Skip to main content

ブルガリアのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新データとして公開した情報によれば、ブルガリアでのジャガイモ生産量は1961年からのデータにおいて大きな変動を示しています。最高生産量は1995年の約65万トンで、直近の2022年には約17万トンまで減少しています。このデータは、農業技術の発展、気候変動、社会経済状況の変化が農産物生産にどのような影響を与えたかを考察するための重要な指標です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 119,240
-30.76% ↓
2022年 172,210
-11.98% ↓
2021年 195,640
1.72% ↑
2020年 192,330
-2.57% ↓
2019年 197,410
-24.56% ↓
2018年 261,690
14.87% ↑
2017年 227,815
79.13% ↑
2016年 127,182
-22.86% ↓
2015年 164,866
24.29% ↑
2014年 132,651
-28.88% ↓
2013年 186,529
23.27% ↑
2012年 151,319
-34.86% ↓
2011年 232,314
-7.52% ↓
2010年 251,205
8.4% ↑
2009年 231,745
-34.36% ↓
2008年 353,060
18.19% ↑
2007年 298,722
-22.62% ↓
2006年 386,050
2.82% ↑
2005年 375,459
-34.5% ↓
2004年 573,179
27.31% ↑
2003年 450,214
-28.23% ↓
2002年 627,273
4.48% ↑
2001年 600,371
51.02% ↑
2000年 397,532
-29.81% ↓
1999年 566,359
18.4% ↑
1998年 478,347
3.26% ↑
1997年 463,247
45.04% ↑
1996年 319,388
-50.77% ↓
1995年 648,741
30.48% ↑
1994年 497,183
39.24% ↑
1993年 357,079
-36.94% ↓
1992年 566,237
13.79% ↑
1991年 497,604
14.99% ↑
1990年 432,740
-21.81% ↓
1989年 553,456
54.74% ↑
1988年 357,677
13.29% ↑
1987年 315,727
-35.76% ↓
1986年 491,489
11.87% ↑
1985年 439,331
5.18% ↑
1984年 417,703
-2.13% ↓
1983年 426,793
-8.96% ↓
1982年 468,812
16.29% ↑
1981年 403,151
33.99% ↑
1980年 300,884
-29.03% ↓
1979年 423,950
8.29% ↑
1978年 391,494
2.29% ↑
1977年 382,727
9.19% ↑
1976年 350,499
10.29% ↑
1975年 317,809
-7.8% ↓
1974年 344,689
4.98% ↑
1973年 328,344
-13.96% ↓
1972年 381,638
-5.44% ↓
1971年 403,610
8.01% ↑
1970年 373,663
4.76% ↑
1969年 356,697
-3.3% ↓
1968年 368,859
-3.2% ↓
1967年 381,038
-9.58% ↓
1966年 421,414
48.12% ↑
1965年 284,507
-42.74% ↓
1964年 496,887
19.77% ↑
1963年 414,851
15.03% ↑
1962年 360,634
-18.96% ↓
1961年 444,994 -

ブルガリアにおけるジャガイモの生産量は、この半世紀以上の間で大きく変動してきました。このデータは、国内の農業政策や技術革新、地政学的影響、気象条件、農家のインセンティブ構造など、複数の要因に基づく変化を反映しています。フードセキュリティや農業の持続可能性に関する時代の課題を示唆する興味深い傾向が見られます。

1961年から1990年代にかけて、おおむね40万トン前後で推移していた生産量は、1995年に約65万トンと大きく増加しています。この急増の背景には、冷戦終結による社会経済の安定と農業の効率化が挙げられます。1995年はブルガリアが社会主義体制から市場経済へ移行する過程の中でも、農地改革や農家支援政策が生産量の拡大に寄与した可能性が考えられます。しかし、それ以降の生産量推移を見ていくと、特に2000年代半ばから生産量が顕著に低下していることがわかります。例えば、2005年時点で約37万トンだった生産量は2014年には約13万トンと急落しました。

このような減少要因を探ると、いくつかの重要な視点が浮かび上がります。まず、気候変動の影響を無視することはできません。ブルガリアは温暖化と降水パターンの変化により、ジャガイモ栽培に不適な天候条件が増加しました。南東ヨーロッパ地域全体で平均気温が上昇しており、洪水や干ばつなどの極端な気象イベントが発生しやすくなっています。また、農村地域の人口減少と高齢化も重要な要因です。若年層の多くが都市部や国外に移住し、農業従事者の不足と技術力の低下につながっています。

さらに、ブルガリアは2007年に欧州連合(EU)に加盟しました。これにより自由市場が開放され、より競争力のある生産システムを持つ国々の商品が流入しました。この競争激化により、国内でのジャガイモ生産が厳しい経済環境に直面した可能性があります。小規模農家が市場から淘汰され、農地の効率的な利用が困難になったことも生産量の減少に寄与していると考えられます。

最近の2020年代にはさらに低い水準で推移しています。2022年の生産量はおよそ17万トンとなり、ピーク時の1995年と比較して3分の1未満にまで縮小しています。この縮小傾向を考えると、ブルガリア農業が直面する課題は一層深刻化していると言えます。

今後の課題として、脱炭素社会の実現に向けて環境負荷を軽減しつつ効率的な生産技術の導入が求められます。同時に、若年労働者の農業分野への参画を促進する政策も不可欠です。具体的には、農業教育プログラムの展開や、新規就農者への補助金制度、ハイテク農業機器の普及などが挙げられます。さらに、気候変動の影響を緩和するための灌漑設備の整備や耐熱性の高い品種の研究開発も必要です。

また、EU内での競争力向上を目指して、生産されたジャガイモを付加価値のある加工品として輸出する仕組みを構築することも効果的でしょう。ブルガリア国内の農村地域を経済的に活性化させる一方で、国際市場での評価を高めることが重要となります。

このジャガイモ生産量推移のデータは、ブルガリアの農業や経済全体が直面している変化を示す一例と言えます。今後の政策対応次第で、これらの課題を克服し、持続可能な農業を実現できるかどうかが問われるでしょう。