国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2022年度のナス生産量ランキングデータによると、1位は中国(38,284,897トン)、2位はインド(12,765,000トン)、3位はエジプト(1,396,725トン)となり、上位2か国で世界全体のナス生産量の大部分を占めています。日本は9位で、294,600トンを生産しており、欧州や米国と比較すると一定の生産量を維持していますが、中国やインドといった大規模生産国との差は大きい結果となりました。また、全体としてアジアや中東地域がランキング上位に多く位置している点が特徴的です。
順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
---|---|---|---|
1 | 中国 | アジア | 38,284,897 |
2 | インド | アジア | 12,765,000 |
3 | エジプト | アフリカ | 1,396,725 |
4 | トルコ | アジア | 781,242 |
5 | インドネシア | アジア | 691,738 |
6 | バングラデシュ | アジア | 618,542 |
7 | イラン(イスラム共和国) | アジア | 595,943 |
8 | イタリア | ヨーロッパ | 307,430 |
9 | 日本 | アジア | 294,600 |
10 | スペイン | ヨーロッパ | 276,320 |
11 | フィリピン | アジア | 248,151 |
12 | アルジェリア | アフリカ | 207,549 |
13 | ウズベキスタン | アジア | 203,889 |
14 | イラク | アジア | 183,056 |
15 | シリア・アラブ共和国 | アジア | 141,122 |
16 | スリランカ | アジア | 128,249 |
17 | カザフスタン | アジア | 125,193 |
18 | サウジアラビア | アジア | 118,850 |
19 | コートジボワール | アフリカ | 110,845 |
20 | メキシコ | 南アメリカ | 108,358 |
21 | マリ | アフリカ | 106,845 |
22 | アメリカ合衆国 | 北アメリカ | 98,585 |
23 | パキスタン | アジア | 95,001 |
24 | アゼルバイジャン | アジア | 91,675 |
25 | ルワンダ | アフリカ | 89,265 |
26 | スーダン | アフリカ | 87,834 |
27 | ヨルダン | アジア | 79,854 |
28 | オランダ | ヨーロッパ | 66,000 |
29 | ルーマニア | ヨーロッパ | 64,560 |
30 | モロッコ | アフリカ | 60,998 |
31 | アルメニア | アジア | 57,348 |
32 | ガイアナ | 南アメリカ | 52,852 |
33 | ガーナ | アフリカ | 52,685 |
34 | 朝鮮民主主義人民共和国 | アジア | 49,588 |
35 | パレスチナ国 | アジア | 48,731 |
36 | マレーシア | アジア | 46,129 |
37 | ギリシャ | ヨーロッパ | 44,500 |
38 | フランス | ヨーロッパ | 42,480 |
39 | イスラエル | アジア | 38,622 |
40 | オマーン | アジア | 38,004 |
41 | マラウイ | アフリカ | 35,064 |
42 | アルバニア | ヨーロッパ | 33,890 |
43 | 中国、台湾 中国省 | アジア | 33,357 |
44 | クウェート | アジア | 32,514 |
45 | ウクライナ | ヨーロッパ | 30,350 |
46 | レバノン | アジア | 26,775 |
47 | ドミニカ共和国 | 南アメリカ | 25,389 |
48 | タイ | アジア | 21,032 |
49 | ホンジュラス | 南アメリカ | 18,963 |
50 | ベネズエラ (ボリバル共和国) | 南アメリカ | 16,429 |
51 | アラブ首長国連邦 | アジア | 15,158 |
52 | ニジェール | アフリカ | 14,967 |
53 | ベルギー | ヨーロッパ | 13,800 |
54 | コロンビア | 南アメリカ | 13,584 |
55 | ブルガリア | ヨーロッパ | 9,690 |
56 | フィジー | オセアニア | 7,128 |
57 | モルドバ共和国 | ヨーロッパ | 6,200 |
58 | カタール | アジア | 5,684 |
59 | ポルトガル | ヨーロッパ | 5,390 |
60 | 大韓民国 | アジア | 5,141 |
61 | イエメン | アジア | 4,712 |
62 | セネガル | アフリカ | 4,372 |
63 | モーリシャス | アフリカ | 3,165 |
64 | グルジア | アジア | 2,900 |
65 | コンゴ | アフリカ | 2,621 |
66 | リビア | アフリカ | 2,570 |
67 | カメルーン | アフリカ | 2,177 |
