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ドミニカ共和国のマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移(1961年~2023年)

ドミニカ共和国のマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量は、1961年以降一貫して増加傾向を見せていましたが、1999年から大幅な減少に転じ、2009年にはわずか11,642トンにまで低下しました。近年では、生産は回復し、2023年には92,278トンに達しています。この長期的な推移は、気候変動や経済政策の変化、インフラ整備状況、地域的な衝突の影響を強く受けていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 92,278
20.88% ↑
2022年 76,340
40.26% ↑
2021年 54,426
1.88% ↑
2020年 53,422
20.91% ↑
2019年 44,183
18.3% ↑
2018年 37,347
9.92% ↑
2017年 33,978
0.45% ↑
2016年 33,825
18.44% ↑
2015年 28,560
9.85% ↑
2014年 26,000
-17.16% ↓
2013年 31,387
31.02% ↑
2012年 23,956
19.58% ↑
2011年 20,033
154.66% ↑
2010年 7,867
-32.43% ↓
2009年 11,642
-40.3% ↓
2008年 19,500
-26.42% ↓
2007年 26,500
-26.39% ↓
2006年 36,000
-23.4% ↓
2005年 47,000
-37.33% ↓
2004年 75,000
-11.76% ↓
2003年 85,000
-19.81% ↓
2002年 106,000
-8.62% ↓
2001年 116,000
-14.71% ↓
2000年 136,000
-15% ↓
1999年 160,000
-13.51% ↓
1998年 185,000 -
1997年 185,000
-2.63% ↓
1996年 190,000
2.7% ↑
1995年 185,000
-7.5% ↓
1994年 200,000
2.56% ↑
1993年 195,000
2.09% ↑
1992年 191,000
0.26% ↑
1991年 190,500
0.26% ↑
1990年 190,000
1.06% ↑
1989年 188,000
0.53% ↑
1988年 187,000
1.08% ↑
1987年 185,000
-2.8% ↓
1986年 190,331
0.9% ↑
1985年 188,634
5.2% ↑
1984年 179,309
1.88% ↑
1983年 176,000
-1.12% ↓
1982年 178,000
-1.11% ↓
1981年 180,000
2.21% ↑
1980年 176,100
1.15% ↑
1979年 174,100
3.38% ↑
1978年 168,410
1.14% ↑
1977年 166,513
1.15% ↑
1976年 164,615
1.17% ↑
1975年 162,718
1.18% ↑
1974年 160,820
1.19% ↑
1973年 158,923
1.21% ↑
1972年 157,026
1.22% ↑
1971年 155,128
1.24% ↑
1970年 153,231
1.25% ↑
1969年 151,333
1.27% ↑
1968年 149,436
1.29% ↑
1967年 147,538
1.3% ↑
1966年 145,641
3.45% ↑
1965年 140,784
0.57% ↑
1964年 139,987
-0.6% ↓
1963年 140,836
1.55% ↑
1962年 138,689
1.55% ↑
1961年 136,567 -

ドミニカ共和国のマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量は、1960年代には約13万トン台からスタートしました。生産量は1970年代半ばまで年平均2,000トン程度の一定した増加を見せ、1985年には18万8千トンを記録しました。しかし、1990年代以降のデータにはいくつかの特徴的な変化が見られます。最初の転換点として、1999年以降、生産量が急激に低下し、2009年には約11,642トンまで落ち込んでいます。この背景には、生産地での気候変動の影響、頻発する自然災害、不適切な農業インフラの維持、さらには輸出市場の構築が不十分だったという要因が絡んでいる可能性があります。

なお、このような減少と同時期において世界の同カテゴリーの果実(特にマンゴー)の需要は増加していました。たとえば、インドやメキシコといった主要な輸出国では、同時期に生産量が増加しており、これらの国々が国際輸出市場を独占する要因となりました。したがって、ドミニカ共和国がこの市場の競争に参加できなかったことは、この急激な減少の一因とも考えられます。

近年のデータでは、2011年以降の生産量は徐々に上昇に転じ、特に2022年には76,340トン、2023年には92,278トンと急速な回復を遂げていることが注目されます。この回復の要因としては、政府による農業改革や、持続可能な農業技術(例えば灌漑システム等)の普及、そして地元農民への支援策の強化が挙げられます。また、輸出需要の拡大に伴って農民たちが従来の方法よりも効率的な生産体制を整備したことも、この上昇の背景にあると思われます。

それでも、この現状には依然としていくつかの課題が残ります。たとえば、2010年代初頭には国際市場競争における地位の確立が遅れた影響もあり、ドミニカ共和国のマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量の市場シェアは他国、特にインドやメキシコと比較して小さいままです。さらに、国際社会の気候変動問題も、長期的な農業生産に深刻な影響を与える可能性があります。特に、ハリケーンや干ばつが定期的にこの地域を襲うため、生産基盤をどのように強化するかが問われるでしょう。

今後の提言として、ドミニカ共和国がこの分野で国際的な地位を確立するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、気候変動による自然災害リスクの軽減に向けた耐性強化策として、防災型のインフラ投資や農業技術の最新化が挙げられます。また、果実の品質向上を目的とした農業教育プログラムの導入や、国内外のパートナーシップ促進による輸出ルートの多様化も重要です。さらに、国連や地域協力枠組みと連携し、国際的な資金支援を得ることで、効率的な生産システムの開発に取り組むべきです。

結論として、ドミニカ共和国のマンゴー・マンゴスチン・グアバの農業生産は過去に大きな落ち込みが見られたものの、近年では顕著な回復を遂げています。これを持続可能な形で維持・発展させるためには、気候変動リスクへの対応や市場競争力の向上といった多面的な取り組みが求められます。これらの課題に対応することで、同国が果実生産におけるリーダーシップを再び取り戻し、経済的成長を促進する機会となるでしょう。