世界の天然蜂蜜生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

1994年度の天然蜂蜜生産量ランキングでは、中国が177,000トンという圧倒的な数値で1位を獲得し、世界生産を主導しました。2位のアメリカ合衆国は98,500トン、3位のアルゼンチンが64,000トンと続きます。日本は3,500トンで46位にランクイン。全体的にはアジア、アメリカ大陸、そしてヨーロッパが主要生産地ですが、アフリカ諸国も一定の存在感を示しています。トップ10の国々で世界総生産の大部分を占める一方、下位の国々では生産量が極めて低い状況が見られます。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	177,000
2	アメリカ合衆国	北アメリカ	98,500
3	アルゼンチン	南アメリカ	64,000
4	ウクライナ	ヨーロッパ	61,977
5	メキシコ	南アメリカ	56,432
6	トルコ	アジア	54,908
7	インド	アジア	51,215
8	ロシア連邦	ヨーロッパ	43,899
9	カナダ	北アメリカ	34,250
10	オーストラリア	オセアニア	25,990
11	エチオピア	アフリカ	25,000
12	タンザニア連合共和国	アフリカ	24,000
13	ケニア	アフリカ	23,500
14	ドイツ	ヨーロッパ	22,233
15	スペイン	ヨーロッパ	22,036
16	アンゴラ	アフリカ	21,467
17	イラン（イスラム共和国）	アジア	20,500
18	フランス	ヨーロッパ	18,691
19	ブラジル	南アメリカ	17,514
20	ハンガリー	ヨーロッパ	16,236
21	ギリシャ	ヨーロッパ	13,795
22	マリ	アフリカ	12,647
23	イタリア	ヨーロッパ	12,500
24	ニュージーランド	オセアニア	11,819
25	ウズベキスタン	アジア	11,226
26	中央アフリカ共和国	アフリカ	10,000
27	ルーマニア	ヨーロッパ	9,820
28	ポーランド	ヨーロッパ	9,292
29	大韓民国	アジア	8,955
30	エジプト	アフリカ	8,800
31	カザフスタン	アジア	8,625
32	オーストリア	ヨーロッパ	8,000
33	チェコ	ヨーロッパ	7,750
34	トルクメニスタン	アジア	6,718
35	ウルグアイ	南アメリカ	5,500
36	キューバ	南アメリカ	4,900
37	アフガニスタン	アジア	4,343
38	ベラルーシ	ヨーロッパ	4,280
39	ポルトガル	ヨーロッパ	4,253
40	中国、台湾 中国省	アジア	4,172
41	エルサルバドル	南アメリカ	3,800
42	マダガスカル	アフリカ	3,750
43	ブルガリア	ヨーロッパ	3,749
44	スロバキア	ヨーロッパ	3,601
45	モルドバ共和国	ヨーロッパ	3,537
46	日本	アジア	3,500
47	イギリス	ヨーロッパ	3,311
48	アルジェリア	アフリカ	2,800
49	スウェーデン	ヨーロッパ	2,757
50	モロッコ	アフリカ	2,700
51	タイ	アジア	2,600
52	カメルーン	アフリカ	2,515
53	レバノン	アジア	2,130
54	フィンランド	ヨーロッパ	2,100
55	グアテマラ	南アメリカ	2,088
56	スロベニア	ヨーロッパ	2,052
57	イスラエル	アジア	2,050
58	ベトナム	アジア	2,000
59	キルギスタン	アジア	1,900
60	スイス	ヨーロッパ	1,791
61	チュニジア	アフリカ	1,700
62	ラトビア	ヨーロッパ	1,420
63	ドミニカ共和国	南アメリカ	1,388
64	パラグアイ	南アメリカ	1,348
65	アルメニア	アジア	1,300
66	コスタリカ	南アメリカ	1,210
67	リトアニア	ヨーロッパ	1,161
68	南アフリカ	アフリカ	1,073
69	シエラレオネ	アフリカ	970
70	ノルウェー	ヨーロッパ	961
71	北マケドニア	ヨーロッパ	920
72	チャド	アフリカ	907
73	クロアチア	ヨーロッパ	844
74	シリア・アラブ共和国	アジア	831
75	パキスタン	アジア	760
76	エクアドル	南アメリカ	750
77	ジャマイカ	南アメリカ	750
78	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	740
79	イエメン	アジア	740
80	リビア	アフリカ	700
81	エストニア	ヨーロッパ	642
82	ハイチ	南アメリカ	604
83	キプロス	アジア	600
84	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	500
85	ギニア	アフリカ	450
86	アゼルバイジャン	アジア	445
87	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	420
88	東ティモール	アジア	419
89	サモア	オセアニア	400
90	グルジア	アジア	361
91	モザンビーク	アフリカ	340
92	ブルンジ	アフリカ	330
93	パレスチナ国	アジア	318
94	ウガンダ	アフリカ	260
95	ザンビア	アフリカ	260
96	ホンジュラス	南アメリカ	255
97	セネガル	アフリカ	180
98	アイルランド	ヨーロッパ	163
99	アルバニア	ヨーロッパ	150
100	ニカラグア	南アメリカ	150
101	パプアニューギニア	オセアニア	120
102	ミャンマー	アジア	95
103	スリナム	南アメリカ	84
104	ギニアビサウ	アフリカ	77
105	サウジアラビア	アジア	77
106	ガイアナ	南アメリカ	74
107	ベリーズ	南アメリカ	72
108	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	66
109	ヨルダン	アジア	60
110	イラク	アジア	60
111	レユニオン	アフリカ	50
112	フランス領ポリネシア	オセアニア	49
113	プエルトリコ	南アメリカ	43
114	フィジー	オセアニア	42
115	ニューカレドニア	オセアニア	35
116	タジキスタン	アジア	25
117	トンガ	オセアニア	15
118	モンゴル	アジア	8
119	ニウエ	オセアニア	8
120	ツバル	オセアニア	2
121	クック諸島	オセアニア	1
+ すべての国を見る

