国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、1990年のコーヒー豆生産量ランキングでブラジルが1,464,856トンを生産し、首位となっています。続いてコロンビアが845,000トン、3位のメキシコが440,000トンとなり、これらの上位3か国で全体の相当な割合を占めています。アジア地域ではインドネシアが4位にランクイン、ベトナムも17位に位置づけられ今後のポテンシャルが注目されます。一方、アフリカ諸国はコートジボワールが5位と健闘しており、地域全体の生産量は今後の成長可能性を示唆しています。欧米諸国や、アジア・中東の生産量は比較的少なく、全体の集中度が高い状況です。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
南アメリカ | 1,464,856 |
| 2 |
|
南アメリカ | 845,000 |
| 3 |
|
南アメリカ | 440,000 |
| 4 |
|
アジア | 412,767 |
| 5 |
|
アフリカ | 285,164 |
| 6 |
|
南アメリカ | 202,400 |
| 7 |
|
南アメリカ | 151,100 |
| 8 |
|
南アメリカ | 147,200 |
| 9 |
|
南アメリカ | 134,980 |
| 10 |
|
アフリカ | 128,747 |
| 11 |
|
アジア | 125,659 |
| 12 |
|
南アメリカ | 119,784 |
| 13 |
|
アジア | 118,100 |
| 14 |
|
アフリカ | 103,900 |
| 15 |
|
アフリカ | 101,594 |
| 16 |
|
アフリカ | 100,980 |
| 17 |
|
アジア | 92,000 |
| 18 |
|
アフリカ | 85,000 |
| 19 |
|
南アメリカ | 81,142 |
| 20 |
|
南アメリカ | 76,412 |
| 21 |
|
アジア | 71,483 |
| 22 |
|
オセアニア | 60,000 |
| 23 |
|
南アメリカ | 59,377 |
| 24 |
|
アフリカ | 53,420 |
| 25 |
|
南アメリカ | 37,200 |
| 26 |
|
アフリカ | 34,680 |
| 27 |
|
アフリカ | 32,694 |
| 28 |
|
アフリカ | 30,000 |
| 29 |
|
南アメリカ | 27,996 |
| 30 |
|
アフリカ | 25,800 |
| 31 |
|
南アメリカ | 24,900 |
| 32 |
|
南アメリカ | 24,378 |
| 33 |
|
南アメリカ | 17,576 |
| 34 |
|
アフリカ | 14,314 |
| 35 |
|
アフリカ | 13,569 |
| 36 |
|
南アメリカ | 12,927 |
| 37 |
|
アフリカ | 12,800 |
| 38 |
|
南アメリカ | 11,547 |
| 39 |
|
アジア | 8,631 |
| 40 |
|
アジア | 7,567 |
| 41 |
|
アジア | 7,411 |
| 42 |
|
アジア | 7,215 |
| 43 |
|
アフリカ | 6,500 |
| 44 |
|
アジア | 6,300 |
| 45 |
|
アフリカ | 6,180 |
| 46 |
|
アジア | 5,204 |
| 47 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 48 |
|
アフリカ | 3,030 |
| 49 |
|
南アメリカ | 1,944 |
| 50 |
|
アフリカ | 1,600 |
| 51 |
|
南アメリカ | 1,560 |
| 52 |
|
アフリカ | 1,380 |
| 53 |
|
アジア | 1,378 |
| 54 |
|
アフリカ | 1,354 |
| 55 |
|
北アメリカ | 1,016 |
| 56 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 57 |
|
アフリカ | 937 |
| 58 |
|
オセアニア | 660 |
| 59 |
|
オセアニア | 300 |
| 60 |
|
南アメリカ | 300 |
| 61 |
|
アフリカ | 269 |
| 62 |
|
南アメリカ | 178 |
| 63 |
|
アジア | 160 |
| 64 |
|
南アメリカ | 150 |
| 65 |
|
アフリカ | 120 |
| 66 |
|
アフリカ | 90 |
| 67 |
|
アフリカ | 50 |
| 68 |
|
南アメリカ | 46 |
| 69 |
|
アフリカ | 37 |
| 70 |
|
南アメリカ | 20 |
| 71 |
|
オセアニア | 18 |
| 72 |
|
オセアニア | 15 |
| 73 |
|
オセアニア | 13 |
| 74 |
|
ヨーロッパ | 9 |
| 75 |
|
オセアニア | 6 |
| 76 |
|
オセアニア | 2 |
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1990年のコーヒー豆生産量ランキングから、主要な生産国とその分布状況が浮き彫りになりました。1位のブラジルは約1,460,000トン以上を生産し、全体の大きなシェアを占めています。ブラジルが今日まで世界最大の生産国である背景には、広大な土地資源、豊かな気候条件、そして長い歴史による熟練した栽培技術があります。同様に2位のコロンビアも845,000トンを生産。なだらかな山岳地帯での良質なアラビカ種の生産が、この国のコーヒーを世界的にブランド化している要因です。
他方、アジア地域を見ると、インドネシアが4位に入り、約412,000トンを生産しています。特にロブスタ種の生産で知られるインドネシアは、自然災害の多い環境にありながら持続的な生産を続けています。また、17位に位置するベトナムの1990年時点での生産量は92,000トンに過ぎませんが、後の数十年にわたる農業改革や政府の積極的な輸出政策により、世界有数の生産国に成長する兆しが見えた段階といえます。一方、日本、中国、韓国といった東アジア諸国のランクインが限られていることから、この地域の気候条件や農業方針が生産量に影響していると考えられます。
アフリカでは、コートジボワールが約285,000トンで5位となり、地域全体をリードしています。この生産量は、アフリカ全体のコーヒー生産の重要性を示している一方、経済的・社会的な不安定性やインフラの不足が生産量の伸びを制限している課題も見られます。ウガンダやエチオピアといった国々もまた、良質なコーヒーの生産地として注目されるものの、同様のリスクや課題を抱えています。
一方、アメリカやヨーロッパ諸国の生産量はランキング外または下位の位置にとどまっています。例えば、アメリカの生産量はわずか1,016トンで、これは限られた地理的条件と需給バランスを背景としています。フランスやイギリスなどは消費国としての性格が強く、生産活動はほぼ見られません。この傾向は、地政学的条件や歴史的なコーヒー流通構造に基づくものです。
課題として挙げられるのは、コーヒー生産が特定の地域に極端に集中している点です。天候異常や疫病といった自然リスクが生産量に与える影響が大きく、特に気候変動の影響が懸念される今後では、供給の安定を確保することが重要です。また、急速に成長しつつある生産国における過剰生産や市場価格の低迷も、コーヒー農家の収益を圧迫する要因となり得ます。
未来に向けた提案として、まず生産国に対して持続可能な農業技術の導入や、国際機関との協力を強化することを提案します。例えば、気候変動に適したハイブリッド品種の研究や、農業収入を保護するための適正価格保障制度の確立などが挙げられます。また、消費国としての日本やヨーロッパ諸国には、公正な取引を保証するフェアトレード制度の拡充や、消費者意識の向上を促進する役割が求められます。
結論として、1990年のデータは、当時の生産構造や分布を理解する上で極めて有用な情報です。ただし、地政学的リスクや気候変動といった新たな課題も踏まえた上で、今後の政策や技術革新を積極的に進める必要があります。これにより、持続可能なコーヒー生産体制の構築が可能となり、生産国・消費国双方に利益をもたらすことが期待されます。