Skip to main content

ドミニカ共和国のレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月更新の最新データによると、ドミニカ共和国のレモン・ライム生産量は2023年に82,963トンに達し、過去最高水準に達しています。生産量は特に2009年以降に著しい増加傾向を示しており、2020年以降は毎年大幅な伸びを記録しています。一方で、2000年初頭には危機的な低水準に陥っており、長期的な生産量推移からは極端な変動も見受けられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 82,963
32.83% ↑
2022年 62,457
33.03% ↑
2021年 46,949
5.98% ↑
2020年 44,300
17.24% ↑
2019年 37,785
12.29% ↑
2018年 33,651
6.3% ↑
2017年 31,656
19.72% ↑
2016年 26,442
-14.64% ↓
2015年 30,978
-2.23% ↓
2014年 31,684
30.23% ↑
2013年 24,329
12.99% ↑
2012年 21,531
-16.7% ↓
2011年 25,847
117.05% ↑
2010年 11,909
5.36% ↑
2009年 11,302
88.37% ↑
2008年 6,000
33.33% ↑
2007年 4,500
50% ↑
2006年 3,000
-7.55% ↓
2005年 3,245
8.17% ↑
2004年 3,000
20% ↑
2003年 2,500
-20.23% ↓
2002年 3,134
89.71% ↑
2001年 1,652
-64.98% ↓
2000年 4,717
-26.57% ↓
1999年 6,423
-24.43% ↓
1998年 8,500
8.26% ↑
1997年 7,851
-3.07% ↓
1996年 8,100
3.46% ↑
1995年 7,829
-5.68% ↓
1994年 8,300
2.44% ↑
1993年 8,102
-4.68% ↓
1992年 8,500
-1.16% ↓
1991年 8,600
-3.75% ↓
1990年 8,935
5.12% ↑
1989年 8,500
-3.41% ↓
1988年 8,800
1.15% ↑
1987年 8,700
0.47% ↑
1986年 8,659
1.72% ↑
1985年 8,513
-3.55% ↓
1984年 8,826
-11.74% ↓
1983年 10,000
-13.04% ↓
1982年 11,500
-11.54% ↓
1981年 13,000
2.36% ↑
1980年 12,700
-10.56% ↓
1979年 14,200
5.97% ↑
1978年 13,400
9.84% ↑
1977年 12,200
1.67% ↑
1976年 12,000
4.35% ↑
1975年 11,500
4.55% ↑
1974年 11,000
2.35% ↑
1973年 10,747
-0.85% ↓
1972年 10,839
-16.29% ↓
1971年 12,948
3.12% ↑
1970年 12,556
24.75% ↑
1969年 10,065
5.88% ↑
1968年 9,506
-1.38% ↓
1967年 9,639
6.96% ↑
1966年 9,012
-5.66% ↓
1965年 9,553
13.09% ↑
1964年 8,447
1.93% ↑
1963年 8,287
4.98% ↑
1962年 7,894
-0.2% ↓
1961年 7,910 -

ドミニカ共和国は地理的条件と気候に恵まれた熱帯農業の要地となっています。その中で、レモンやライムは同国の農産物輸出において重要な役割を果たしています。1961年から始まるデータでは、長期間にわたる生産量推移が記録されており、特に20世紀後半から現在にかけて、その変遷は経済的・気候的・政策的要因を反映しています。

1961年の7,910トンから1970年代後半にかけて順調な増加を示していましたが、1980年代に入ると、年ごとの変動はあるものの全体的には生産量が減少し、1999年以降、生産性の危機といえる局面を迎えました。2000年には4,717トン、2001年にはわずか1,652トンまで急落しています。この時期の激減は、国内農業政策の不安定さや、ハリケーンなどの自然災害の影響と深く関係しています。また、農業従事者の減少や、インフラの老朽化なども農業セクターの生産性を阻害する要因として挙げられます。

一方、2009年以降のデータでは、劇的な回復が見られています。特に2022年と2023年には、生産量が62,457トン、82,963トンと急成長を遂げています。この回復の背景には、政府による農業支援政策の強化、水管理インフラの改善や、国際市場での需要増加が挙げられます。また、レモン・ライムはビタミンCが豊富で健康志向の高まりとともに世界市場での需要が拡大しています。さらに、国際的な自由貿易協定や輸出インフラの改善も、同国の生産者にとって追い風となっています。

しかしながら、依然としていくつかの課題が指摘されています。一つ目は、気候変動による影響です。ドミニカ共和国は台風や干ばつなどの自然災害が頻発する地域であり、これにより農地が損傷を受けるリスクが常に存在します。二つ目は、農業セクターの効率性です。設備投資の不均衡や、小規模農家の資金調達困難が、長期安定の妨げとなっています。三つ目は、地政学的なリスクの存在です。ドミニカ共和国は資源競争や地域的な衝突の影響を受けやすく、輸出ルートの不安定化が懸念されています。

今後の展望としては、持続可能な農業手法を導入し、気候変動に強い作物品種の研究・普及を進めることが重要です。また政府は小規模農家に優しい融資制度を拡大し、輸出市場へのアクセス改善を図ることが求められます。さらには、地域協力による災害リスクの軽減や、新技術を用いた効率的な水資源管理への投資も急務といえます。

結論として、ドミニカ共和国のレモン・ライム生産量は、近年の回復を背景に、将来的な成長の基盤が整いつつあると言えます。しかし、課題解決に向けた具体的な行動が不可欠です。国際社会との協力を強化し、生産の効率化と輸出基盤の充実を図ることで、ドミニカ共和国はこの分野でさらなる発展を遂げることが期待されます。