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ドミニカ共和国のコーヒー豆生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年最新データによれば、ドミニカ共和国のコーヒー豆生産量は1961年の36,210トンから1984年のピークである72,109トンに増加しました。その後、生産量は減少傾向を見せ、特に1990年代以降急激な減少が顕著となり、2014年には13,213トン、2015年には9,888トンという最低水準を記録しました。ただし、近年はわずかに回復し、2022年には20,577トンに達しています。しかし、過去のピークと比較すると、生産量の水準は依然として低迷しています。

年度 生産量(トン)
2022年 20,577
2021年 16,186
2020年 15,381
2019年 13,873
2018年 18,416
2017年 15,241
2016年 11,471
2015年 9,888
2014年 13,213
2013年 18,552
2012年 27,009
2011年 22,680
2010年 21,876
2009年 37,950
2008年 35,582
2007年 41,232
2006年 41,352
2005年 40,303
2004年 35,421
2003年 36,929
2002年 37,330
2001年 35,476
2000年 45,546
1999年 34,609
1998年 56,943
1997年 33,997
1996年 47,895
1995年 42,407
1994年 32,715
1993年 37,744
1992年 42,464
1991年 55,222
1990年 59,377
1989年 64,611
1988年 67,939
1987年 67,134
1986年 68,504
1985年 71,965
1984年 72,109
1983年 68,027
1982年 63,493
1981年 52,206
1980年 60,091
1979年 60,391
1978年 43,405
1977年 60,208
1976年 56,997
1975年 51,855
1974年 54,311
1973年 58,682
1972年 45,300
1971年 45,000
1970年 42,494
1969年 43,550
1968年 44,500
1967年 42,400
1966年 44,535
1965年 43,072
1964年 51,974
1963年 44,783
1962年 45,968
1961年 36,210

ドミニカ共和国はカリブ海地域でも農業が主要産業の国家であり、コーヒー生産もその経済や文化において重要な位置を占めています。同国のコーヒー豆生産量の推移データからは、生産量が1960年代から1980年代にかけて増加したのち、1990年代以降急激に減少し、2010年代に最も低迷していることが読み取れます。この動きは複数の要因に影響を受けています。

ドミニカ共和国のコーヒー生産が増加した1980年代には、国際市場におけるコーヒー需要の高まりが影響しました。特にアメリカやヨーロッパへ輸出することで同国のコーヒー産業は拡大しました。しかし、1990年代からの減少にはいくつかの背景があります。まず、コーヒーの価格下落が生産者に大きな打撃を与えました。これは、国際市場における過剰供給や価格競争の激化によるものです。さらに、労働力不足、農業技術の停滞、主要コーヒー産地への投資不足といった構造的な課題も生産量の低迷を引き起こす大きな要因となりました。

特に2010年代に入ると、生産に深刻な影響を与えたのが「さび病(コーヒーの木に感染する植物病害)」です。この病害はコーヒーの木を枯らし、生産量を大幅に減少させました。この結果、2015年には9,888トンと過去最低を記録しました。加えて、気候変動による気象条件の変化や台風などの自然災害も、生産活動をさらに困難にしています。

コーヒー生産が低迷すると、農村地域の経済に直接的な影響が及びます。同国の多くのコーヒー生産者は小規模で経済的に脆弱な存在であり、生産の減少によって農村人口の一部が都市部への移住を余儀なくされるケースも増加しています。この動きは、農村地域の経済格差を拡大させる可能性があります。

しかし、近年では生産量がわずかながら回復していることが確認されています。これは政府や国際機関による支援が奏功した結果と考えられます。具体的には、さび病に強い品種の開発と導入、農業技術研修の実施や持続可能な農法の普及、さらにはインフラ整備に向けた投資が行われています。また、コーヒーの生産だけでなく、高付加価値な製品や観光との融合といった新たなビジネスモデルの確立も進められています。このような取り組みは生産だけでなく、農村地域の経済活性化にも寄与しています。

今後の課題としては、まず、気候変動への適応策を進める必要があります。特に、気象条件に適応した作物栽培技術の普及が重要です。また、国際市場における競争力を高めるため、有機栽培やフェアトレード製品としてのブランド化を推進することも有効でしょう。さらに、労働者や若年層にとって魅力的な環境を整えることで、担い手不足を解消する取り組みが求められます。

地政学的に見ると、中南米地域全体におけるコーヒー産業の競争も影響しています。例えば、ブラジルやコロンビアといった主要生産国はドミニカ共和国よりも規模が大きく、機械化や品質向上への投資が進んでいます。この点で、ドミニカ共和国は差別化戦略が必要です。また、国際的な輸出体制の強化を図るため、諸外国との貿易協定の見直しや新規締結も検討すべきといえます。

結論として、ドミニカ共和国のコーヒー産業は依然として課題を抱えていますが、政府や国際機関の支援によって、再び生産量を増加させ、持続可能な産業として再構築する可能性があります。そのためには、技術と市場の革新、労働力の強化、気候変動への対策に一層の注力が必要です。