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サウジアラビアのナス生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データ(2024年7月更新)によると、サウジアラビアのナス生産量は1961年に8,000トンからスタートし、近年大きく増加しています。特に2020年代に入ってから急激な上昇が見られ、2022年には118,850トンに達しました。この間、多くの変動が記録されており、国家の農業政策や環境条件が大きな影響を与えていることが示唆されます。

年度 生産量(トン)
2022年 118,850
2021年 112,000
2020年 109,138
2019年 50,344
2018年 25,384
2017年 23,850
2016年 25,844
2015年 27,372
2014年 32,214
2013年 59,023
2012年 59,612
2011年 58,196
2010年 61,007
2009年 57,167
2008年 52,208
2007年 66,250
2006年 71,009
2005年 73,626
2004年 71,894
2003年 74,355
2002年 75,524
2001年 71,655
2000年 65,369
1999年 60,000
1998年 75,668
1997年 78,876
1996年 79,282
1995年 78,165
1994年 69,860
1993年 68,472
1992年 64,552
1991年 51,429
1990年 60,076
1989年 60,156
1988年 64,751
1987年 72,815
1986年 39,425
1985年 37,071
1984年 30,990
1983年 34,256
1982年 43,460
1981年 19,959
1980年 24,685
1979年 30,261
1978年 21,271
1977年 25,315
1976年 20,530
1975年 39,198
1974年 22,690
1973年 21,532
1972年 8,256
1971年 50,762
1970年 9,000
1969年 9,000
1968年 9,000
1967年 9,000
1966年 9,000
1965年 9,000
1964年 9,000
1963年 9,000
1962年 8,000
1961年 8,000

サウジアラビアのナス生産量は、1960年代から現在に至るまで変動を繰り返してきました。初期段階の1960年代から1970年代半ばにかけては、毎年ほぼ1万トン程度の生産が続いていました。しかし、1971年には50,762トンという飛躍的な増加が見られ、その後1972年に8,256トンと激減する不安定な動向を示しました。この時期、農業技術や灌漑インフラの未熟さが生産量の不安定化を引き起こしていたと考えられます。

1980年代以降になると、生産量は安定感を増しつつも大きな増加に向かいました。1987年には72,815トンと、それまでの記録を更新しました。ここで、サウジアラビア政府による農業振興策が功を奏したことが背景にあり、特に国内の水資源管理の改善や温室農法導入が重要な要因となりました。このような農業技術の進歩は、乾燥地域のサウジアラビアにおいて特に重要です。

一方で、2000年代後半から2010年代初頭にかけて、生産量は60,000~75,000トンのやや安定した水準で推移しました。しかしながら、2014年以降、20,000トン台まで急速に減少する期間が見られました。この減少は、サウジアラビアにおける深刻な水資源不足や気候変動の影響が強まった時期と一致しており、持続可能な農業への課題が浮き彫りになりました。

しかしその後、2020年代に入ると状況は一転しました。2020年には109,138トン、2022年には118,850トンと、過去最高の生産量に達しました。この急激な上昇は、多くの要因によるものと考えられます。そのひとつは、政府主導のビジョン2030プロジェクトに基づく農業改革の影響です。このプロジェクトでは、国内農業の近代化と効率化が推進されています。また、スマート農業技術の導入や外部からの投資誘致も、生産の急拡大を支えたと考えられます。

このようなポジティブな動向を踏まえつつも、いくつかの課題が存在しています。ナスの生産には大量の水が必要ですが、サウジアラビアは降水量に乏しい乾燥地域であり、地下水の過剰利用による将来的な水資源枯渇のリスクがあります。また、地政学的背景として、地域紛争や中東全体での食料安全保障問題が、農業セクターにも影響を与えています。こうしたリスクに対処するためには、水利用効率をさらに改善するための技術開発が不可欠です。具体的には、ドリップ灌漑技術の普及や、海水淡水化技術と並行した農業利用の展開が解決策として挙げられます。

また、生産量のみならず品質を高め、輸出市場を拡大することも重要です。ナスはサウジアラビア国内における消費ニーズを超えた生産が可能なため、近隣諸国や欧州市場などへの輸出を視野に入れるべきです。日本やドイツなどの先進国の例では、品質管理や国際市場への適応が、農業産品の価値を大きく向上させる要因とされています。

さらに、気候変動への適応策として、多様な農産物の研究開発を推進することが求められます。ナスのほかにも乾燥地域で耐える品種を開発することで、農業全体の持続可能性を向上させる可能性があります。

結論として、サウジアラビアのナス生産は、近年の増加傾向に明るい兆しを見せていますが、水資源問題や地政学的リスクへの対処が今後の鍵となります。これらの課題を克服することで、国内の食料安全保障の強化や、グローバルな農産物市場への貢献が達成されるでしょう。