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ドミニカ共和国のサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ドミニカ共和国のサトウキビ生産量は長期的に見て大きな変動を示しています。ピークとなった1977年の11,091,237トン以降、持続的な減少傾向が見られつつも、いくつかの上昇局面も確認できます。直近の2022年には5,618,097トンを達成する一方で、2023年には4,571,919トンと再び減少しています。この変動には、国内外のさまざまな要素が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,571,919
-18.62% ↓
2022年 5,618,097
2.04% ↑
2021年 5,505,530
3.54% ↑
2020年 5,317,273
8.61% ↑
2019年 4,895,891
-15.72% ↓
2018年 5,809,353
6.38% ↑
2017年 5,460,761
37.18% ↑
2016年 3,980,684
-12.23% ↓
2015年 4,535,333
-9.9% ↓
2014年 5,033,601
5.5% ↑
2013年 4,771,211
-1.94% ↓
2012年 4,865,576
4.76% ↑
2011年 4,644,449
1.47% ↑
2010年 4,577,122
-0.96% ↓
2009年 4,621,275
-4.63% ↓
2008年 4,845,736
-2.39% ↓
2007年 4,964,606
3.5% ↑
2006年 4,796,548
-1.27% ↓
2005年 4,858,059
-12.31% ↓
2004年 5,539,762
10.37% ↑
2003年 5,019,224
-2.59% ↓
2002年 5,152,499
6.66% ↑
2001年 4,830,732
7.09% ↑
2000年 4,510,706
1.31% ↑
1999年 4,452,382
-12.65% ↓
1998年 5,096,890
-22.71% ↓
1997年 6,594,179
7.56% ↑
1996年 6,130,634
12.64% ↑
1995年 5,442,473
-13.03% ↓
1994年 6,257,749
-15.07% ↓
1993年 7,368,413
6.54% ↑
1992年 6,915,786
-0.21% ↓
1991年 6,930,457
6.43% ↑
1990年 6,511,584
-17.11% ↓
1989年 7,855,716
-6.2% ↓
1988年 8,374,964
-1.76% ↓
1987年 8,525,375
10.79% ↑
1986年 7,695,018
-8.6% ↓
1985年 8,419,497
-18.03% ↓
1984年 10,271,447
-10.84% ↓
1983年 11,520,000
-2.41% ↓
1982年 11,805,000
22.6% ↑
1981年 9,629,000
6.33% ↑
1980年 9,055,700
-12.11% ↓
1979年 10,304,000
-7.12% ↓
1978年 11,093,637
0.02% ↑
1977年 11,091,237
1.46% ↑
1976年 10,932,150
17.08% ↑
1975年 9,337,018
-7.83% ↓
1974年 10,130,615
0.38% ↑
1973年 10,091,983
2.65% ↑
1972年 9,831,437
-1.43% ↓
1971年 9,973,725
15.24% ↑
1970年 8,654,779
3.91% ↑
1969年 8,328,978
46.44% ↑
1968年 5,687,696
-19.39% ↓
1967年 7,055,664
6.29% ↑
1966年 6,638,333
19.74% ↑
1965年 5,544,081
-28.77% ↓
1964年 7,783,595
5.15% ↑
1963年 7,402,298
-8.47% ↓
1962年 8,086,944
3.53% ↑
1961年 7,811,195 -

ドミニカ共和国のサトウキビ生産量の推移を振り返ると、1961年から1970年代後半にかけては主に増加傾向を辿り、1977年に過去最高となる約1,110万トンに達しました。この時期は、ドミニカ共和国が世界的なサトウキビ生産国として高い評価を受けていた背景を反映しています。しかし、それ以降は1990年代まで急激な減少傾向が続き、2000年代以降は年間生産量が概ね400万トンから500万トン台で推移するようになりました。

この減少傾向にはいくつかの理由が考えられます。まず、機械化や技術革新の進歩が他の主要生産国ほど進まず、依然として労働集約的な産業形態が続いていることが指摘されています。他国、特にブラジルやインドといった巨大なサトウキビ生産国においては、生産技術の向上により大規模な収穫が可能になり、国際市場でより競争力を持つ価格で供給できるようになりました。一方で、ドミニカ共和国は農地の効率的な利用や収穫プロセスの改善が限られており、生産コストが比較的高いままであるため、価格競争力を失っています。

また、気候変動の影響も無視できません。サトウキビは大量の水を必要とする作物であり、降水量の減少や極端な気象現象が生産量に直結します。近年、ドミニカ共和国における干ばつや台風といった気象リスクが増加したことも、生産量の不安定さを深化させています。例えば2023年の減少は、台風や異常気象の影響が一因である可能性があります。

さらに、サトウキビ栽培における労働環境も重要な課題です。一部報告では、低賃金や過酷な労働条件が農業従事者の減少を引き起こしているとされ、特に若年層において農業への関心が薄れてきています。この結果として、農業労働力の確保が困難となり、生産効率がさらに低下しています。

ドミニカ共和国のサトウキビ生産はまた、国際市場や政治状況にも依存しています。アメリカ合衆国はドミニカ共和国産砂糖の主要な輸入国の一つであり、政策的な関税措置や貿易交渉が生産に直接的な影響を与えます。地政学的には、近隣諸国との競争や地域間貿易協定の問題もあり、これらが輸出市場の制約となる場合もあります。

課題を解決するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、農業技術の革新と機械化の推進が挙げられます。これは、公的支援や国際的な協力を通じて、生産効率を高めるための設備投資を促進することが求められます。また、気候変動への適応策として、耐乾性品種の導入や灌漑システムの整備が不可欠です。政府は、農村地域のインフラ整備や若年層への農業教育支援を充実させることで、労働市場の強化も図るべきです。

さらに、貿易政策の見直しと多国間協力の強化も検討されるべきです。地域間での輸出入の自由化を進める枠組みや、二国間協定の改善が、輸出市場の拡大に寄与する可能性があります。これに付随して、持続可能な農業の取り組みを強化し、国際機関からの認証を取得することで、国際競争力を補完する方法もあります。

結論として、ドミニカ共和国のサトウキビ生産量は歴史的には大きな変動を伴いながら減少基調にありますが、適切な政策と技術的改善により安定的な生産体制を構築することが可能です。地域特性を最大限に活用した持続可能な農業振興を通じて、国内経済の成長と国際競争力の強化を実現することが今後の課題です。