ドミニカ共和国の牛乳生産量は、1961年の181,000トンから2022年の860,771トンまで大幅に増加しています。特に2000年代後半から2010年代にかけて急速な伸びを記録しました。一方で、2020年以降は生産量がわずかながら減少する傾向にあり、2022年には2019年のピークである916,503トンを下回っています。この推移には、自然災害や地政学的リスク、新型コロナウイルスの影響などが絡む可能性が指摘されます。
ドミニカ共和国の牛乳生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 860,771 |
2021年 | 861,565 |
2020年 | 891,531 |
2019年 | 916,503 |
2018年 | 894,807 |
2017年 | 858,188 |
2016年 | 774,512 |
2015年 | 672,237 |
2014年 | 639,578 |
2013年 | 602,100 |
2012年 | 573,400 |
2011年 | 517,000 |
2010年 | 529,600 |
2009年 | 595,833 |
2008年 | 609,725 |
2007年 | 566,561 |
2006年 | 501,346 |
2005年 | 461,379 |
2004年 | 384,414 |
2003年 | 368,925 |
2002年 | 446,638 |
2001年 | 426,000 |
2000年 | 400,000 |
1999年 | 401,000 |
1998年 | 387,000 |
1997年 | 297,000 |
1996年 | 381,000 |
1995年 | 374,000 |
1994年 | 400,000 |
1993年 | 372,000 |
1992年 | 366,000 |
1991年 | 369,000 |
1990年 | 347,093 |
1989年 | 339,955 |
1988年 | 317,122 |
1987年 | 313,671 |
1986年 | 337,281 |
1985年 | 378,968 |
1984年 | 430,646 |
1983年 | 460,000 |
1982年 | 450,000 |
1981年 | 440,000 |
1980年 | 431,300 |
1979年 | 409,200 |
1978年 | 314,700 |
1977年 | 382,500 |
1976年 | 340,000 |
1975年 | 320,000 |
1974年 | 340,000 |
1973年 | 330,000 |
1972年 | 315,000 |
1971年 | 304,000 |
1970年 | 283,000 |
1969年 | 260,000 |
1968年 | 239,627 |
1967年 | 231,000 |
1966年 | 210,000 |
1965年 | 200,000 |
1964年 | 186,000 |
1963年 | 182,000 |
1962年 | 181,000 |
1961年 | 181,000 |
Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによれば、ドミニカ共和国の牛乳生産量は1961年から2022年にかけて約5倍に増加しており、食糧生産の重要な柱の一つとして成長を遂げてきました。特に、1970年代中盤以降に生産量が顕著に拡大し、2006年から2008年の間には500,000トンを超える記録を達成しました。この成長には、農業技術の向上、酪農インフラの整備、そして国内外市場への需要増加が関連しています。
しかし、こうした全体的な成長の背後には、幾つかの特徴的な課題も見られます。例えば、1975年や1985年、1986年といった特定の年の生産量の減少は、干ばつや風水害といった自然災害の影響、あるいは国の経済状況に左右されている可能性があります。1997年に297,000トンと一時的な大幅な減少を記録した時期も見過ごせません。このような生産量の変動は、食料供給の安定に対するリスクを示唆しています。
近年のデータを見ると、2016年から2018年にかけて特に急速な増加が見られ、2022年には860,771トンの水準に達しました。しかし、2019年の916,503トンを頂点として2020年以降はやや減少する傾向にあり、新型コロナウイルスの影響、または世界的な供給網混乱がこの減少の要因と考えられます。パンデミックによる物流停滞やコストの高騰は、酪農業界にも大きな負担をもたらしました。
加えて、ドミニカ共和国は地理的にカリブ海の気象リスクにさらされているため、ハリケーンや豪雨など自然災害の影響を受けやすい地域となっています。この地政学的背景は、食料供給の安定において長年大きな課題となってきました。それに加え、近年では気候変動に伴う気温の上昇や降雨パターンの変化も問題視されています。これに対抗するには、耐候性農業の技術導入が重要であり、水資源管理や高効率な酪農技術のさらなる普及が急務です。
さらに、ドミニカ共和国の牛乳生産量を世界の他国と比較すると、依然として発展途上の部類に属することがわかります。例えば、2021年の日本では約7,000,000トン、アメリカは約101,000,000トンという規模であり、ドミニカ共和国の生産量はこれらの先進国と比べると微々たる水準です。しかし、カリブ地域内においては重要な酪農生産地域の一つとなっており、地域経済に果たす役割も軽視できません。
今後の課題は、生産の変動要因に対応して持続可能なシステムを構築することです。例えば、気象リスクに対応した早期警戒システムや、酪農におけるスマート技術の導入が考えられます。また、国際協力を通じた災害リスク軽減の取り組みや、地域内の貿易枠組みの強化も有望な施策の一つです。これに取り組むことで、ドミニカ共和国の牛乳産業は、気候・地理的リスクに左右されにくい持続可能な成長を遂げられるでしょう。
総じて、ドミニカ共和国の牛乳生産量は過去数十年間で大きな成長を遂げてきましたが、その安定性と環境への適応力を高める必要があります。食品安全保障と地域社会の経済発展を確保するためには、政府や国際機関、そして企業が連携して包括的な支援策を講じることが重要です。