国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2001年度のコーヒー豆生産量ランキングによると、世界で最も多くのコーヒー豆を生産したのはブラジル(1,819,569トン)で、全体の生産量において圧倒的なシェアを占めています。2位はベトナム(840,600トン)、3位はコロンビア(656,160トン)でした。アジア、アフリカ、ラテンアメリカが主要なコーヒー生産地であり、それぞれの地域の特徴が生産量に大きく影響しています。一方で、日本やアメリカなどのコーヒー消費が高い先進国では、国内生産が極めて少ない状況も見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
南アメリカ | 1,819,569 |
| 2 |
|
アジア | 840,600 |
| 3 |
|
南アメリカ | 656,160 |
| 4 |
|
アジア | 569,234 |
| 5 |
|
南アメリカ | 302,996 |
| 6 |
|
アフリカ | 301,127 |
| 7 |
|
アジア | 301,000 |
| 8 |
|
南アメリカ | 261,097 |
| 9 |
|
南アメリカ | 205,545 |
| 10 |
|
アフリカ | 197,410 |
| 11 |
|
南アメリカ | 196,232 |
| 12 |
|
南アメリカ | 164,790 |
| 13 |
|
アフリカ | 157,155 |
| 14 |
|
南アメリカ | 150,289 |
| 15 |
|
アジア | 112,271 |
| 16 |
|
南アメリカ | 112,201 |
| 17 |
|
南アメリカ | 91,877 |
| 18 |
|
アジア | 86,009 |
| 19 |
|
アフリカ | 70,980 |
| 20 |
|
アフリカ | 70,500 |
| 21 |
|
南アメリカ | 66,799 |
| 22 |
|
アフリカ | 64,530 |
| 23 |
|
オセアニア | 63,720 |
| 24 |
|
アフリカ | 58,100 |
| 25 |
|
アフリカ | 51,700 |
| 26 |
|
アジア | 38,500 |
| 27 |
|
南アメリカ | 35,476 |
| 28 |
|
アフリカ | 34,723 |
| 29 |
|
南アメリカ | 28,000 |
| 30 |
|
アジア | 25,796 |
| 31 |
|
南アメリカ | 24,086 |
| 32 |
|
アフリカ | 18,366 |
| 33 |
|
アジア | 17,202 |
| 34 |
|
アフリカ | 16,900 |
| 35 |
|
アフリカ | 16,267 |
| 36 |
|
南アメリカ | 15,720 |
| 37 |
|
南アメリカ | 15,074 |
| 38 |
|
アフリカ | 14,160 |
| 39 |
|
アジア | 14,134 |
| 40 |
|
アフリカ | 12,300 |
| 41 |
|
アジア | 11,906 |
| 42 |
|
アジア | 10,210 |
| 43 |
|
南アメリカ | 8,650 |
| 44 |
|
アフリカ | 7,518 |
| 45 |
|
アフリカ | 5,868 |
| 46 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 47 |
|
アフリカ | 4,320 |
| 48 |
|
アフリカ | 3,850 |
| 49 |
|
北アメリカ | 3,630 |
| 50 |
|
アフリカ | 3,300 |
| 51 |
|
アフリカ | 3,200 |
| 52 |
|
南アメリカ | 2,880 |
| 53 |
|
南アメリカ | 2,751 |
| 54 |
|
アジア | 2,300 |
| 55 |
|
アフリカ | 1,612 |
| 56 |
|
アフリカ | 1,379 |
| 57 |
|
アフリカ | 782 |
| 58 |
|
南アメリカ | 406 |
| 59 |
|
アジア | 300 |
| 60 |
|
南アメリカ | 290 |
| 61 |
|
南アメリカ | 229 |
| 62 |
|
南アメリカ | 155 |
| 63 |
|
南アメリカ | 153 |
| 64 |
|
