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ドミニカ共和国のプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ドミニカ共和国のプランテン(調理用バナナ)生産量は2023年に1,335,000トンとなり、記録開始以来の最高値を達成しました。過去数十年には不安定な時期があったものの、2000年代に顕著な増加傾向が見られ、特に2010年以降の成長が顕著です。気候条件の変化や政策的な支援がこの増加に寄与した可能性が高いです。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,335,000
15.95% ↑
2022年 1,151,333
7.05% ↑
2021年 1,075,527
-6.89% ↓
2020年 1,155,152
12.42% ↑
2019年 1,027,491
0.93% ↑
2018年 1,017,978
-1.76% ↓
2017年 1,036,268
5.78% ↑
2016年 979,685
9.42% ↑
2015年 895,338
-11.11% ↓
2014年 1,007,261
10.93% ↑
2013年 908,028
9.53% ↑
2012年 829,008
7.94% ↑
2011年 768,032
66.87% ↑
2010年 460,254
-11.02% ↓
2009年 517,271
46.96% ↑
2008年 351,976
-30.25% ↓
2007年 504,631
-7.02% ↓
2006年 542,756
30.84% ↑
2005年 414,810
33.42% ↑
2004年 310,898
-10.19% ↓
2003年 346,189
7.16% ↑
2002年 323,049
-3.89% ↓
2001年 336,122
1.18% ↑
2000年 332,218
44.87% ↑
1999年 229,322
-14.35% ↓
1998年 267,733
-7.02% ↓
1997年 287,952
-9.21% ↓
1996年 317,169
-0.31% ↓
1995年 318,158
12.15% ↑
1994年 283,685
-31.5% ↓
1993年 414,137
26.74% ↑
1992年 326,764
-14.64% ↓
1991年 382,822
22.72% ↑
1990年 311,949
-56% ↓
1989年 709,000
8.96% ↑
1988年 650,700
-3.16% ↓
1987年 671,900
3.37% ↑
1986年 650,000
8.33% ↑
1985年 600,000
-2.44% ↓
1984年 615,000
1.65% ↑
1983年 605,000
0.83% ↑
1982年 600,000
-4% ↓
1981年 625,000
4.17% ↑
1980年 600,000
9.09% ↑
1979年 550,000
-9.84% ↓
1978年 610,000
14.78% ↑
1977年 531,460
-5.68% ↓
1976年 563,483
14.33% ↑
1975年 492,855
-8.41% ↓
1974年 538,135
1.5% ↑
1973年 530,204
-0.35% ↓
1972年 532,065
-2.32% ↓
1971年 544,718
2.54% ↑
1970年 531,202
3.64% ↑
1969年 512,550
29.54% ↑
1968年 395,678
0.85% ↑
1967年 392,331
-17.64% ↓
1966年 476,382
1.4% ↑
1965年 469,807
0.24% ↑
1964年 468,666
0.62% ↑
1963年 465,780
2.19% ↑
1962年 455,820
2.84% ↑
1961年 443,239 -

ドミニカ共和国は、プランテン(調理用バナナ)の主要生産地として知られており、国内外の需要に応じた生産を行っています。1960年代から現在までの推移を見てみると、プランテン生産量は一貫した成長を見せているわけではなく、特定の時期には大幅な増減が見られます。例えば、1967年には392,331トンと前年より大幅に減少しましたが、1970年代には徐々に増加傾向に転じています。特に1978年以降には、生産量が急速に伸びた時期もあれば、停滞や減少が見られる年もありました。

1990年代に入ると、生産量が再び減少傾向を示し、1994年には283,685トンと顕著な低下が記録されました。これは、同国がこの時期に経験した経済的な混乱や天候の変動に起因していると考えられます。さらに、1998年から2004年にかけてのアジア経済危機の影響やイノセクタ(害虫)による被害も、農業セクター全般に負の影響を与えた可能性があります。しかしながら、2006年以降は再び上昇傾向となり、2011年には768,032トンに達し、その後も順調な伸びを続けることが確認できます。この持続的な伸びは、農業技術の改良、灌漑設備の整備、国内政策の支援など、複数の要因によるものと推測されます。

特筆すべきは、2010年から2023年にかけての急激な生産量の増加です。この期間中、生産量は約2.9倍に拡大し、2023年には過去最高の1,335,000トンを記録しました。これは一部には、ドミニカ共和国が気候変動への適応策を取り入れたことや、輸出市場の拡大を図ったことが影響しています。また、2020年以降の世界的な新型コロナウイルス感染症による生活様式の変化に伴い、健康志向の食品としてプランテンの需要が高まったことも背景にあると見られます。

生産量の地政学的意義も軽視するべきではありません。プランテンは地域の食料安全保障に重要な役割を果たしており、特に中南米やカリブ海地域において基盤的な食糧供給源となっています。しかし、この生産が特定の国に偏っているため、自然災害や地政学的リスクが与える悪影響も無視できません。例えば、2017年のハリケーン・マリアのような自然災害が農業生産に与える壊滅的な影響は、地域全体の食糧安定に直結します。

ドミニカ共和国における今後の課題としては、持続可能な農業の促進、害虫や病害への対策、気候変動への適応能力の向上が挙げられます。また、プランテンの生産に依存しすぎると経済リスクが高まる可能性もあるため、多様な農業製品の生産や輸出市場の開拓が必要です。地域間の協力も重要であり、隣国ハイチや周辺諸国との連携を深めることで、資源を効率的に利用し、共通の課題に取り組むことができます。

結論として、ドミニカ共和国のプランテン生産量の推移は過去の課題を克服し着実な成長を遂げた例と見ることができます。この成果を持続可能な形で維持するためには、農業分野への継続的な投資と技術革新が不可欠です。また、地政学的リスクや気候変動への備えを強化することで、この重要な資源の安定供給を確保することが求められます。さらに、国際社会と連携し、技術や知識の共有を進めることで、地域全体の食料安全保障に寄与していくことが期待されます。