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した1994年の天然蜂蜜生産量ランキングによると、世界の蜂蜜生産には大きな地域間格差が見られることが分かります。中国が1位を獲得したのは、広大な国土と多種多様な気候条件に加え、農業に大きく依存する経済構造が背景にあります。中国の生産量は177,000トンに達し、2位のアメリカ合衆国（98,500トン）や3位のアルゼンチン（64,000トン）の生産量を大きく引き離しています。中国はその後の数十年間にわたりこの分野をリードし、多くの国へ輸出することでその影響力を拡大してきました。

一方で、日本は46位（3,500トン）に留まり、国内需要のほとんどを輸入品でまかなっている点が注目されます。日本の生産規模が小さい背景には、国土面積の狭さや都市化、大量農業における農薬使用、そして環境条件の制約が挙げられます。特に1990年代には日本国内での養蜂への関心が低下しており、経済的に収益性の高い作物への移行が進んでいました。

また、このデータを見ると、アメリカ大陸諸国やヨーロッパ諸国が高順位にランクインしているのに対し、アフリカ諸国の多くは総じて中位または下位に位置していることが見て取れます。例えば、エチオピア（25,000トン）やタンザニア（24,000トン）は上位に位置するアフリカ諸国ですが、多くのアフリカの国々では生産が1,000トン未満に留まっています。この地域間格差は、資源や技術、気候、蜂群崩壊症候群（広義の昆虫減少の一種であり、蜂群の激減を引き起こす現象）の影響が各国で異なることを反映しているといえます。

地政学的な観点から見ても、蜂蜜生産には興味深い側面があります。例えば、1994年当時のウクライナ（61,977トン、4位）やロシア（43,899トン、8位）は、旧ソビエト連邦の影響下で構築された農業モデルを引き継いで生産を行っています。その一方で、現代における地域的な紛争や経済制裁などが、養蜂業における技術移転や輸出市場のアクセスにどのような影響を及ぼすか、引き続き注視する必要があります。

また、環境と生態系という視点から考えると、1994年以降に世界的に問題視されてきた蜂群崩壊症候群や農薬の使用増加が、蜂蜜生産量の変化に深刻な影響を及ぼしています。この問題は、多くの国家間協力を通じて解決策を講じるべき不可欠な課題です。例えば、持続可能な農法の普及や、蜂群の生態系を助けるための緑地帯の保全が有効な対策になると考えられます。特に日本のような生産量が低い国では、環境保護の観点を戦略に組み込むことで、品質の高い蜂蜜の生産を目指すことが重要です。

結論として、1994年の天然蜂蜜生産量ランキングは、農業や環境、そして地政学の観点から多岐にわたる示唆を提供しています。持続可能な生産体制を築くためには、地球規模での環境問題への取り組みや、技術交流、地域間の協力が不可欠です。将来的には、気候変動が蜂蜜生産に与える影響を考慮に入れつつ、各国が自然と共存できる農業モデルを構築していくことが求められます。国際社会はその支援の役割を果たし、また、日本のような消費国は自国の生産を強化することで、卸売市場や供給リスクに対する耐性を高めていく必要があります。