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ドミニカ共和国の羊肉生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO)が発表したデータによると、ドミニカ共和国の羊肉生産量は1961年の86トンから2023年の906トンに大幅に増加しています。ただし、1999年に326トンまで急減した年がある一方で、2004年から2006年にかけては550トンを超える高い伸びを見せ、2012年以降は800トンを上回る持続的な成長が見られます。近年では900トンを超える安定した高い生産量を維持していますが、2023年にはわずかに減少しました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 906
-0.92% ↓
2022年 914
1.05% ↑
2021年 905
1.06% ↑
2020年 895
0.33% ↑
2019年 892
2.36% ↑
2018年 872
-2.05% ↓
2017年 890
2.3% ↑
2016年 870
-1.14% ↓
2015年 880
-2.22% ↓
2014年 900
1.2% ↑
2013年 889
5% ↑
2012年 847
15.5% ↑
2011年 733
-1.57% ↓
2010年 745
3.33% ↑
2009年 721
-3.35% ↓
2008年 746
0.27% ↑
2007年 744
-0.4% ↓
2006年 747
0.81% ↑
2005年 741
34.73% ↑
2004年 550
43.23% ↑
2003年 384
1.59% ↑
2002年 378
14.13% ↑
2001年 331
1.47% ↑
2000年 326 -
1999年 326
-23.16% ↓
1998年 425 -
1997年 425 -
1996年 425 -
1995年 425
4.12% ↑
1994年 408
3.03% ↑
1993年 396
3.13% ↑
1992年 384
3.23% ↑
1991年 372
3.33% ↑
1990年 360
4.9% ↑
1989年 343
10% ↑
1988年 312
5.26% ↑
1987年 296
7.39% ↑
1986年 276
2.22% ↑
1985年 270
8.17% ↑
1984年 250
8.9% ↑
1983年 229
2.14% ↑
1982年 224
3.89% ↑
1981年 216
5.88% ↑
1980年 204
39.34% ↑
1979年 146
1.67% ↑
1978年 144 -
1977年 144
1.69% ↑
1976年 142
2.61% ↑
1975年 138
6.48% ↑
1974年 130
2.86% ↑
1973年 126 -
1972年 126
5% ↑
1971年 120
11.11% ↑
1970年 108
2.27% ↑
1969年 106
2.33% ↑
1968年 103
2.38% ↑
1967年 101
2.44% ↑
1966年 98
2.5% ↑
1965年 96
2.56% ↑
1964年 94
2.63% ↑
1963年 91
2.7% ↑
1962年 89
2.78% ↑
1961年 86 -

ドミニカ共和国の羊肉生産量は、1960年代から2023年までの長い時間をかけて、その規模を大幅に拡大してきました。1961年に86トンだった生産量は、緩やかに成長を続け、1980年代には200トン台、1990年代には400トン台に到達しました。この増加は、農業技術の改良や畜産業への政府支援、国内需要の増加が関与しています。特に1980年頃から急激な増加傾向を見せた背景には、国内外での羊肉需要の拡大や、畜産業の効率化がありました。1999年には一度大幅な減少が記録されています。この時期の減少は、特定の疫病、自然災害、または市場の変動による影響があった可能性が考えられます。しかしその後、2004年には一気に550トンに回復し、2005年には741トンを記録しています。この大幅な回復は、輸出市場への参入や畜産業の専門化といった政策の後押しが要因と推察されます。

2012年以降、年々800トンを超える規模を維持しつつ、2021年には905トン、2022年には914トンと、過去最高水準に到達しました。この期間において、ドミニカ共和国は羊肉だけでなく畜産業全体の近代化を進め、農家の収益性向上につながる政策を継続して強化しました。一方で、2023年には906トンと、やや減少の兆しが見られています。この要因については、2020年から続く新型コロナウイルス感染症の影響に伴う経済活動の停滞や、輸送網の混乱などが影響している可能性もあります。

地政学的な観点では、ドミニカ共和国の羊肉生産は主に国内市場での需要を重視してきたものの、国際市場へのアクセスを拡大する過程で輸出規模を調整する必要があると考えられます。同国と類似した環境を持つカリブ諸国と比較しても、高度な農業技術や輸出戦略を基盤にした成長が見られる一方で、自然災害や環境問題に対する対抗策が十分に整備されているわけではありません。また、インドや中国といった成長著しい畜産大国と比較すると、生産量や効率性の面では格差が大きく、競争力の強化が求められる状況ではあります。

未来の課題としては、持続的な生産量の確保と国際市場への輸出拡大があります。まず、畜産業のさらなる効率化と環境負荷の軽減を目指したイノベーションが重要です。特に気候変動の影響を受けやすい地域では、天候リスクに対して適応性のある牧畜手法を開発すべきです。また、近隣国との協力を強化し、地域間の農産物輸出の枠組みを築くことで、経済的な安定性を高めることも考えられるでしょう。一方、国内の食糧需要や栄養問題も重要な視点です。羊肉は高たんぱくな食品として、国民の栄養改善に貢献できますので、供給体制をさらに強化することが期待されます。

結論として、ドミニカ共和国がこれまで築いてきた生産体制は、安定的な成長と国際市場への展開可能性を支える強固な基盤となっています。しかし、地政学的リスクや環境問題、さらに国際競争力の向上が求められる課題でもあります。このため、地域協力の促進やテクノロジーの活用による効率化を進めるとともに、環境問題に配慮した持続可能な畜産業を構築することが今後の鍵を握ると言えるでしょう。