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ドミニカのナス生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、ドミニカのナス生産量は過去15年間で大きな変動を経験しました。2007年から2009年にかけて急激に増加したものの、2010年には減少し、2011年以降はさらに低迷しました。その後、2013年から生産量は回復し、近年は500トン前後の安定した水準を維持しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 499
-0.97% ↓
2022年 503
0.01% ↑
2021年 503
-0.07% ↓
2020年 504
0.11% ↑
2019年 503
-0.03% ↓
2018年 503
-0.27% ↓
2017年 505
0.64% ↑
2016年 501
0.64% ↑
2015年 498
-0.59% ↓
2014年 501
-0.63% ↓
2013年 504
1266.54% ↑
2012年 37
41.96% ↑
2011年 26
-95.85% ↓
2010年 626
-28.86% ↓
2009年 880
36.43% ↑
2008年 645
39.01% ↑
2007年 464 -

最新データを踏まえると、ドミニカのナス生産量には短期間での大幅な変動が見られることが明らかです。2007年の464トンから2009年の880トンまで急増しましたが、2010年には626トンまで減少し、2011年にはわずか26トンという深刻な水準まで落ち込みます。この劇的な減少の背景には、気候変動による干ばつや洪水などの自然災害による影響が考えられます。当時のドミニカにおける農業インフラの脆弱性が露呈し、災害への耐性が不足していた状況が示唆されます。

その後、2013年からナス生産量は再び回復し、2022年まで約503~505トンで安定した水準を維持しています。この生産量の安定は、少なくとも基本的な農業インフラの改善が進んだことを示唆しています。しかし、この規模では国内消費および輸出需要を十分に賄うには依然として挑戦が残ります。一方で、2011年以降の低水準からの緩やかな回復を実現できた点は評価に値しますが、それを超える大幅な増加が見られていないのも事実です。この状況は、ドミニカの農業政策、栽培技術、インフラ、さらには国際市場や需要動態など複合的な要因に起因しています。

比較として、日本や韓国、中国のナス生産量は、いずれも国内消費を十分に支えるほど高く、それを輸出にも回すことができるほどです。日本では特に最新の農業技術や栽培管理の効率化により、小さな面積からでも高収量が実現されています。一方、ドミニカではこれらの技術やノウハウの普及が世界水準に遅れている可能性があります。また、中国やインドなどの生産量上位国は、大規模な農地の確保や人材の労働力としての充実が背景にあるため、同様の結果を期待するにはドミニカ特有の条件を改善する必要があります。

今後の課題として、気候変動への対応が挙げられます。ドミニカでは、自然災害のリスクが高く、農地の再編成や治水事業、灌漑設備の導入といった対応策が不可欠です。また、高収量の品種改良や栽培技術の普及にも注力する必要があります。この課題に対し、ドミニカ政府や国際機関は資金援助や技術協力を行うべきです。さらに、ナスの付加価値を高めるための加工食品や国際市場への輸出戦略も、地域経済の活性化につながるでしょう。

過去の低迷から一定の回復を遂げたものの、ドミニカはナス生産において依然課題を抱えています。特に災害対応やインフラ整備の遅れは解消すべき重要なテーマです。一方で、持続可能な農業発展の基盤を整え、地域協力を図ることで、ドミニカのナス生産はさらなる高みを目指すことが可能と考えられます。