68 | セルビア | ヨーロッパ | 2,052 |
69 | マダガスカル | アフリカ | 1,786 |
70 | オーストリア | ヨーロッパ | 1,770 |
71 | バーレーン | アジア | 1,626 |
72 | クロアチア | ヨーロッパ | 1,500 |
73 | キプロス | アジア | 1,300 |
74 | プエルトリコ | 南アメリカ | 1,081 |
75 | 北マケドニア | ヨーロッパ | 971 |
76 | ポーランド | ヨーロッパ | 900 |
77 | トリニダード・トバゴ | 南アメリカ | 886 |
78 | ハイチ | 南アメリカ | 862 |
79 | マルタ | ヨーロッパ | 820 |
80 | ハンガリー | ヨーロッパ | 740 |
81 | チュニジア | アフリカ | 708 |
82 | キルギスタン | アジア | 585 |
83 | ドミニカ | 南アメリカ | 503 |
84 | ジャマイカ | 南アメリカ | 460 |
85 | スロベニア | ヨーロッパ | 340 |
86 | ペルー | 南アメリカ | 286 |
87 | 中国、香港特別行政区 | アジア | 271 |
88 | ブルネイ ダルサラーム | アジア | 211 |
89 | ブータン | アジア | 197 |
90 | ニューカレドニア | オセアニア | 153 |
91 | ガボン | アフリカ | 102 |
92 | コスタリカ | 南アメリカ | 96 |
93 | ジブチ | アフリカ | 59 |
94 | アンティグア・バーブーダ | 南アメリカ | 35 |
95 | スウェーデン | ヨーロッパ | 20 |
96 | ナウル | オセアニア | 1 |
FAOの2022年度データが示す通り、中国とインドが世界のナス生産をほぼ独占している状況が見て取れます。中国は38,284,897トンと、全世界で二番目に多いインドの約3倍の生産量を記録しています。この2か国が高い生産量を誇る理由として、まず国内人口の多さと農業に適した地理的条件が挙げられます。さらに、ナスは食文化において幅広く利用される野菜であり、地元の需要によって生産が促進されていると考えられます。
一方で、3位以下の国々であるエジプトやトルコ、インドネシアなどは、いずれも100万トン未満の生産量に留まっています。これらの国々は、気候や土壌条件がナス栽培に向いている特殊な地域ではあるものの、中国やインドのような大規模な農業インフラが整っているわけではなく、集中的な栽培技術の導入や輸送インフラの改善が課題として挙げられるでしょう。
日本のナス生産量は294,600トンで、世界全体の順位では9位に位置しています。この順位は欧州各国(イタリアやスペインなど)や米国(98,585トン)よりも上位にあるものの、中国やインドと比較すると非常に少ない水準に留まっています。日本におけるナスの生産は、高品質で多様な品種を育てることに重きを置いていますが、その一方で農業人口の減少や高齢化、生産コストの上昇などの課題が浮き彫りとなっています。
興味深い点として、ナス生産量の上位にはアジア地域の国々が集中しています。これは、この地域の気候がナスの生育に適していること、そして多くの家庭料理でナスが積極的に使われていることが背景に挙げられます。特に中国とインドは、安定した温暖な気候と広大な農地、さらには比較的人件費の低さが生産コストの軽減に寄与しています。
一方で、欧州や北米の生産量はそれほど高くなく、特にアメリカ合衆国の生産量は98,585トンと、日本やイタリアなどと比べても低い位置にあります。この理由として、ナスが地域食文化の中でそれほど大きな役割を果たしていない点、または土地利用の優先順位が穀物など他の食品に偏っている点が考えられます。
地政学的には、ナスの生産量は輸入依存や食料安全保障の問題とも密接に関わっています。特に中東やアフリカの一部の国々では、ナスの生産量が少ないため、輸入に頼る状況が続いています。こうした地域は、紛争や気候変動のリスクによって輸入の可用性が制限される可能性があり、それが食生活や経済に悪影響を与える可能性があります。
未来におけるナス生産の増産に関しては、各国がそれぞれの課題に向き合うことが不可欠です。たとえば、中国やインドのような大規模な生産国では、持続可能な農業手法の導入が重要です。一方で、エジプトやトルコ、日本のような中規模な生産国においては、最新の農業技術を導入することや、輸出用の高付加価値商品の開発が焦点となるでしょう。他方で、アフリカ諸国や中南米などのナス生産が限定的な地域では、農業支援政策や国際協力の枠組みを活用することが必要と考えられます。
国際的観点からは、世界的な食料不足のリスクに備えてナスのような食料作物の生産と消費のバランスを取ることが求められます。また、気候変動や災害に強い種の研究・育成が必要です。さらに、地域間での貿易協力や輸送インフラの強化も、食料の安定供給において重要な役割を果たすでしょう。
結論として、2022年のナス生産データが示す現状は、各国の気候や経済状況に根ざした農業パフォーマンスを反映しています。日本を含む多くの国々において、効率的かつ持続可能な生産モデルの構築が今後の課題となりそうです。これを達成するためには、国際協力をさらに推進し、技術的な支援や知識の共有を図ることが重要です。