世界のコーヒー豆生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した2020年度のコーヒー豆生産量ランキングによると、1位はブラジルで生産量は3,705,719トン、世界全体の生産量の30%以上を占めています。2位はベトナムの1,763,476トン、3位はコロンビアの833,400トンでした。上位10カ国で世界のコーヒー豆生産量の約70%を占めており、特にラテンアメリカとアジア地域が主要な生産地となっています。一方、下位にはアフリカや南太平洋諸国の生産国が多くみられ、地域ごとに大きな生産量の格差があることが明らかになっています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	ブラジル	南アメリカ	3,705,719
2	ベトナム	アジア	1,763,476
3	コロンビア	南アメリカ	833,400
4	インドネシア	アジア	762,380
5	エチオピア	アフリカ	584,790
6	ホンジュラス	南アメリカ	364,552
7	ウガンダ	アフリカ	360,103
8	ペルー	南アメリカ	353,206
9	インド	アジア	298,000
10	中央アフリカ共和国	アフリカ	289,283
11	グアテマラ	南アメリカ	246,000
12	ギニア	アフリカ	242,682
13	メキシコ	南アメリカ	175,555
14	ラオス人民民主共和国	アジア	158,190
15	ニカラグア	南アメリカ	154,410
16	中国	アジア	114,000
17	コスタリカ	南アメリカ	86,791
18	コートジボワール	アフリカ	82,366
19	タンザニア連合共和国	アフリカ	60,651
20	フィリピン	アジア	60,641
21	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	54,242
22	コンゴ民主共和国	アフリカ	53,303
23	マダガスカル	アフリカ	42,220
24	パプアニューギニア	オセアニア	40,500
25	ケニア	アフリカ	36,900
26	エルサルバドル	南アメリカ	35,000
27	カメルーン	アフリカ	29,793
28	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	23,401
29	タイ	アジア	22,483
30	トーゴ	アフリカ	22,006
31	イエメン	アジア	21,443
32	ルワンダ	アフリカ	20,459
33	ブルンジ	アフリカ	18,000
34	ドミニカ共和国	南アメリカ	15,381
35	アンゴラ	アフリカ	13,288
36	マラウイ	アフリカ	10,000
37	東ティモール	アジア	9,041
38	ミャンマー	アジア	8,908
39	ザンビア	アフリカ	8,648
40	キューバ	南アメリカ	7,500
41	スリランカ	アジア	6,725
42	パナマ	南アメリカ	6,254
43	ジャマイカ	南アメリカ	6,201
44	エクアドル	南アメリカ	5,280
45	ハイチ	南アメリカ	4,595
46	マレーシア	アジア	4,241
47	赤道ギニア	アフリカ	4,157
48	コンゴ	アフリカ	3,122
49	シエラレオネ	アフリカ	2,400
50	アメリカ合衆国	北アメリカ	1,960
51	ナイジェリア	アフリカ	1,933
52	プエルトリコ	南アメリカ	1,627
53	中国、台湾 中国省	アジア	970
54	モザンビーク	アフリカ	813
55	ガーナ	アフリカ	736
56	ジンバブエ	アフリカ	660
57	リベリア	アフリカ	625
58	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	625
59	ガイアナ	南アメリカ	600
60	パラグアイ	南アメリカ	381
61	カンボジア	アジア	377
62	ドミニカ	南アメリカ	370
63	ネパール	アジア	297
64	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	182
65	コモロ	アフリカ	142
66	ガボン	アフリカ	104
67	ベリーズ	南アメリカ	90
68	ベナン	アフリカ	55
69	カーボベルデ	アフリカ	48
70	バヌアツ	オセアニア	36
71	フランス領ポリネシア	オセアニア	21
72	トンガ	オセアニア	15
73	フィジー	オセアニア	14
74	サモア	オセアニア	12
75	サントメ・プリンシペ	アフリカ	8
76	スリナム	南アメリカ	6
77	ニューカレドニア	オセアニア	2
78	クック諸島	オセアニア	0
+ すべての国を見る

2020年のコーヒー豆生産量データは、世界的な農業経済と地政学的動向を考える上で重要な指標となります。このデータによると、ブラジルは名実ともにコーヒー豆生産の頂点に位置しており、その年間生産量は約3,705,719トンと圧倒的です。これは熱帯気候や広大な農地、そして効率的な生産技術によるものです。ブラジルはロブスタ種とアラビカ種の生産をともに行っており、世界中に高い品質の豆を供給しています。続くベトナムは、特にロブスタ種の生産で有名で、1,763,476トンという数値を記録しています。この国では主に小規模農家が多く、長年の輸出指向型政策がこの成長を支えています。コロンビアでは香り高いアラビカ種が特に評価され、生産量は833,400トンに達しました。

興味深い点として、アジアの台頭が挙げられます。インドネシア（762,380トン）、インド（298,000トン）、中国（114,000トン）の生産増加が顕著で、特に中国では近年のコーヒー消費需要の急拡大が国内生産の成長を支えています。ただし、これらの国々では依然として輸出よりも国内消費を優先した経済が見られ、今後の輸出拡大に課題を残していると言えます。

一方で、アフリカに目を向けると、エチオピア（584,790トン）とウガンダ（360,103トン）が主要生産国として位置付けられます。エチオピアはコーヒー発祥の地とされており、独自の特殊風味が世界的に高く評価されています。しかし、アフリカの多くの国々では、インフラ不足や気候変動の影響、さらには政情不安による労働力不足が生産量に影響を与えています。特に気候変動のリスクは深刻で、将来的には生育に適したエリアが減少すると予測されています。

このランキングから、様々な課題も浮かび上がります。特に小規模農家の多い国々では、コーヒー豆価格の変動や気候変動への適応能力の乏しさが問題視されています。より効率的な農業技術の普及や、災害時のリスク低減を目指した支援が急務です。例えば、農業融資や技術訓練を提供するような地域協力プログラムの導入が有効と考えられます。さらに、一部の国々ではコーヒー豆の加工施設が不足しており、未加工の豆として輸出されることで利益の多くが失われています。現地での加工産業の育成は、雇用創出や生産者の収益向上に直結する可能性があります。

地政学的背景を踏まえると、いくつかの生産国では政治的不安定さや内戦がコーヒー豆生産に深刻な影響を及ぼしていることが確認できます。これにより、特定の地域からの供給が不安定になるリスクがあり、世界市場に波及する恐れがあります。国際的な協力による紛争解決や安定化支援が、生産の安定化に寄与するでしょう。

また、新型コロナウイルスの流行は、2020年時点で生産国の輸送や流通チェーンに大きな混乱をもたらしました。同時に、パンデミック中のリモートワーク需要の高まりが家庭内消費を押し上げ、コーヒー全体の需要を支える一因となりました。このように、供給と需要のバランス改善へ向けた取り組みが問われています。

将来的には、生産国の気候変動対策や農業技術革新がさらに重要なテーマとなるでしょう。例えば、耐気候性のあるコーヒー品種の開発や、省資源型の栽培技術が鍵となります。また、国際市場でのフェアトレード商品の拡大や、コーヒー生産者が直接利益を得られる仕組みづくりも、持続可能なコーヒー産業を築くために必要です。

このデータが示す課題と可能性を通じて、国際社会が連携し、持続可能なコーヒー産業の構築を目指すべきです。ブラジルやベトナムのような大生産国だけでなく、エチオピアやグアテマラ、ウガンダなどの中小規模生産国への支援が、それぞれの地域経済とグローバル消費者にとって良い結果をもたらすでしょう。今後もこれらの課題への取り組みが、コーヒーの未来を切り拓く鍵となります。