アフリカ | 150 |
| 65 |
|
アフリカ | 101 |
| 66 |
|
アジア | 89 |
| 67 |
|
アフリカ | 78 |
| 68 |
|
オセアニア | 56 |
| 69 |
|
南アメリカ | 40 |
| 70 |
|
南アメリカ | 35 |
| 71 |
|
アフリカ | 22 |
| 72 |
|
オセアニア | 18 |
| 73 |
|
オセアニア | 16 |
| 74 |
|
オセアニア | 15 |
| 75 |
|
オセアニア | 14 |
| 76 |
|
オセアニア | 8 |
| 77 |
|
オセアニア | 7 |
| 78 |
|
南アメリカ | 4 |
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2001年度のデータによると、コーヒー豆の生産量は特定の国や地域に集中していることが確認されます。1位のブラジルは独自の地理的条件や長い栽培の歴史が要因となり、他国を大きく引き離してのトップ生産国となっています。アマゾンの熱帯気候や広大な土地、また農業技術の発達により、高品質なコーヒー豆の大量生産が可能となっています。
続くベトナムは、高品質なコーヒーではなく、主にロブスタ種を中心とした安価で生産効率の高い豆の生産に強みを持っています。この背景には、ベトナム戦争後の農業振興策と対外輸出に注力した経済政策の影響が伺えます。3位のコロンビアはアラビカ種のコーヒー豆で世界的に知られており、標高の高い地域での栽培がその豊かな風味や香りを生み出しています。それに続くインドネシアやメキシコもそれぞれ地域特有の種類を生産しており、多様性が窺えます。
一方、アフリカに目を向けると、ランキング上位のコートジボワールやエチオピアは地域特有の品種で名声を得ています。特にエチオピアは、コーヒー発祥の地とも言われる重要な地域ですが、総生産量では他国に劣り、主に中規模農家の手作業による栽培が中心です。こうした比較的小規模取り組みが生産量増加の障害ともなっています。
アジア圏ではインドが7位にランクインし、さらにタイやフィリピンといった国々も健闘しています。ただし、中国は33位にとどまり、コーヒー産業がまだ初期段階であることが示されています。この時点の中国においては、急成長していた経済がコーヒー消費を増加させていた一方、生産においては規模も小さく限定された地域での取り組みが主流でした。
北米や日本など、主に消費国として知られる地域の生産量は非常に少ないことも注目点です。例えば、日本は主要なコーヒー輸入国でありながら、国内ではコーヒー豆の生産量が商業的な規模には達していません。同様に、アメリカは大規模なコーヒー消費国であるにも関わらず、国内生産量はその需要に比べて僅かです。
このように、輸出を主とした国と輸入依存型の国の間には、生産拠点の集中と消費地域の分散という特性が見られます。この動きにより、特定の生産国では異常気象や地政学的リスクの影響を受けやすく、また一部の消費国では供給の安定性が常に課題となっています。
将来的な課題として、生産拠点が依然として集中していること、また主要生産国での気候変動の影響による生産量変動があります。コーヒーは気温や降水量に依存するため、適した栽培条件を持つ地域が減少すると生産量や品質に深刻な影響を及ぼす懸念があります。加えて、一部の農村地域では生産価格の低迷により、働き手が他の産業に流出しているという問題もあります。
この課題への具体的な対策として、生産国では持続可能な農業の推進が重要です。気候に適応した栽培技術の導入や、省エネルギー型の加工施設の整備が求められます。また、生産者への適切な報酬を確保し、フェアトレードの促進を行うことで、産地の維持が可能になります。一方、消費国では、輸出国と共同で安定供給のための協力枠組みをさらに強化する必要があります。加えて、生産国におけるインフラ整備支援や農業技術の研究提供を行うことも有効です。
地政学的には、特に西アフリカにおける紛争や南米地域の環境破壊が、少なからず生産量や輸出の安定性に影響を与える可能性が高いです。このため、生産国が安心して農業に取り組める基盤を国際社会全体で整えることが急務です。例えば、コートジボワールやウガンダのような紛争地域では、農村の安定化を優先する政策が求められます。
コーヒー豆は単なる嗜好品ではなく、多くの人々の生計を支える重要な作物です。国際的な協力を通じて、貿易と生産を健全に維持する努力が、今後も必要不可欠となるでしょう。