これにより、東アジア地域では国ごとに大きな違いが存在しており、この格差の背景には、農業政策や蜂蜜に対する需要構造の違いが考えられます。また、ヨーロッパ諸国ではドイツ、フランス、ハンガリーなどの国々が上位に位置していますが、これらの地域では伝統的な養蜂文化と産業的な発展が共存し、高品質でブランド化された蜂蜜を産出しています。

地政学的な視点から見ると、中東や北アフリカの国々（例：イラン、エジプト、モロッコ）では砂漠気候という厳しい自然環境が蜂蜜生産に悪影響を与えていることが明らかです。また、1971年当時の地域紛争や経済不安定要因も、持続可能な養蜂産業の確立を妨げる結果となっていました。こうした地域では、近代養蜂技術の導入や、より耐性の強い蜜源植物の導入が将来的に必要となるでしょう。

環境面では、世界中で起こる生態系劣化や自然災害が蜂蜜生産に対する潜在的脅威となっています。特に乱伐による森林破壊や気候変動が蜜源植物の減少に影響を与えていることは憂慮すべき事実です。また、ミツバチに影響を及ぼす疫病や害虫の蔓延も生産量に直接的な打撃を与える可能性があります。国際的な取り組みとして、生物多様性を保護し、広域的な対策を講じることが急務といえるでしょう。

未来に向けた具体的な対策としては、まず各国での養蜂産業の効率化と多様化を進めることが挙げられます。これは新しい養蜂技術の導入、生産体制の近代化、そして気候変動に対応する蜜源植物の選択を含みます。個別の国においては、たとえば日本では後継者不足問題を克服するために、若い世代への教育や啓発活動を強化し、地域の養蜂を持続可能な形で発展させる必要があります。一方、中国やアメリカのような大規模生産国は、適切な管理の下で生産の持続可能性を保ちつつ、輸出市場の拡大を図ることが重要です。

結論として、この1971年のデータは、蜂蜜生産における地域間の不均衡やその背景を理解するための貴重な情報を提供しています。これを基に、各国と地域が自らの強みと課題を見極め、政策を策定していくことが、今後の蜂蜜産業の発展と地球規模での食料供給安定に寄与するものと考えられます。養蜂は自然環境と深く結びつく産業であるため、持続的な発展を目指す国際的な協力枠組みを築くことがさらに求められるでしょう。