世界のコーヒー豆生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した2023年度のコーヒー豆生産量ランキングによれば、世界一の生産量を誇るのはブラジルで3,405,267トン、次いでベトナムが1,956,782トン、インドネシアが760,192トンとなっています。これら上位3カ国が特に高いシェアを占めており、全体の構図を大きく左右しています。一方で、50位以内にもアフリカ諸国や中南米諸国が多く見受けられることから、地域ごとにその生産構造の特色が反映されています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	ブラジル	南アメリカ	3,405,267
2	ベトナム	アジア	1,956,782
3	インドネシア	アジア	760,192
4	コロンビア	南アメリカ	680,858
5	エチオピア	アフリカ	559,400
6	ホンジュラス	南アメリカ	384,361
7	ウガンダ	アフリカ	384,000
8	ペルー	南アメリカ	369,551
9	インド	アジア	332,848
10	中央アフリカ共和国	アフリカ	316,108
11	グアテマラ	南アメリカ	225,327
12	ギニア	アフリカ	200,000
13	メキシコ	南アメリカ	194,916
14	ラオス人民民主共和国	アジア	177,662
15	ニカラグア	南アメリカ	143,337
16	中国	アジア	108,000
17	コートジボワール	アフリカ	91,327
18	コスタリカ	南アメリカ	78,822
19	タンザニア連合共和国	アフリカ	62,917
20	コンゴ民主共和国	アフリカ	62,217
21	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	56,381
22	マダガスカル	アフリカ	49,344
23	ケニア	アフリカ	48,700
24	パプアニューギニア	オセアニア	45,371
25	エルサルバドル	南アメリカ	32,326
26	イエメン	アジア	30,291
27	フィリピン	アジア	30,023
28	ルワンダ	アフリカ	27,104
29	カメルーン	アフリカ	24,266
30	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	23,579
31	ドミニカ共和国	南アメリカ	23,446
32	トーゴ	アフリカ	22,895
33	アンゴラ	アフリカ	20,071
34	タイ	アジア	16,575
35	パナマ	南アメリカ	12,760
36	マラウイ	アフリカ	11,000
37	ブルンジ	アフリカ	9,900
38	東ティモール	アジア	9,168
39	ザンビア	アフリカ	8,787
40	ミャンマー	アジア	8,417
41	ジャマイカ	南アメリカ	8,152
42	キューバ	南アメリカ	6,000
43	マレーシア	アジア	5,996
44	エクアドル	南アメリカ	5,584
45	ハイチ	南アメリカ	5,047
46	スリランカ	アジア	4,750
47	赤道ギニア	アフリカ	4,092
48	シエラレオネ	アフリカ	3,600
49	コンゴ	アフリカ	3,238
50	アメリカ合衆国	北アメリカ	3,121
51	ナイジェリア	アフリカ	1,844
52	プエルトリコ	南アメリカ	1,616
53	中国、台湾 中国省	アジア	1,034
54	モザンビーク	アフリカ	795
55	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	771
56	ガーナ	アフリカ	736
57	ジンバブエ	アフリカ	699
58	リベリア	アフリカ	625
59	ネパール	アジア	394
60	カンボジア	アジア	365
61	ドミニカ	南アメリカ	361
62	パラグアイ	南アメリカ	267
63	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	185
64	コモロ	アフリカ	144
65	ガイアナ	南アメリカ	133
66	ガボン	アフリカ	104
67	ベリーズ	南アメリカ	90
68	ベナン	アフリカ	55
69	フランス領ポリネシア	オセアニア	22
70	カーボベルデ	アフリカ	17
71	トンガ	オセアニア	15
72	バヌアツ	オセアニア	14
73	フィジー	オセアニア	14
74	サモア	オセアニア	12
75	サントメ・プリンシペ	アフリカ	8
76	スリナム	南アメリカ	6
77	ニューカレドニア	オセアニア	1
78	クック諸島	オセアニア	0
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2023年度のコーヒー豆生産量ランキングを見ると、ブラジルが独走的な地位にあり、他の国々と大きな差をつけています。3,405,267トンという圧倒的な生産量を生む背景には、国土の広大さのみならず、高品質なアラビカ種やロブスタ種の栽培に適した気候条件、そして生産技術の高度な集約があります。一方、2位のベトナム（1,956,782トン）は主にロブスタ種を大量に生産し、比較的低コストでコーヒーを市場へ供給していることで知られています。これによって、インスタントコーヒー市場への影響力を強めています。インドネシア（760,192トン）は独特のフレーバーを持つコピ・ルワックやスマトラ種で知られ、品質を重視した市場戦略を目指しています。

興味深いのは、生産上位25位以内に中南米諸国が数多くランクインしている点です。特に、コロンビア（680,858トン）とペルー（369,551トン）などのアンデス地域は、標高の高い農地を活用し、多くのプレミアムコーヒーを産出しています。同様に、ホンジュラス（384,361トン）やグアテマラ（225,327トン）では国内の農業インフラ向上の取り組みが結実しています。

一方で、アフリカ諸国に目を向けると、伝統的に高い評価を受けているエチオピア（559,400トン）が5位に位置し、地域を代表する生産地としての地位を堅持しています。しかし、ウガンダ（384,000トン）のように新たに注目を浴び始めた国々もあり、アフリカ全体が市場での価格競争や品質向上に向けた取り組みを進めています。

アジアにおいては、ベトナムが突出している一方で、9位にランクインしているインド（332,848トン）がその後を追っています。これに続く中国（108,000トン）は規模としてはまだ小さいものの、政府の支援を受けて生産量を着実に増加させています。日本市場でのコーヒー消費が右肩上がりである一方、国内での生産がほとんどない状況下、日本を含む主要消費国はこれら生産国との安定的な交易関係の構築が重要視されます。

環境的リスクや地政学的要因も見逃せません。特に、自然災害や気候変動は、エチオピアやペルーにおける栽培地が影響を受けやすい地域にあることから、収穫量や品質の変動を招く懸念があります。また、内戦や地域衝突が発生しやすいウガンダや中央アフリカ共和国では、生産活動への直接的な妨げとなることが課題です。これに対して、国際社会は地域支援や安定化への施策を講じる必要があります。

未来に向けて、各国で取り組むべき具体的な対策として、効率的な灌漑（かんがい）システムの導入、生産者への技術教育の強化、そして持続可能な農業手法の普及が挙げられます。さらに、コーヒー生産の中心的プレイヤーへの依存を減らし、多様な国による供給体制を構築することが、世界的な安定供給には欠かせません。これには、新規生産国の参入を後押ししたり、多国間協力を推進して生産状況の監視と調整を行ったりする国際的な枠組みが有効と考えられます。

結論として、2023年度のコーヒー豆生産ランキングはブラジルやベトナムに代表される大規模生産国を軸に展開されていますが、地政学的リスクや気候変動への対応は今後の安定供給のカギとなります。各国政府や国際機関が協力し合うことで、この貴重な資源を次世代へと持続可能に引き継ぐ仕組みを作り上げることが求められます。