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中国、台湾 中国省のナス生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、中国台湾省におけるナスの生産量は1960年代初期から2022年までの間に増減を繰り返してきました。特に1970年代には顕著な増加が見られ、1985年には生産量が40,000トンを超える大きな山場がありました。その後1990年代前半から1996年まで減少傾向が続き、2020年代にかけてはおおむね30,000トン前後の数値で安定しています。近年では、2022年の生産量が33,357トンとやや減少したものの、依然として安定した生産力を維持していると言えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 33,764
1.22% ↑
2022年 33,357
-1.86% ↓
2021年 33,988
-3.84% ↓
2020年 35,344
1.35% ↑
2019年 34,874
0.91% ↑
2018年 34,561
7.95% ↑
2017年 32,015
29.86% ↑
2016年 24,653
-3.39% ↓
2015年 25,519
-3.86% ↓
2014年 26,543
5.34% ↑
2013年 25,198
14.3% ↑
2012年 22,045
-4.66% ↓
2011年 23,123
-9.02% ↓
2010年 25,416
-6.51% ↓
2009年 27,186
5.23% ↑
2008年 25,834
1.31% ↑
2007年 25,500
-21.37% ↓
2006年 32,431
30.54% ↑
2005年 24,844
-17.15% ↓
2004年 29,987
1.21% ↑
2003年 29,629
-10.17% ↓
2002年 32,984
10.69% ↑
2001年 29,799
-1.91% ↓
2000年 30,380
-11.76% ↓
1999年 34,428
21.99% ↑
1998年 28,223
10.6% ↑
1997年 25,519
14.02% ↑
1996年 22,382
-10.65% ↓
1995年 25,049
9.99% ↑
1994年 22,774
0.65% ↑
1993年 22,626
-7.45% ↓
1992年 24,447
-1.86% ↓
1991年 24,910
-16.12% ↓
1990年 29,698
0.87% ↑
1989年 29,442
-16.77% ↓
1988年 35,374
-22.74% ↓
1987年 45,787
10.5% ↑
1986年 41,438
2.41% ↑
1985年 40,464
15.19% ↑
1984年 35,127
10.38% ↑
1983年 31,823
-10.42% ↓
1982年 35,524
-4.65% ↓
1981年 37,255
-2% ↓
1980年 38,017
14.08% ↑
1979年 33,324
14.65% ↑
1978年 29,065
-8.43% ↓
1977年 31,740
3.34% ↑
1976年 30,714
15.02% ↑
1975年 26,704
-2.23% ↓
1974年 27,314
30.06% ↑
1973年 21,001
11.45% ↑
1972年 18,843
-2.86% ↓
1971年 19,397
0.66% ↑
1970年 19,269
4.59% ↑
1969年 18,423
22.88% ↑
1968年 14,993
-2.59% ↓
1967年 15,391
9.54% ↑
1966年 14,050
-5.44% ↓
1965年 14,859
0.14% ↑
1964年 14,838
3.68% ↑
1963年 14,312
6.13% ↑
1962年 13,485
-0.93% ↓
1961年 13,611 -

中国台湾省のナス生産量は、長い歴史の中で社会経済的、地政学的背景や技術的進展と強く関連して推移してきました。データをみると、1960年代後半から1970年代中頃にかけて生産量が継続的に増加し、この期間には農業技術の改善や肥沃な土地の利用の拡大が影響したと考えられます。特に1974年には27,314トン、1976年には30,714トンに達するなど、急激な生産の伸びが記録されました。

その後の1980年代前半にかけては、生産量は40,000トンを超えることもありました。この時期は、台湾における農業生産が高度化していく流れの中で、ナスも重要な作物として注目され、安定した需要に支えられていたと推測されます。しかし1988年以降、急速な都市化や農業人材の不足、農地の減少といった要因により、特に1990年代から生産量は下降傾向を示しました。

近年、2020年代に入ると生産量はおおむね30,000トン前後で安定しています。2021年には33,988トン、2022年には33,357トンとわずかに減少しました。これには、地球温暖化による気候変動の影響や、新型コロナウイルス感染症の広がりによる農業労働力の不足、物流の混乱なども要因である可能性が高いと考えられます。台湾省の農業は、他の地域と比較して高齢化が進んでおり、後継者不足が顕著です。この課題はナス生産にも直接的に影響を与えています。

さらに、地政学的リスクの観点からも、生産量の変動に注意が必要です。台湾は輸入依存度の高い地域であり、国際的な供給網の変動や近隣諸国との関係が、農業資材の確保や外部市場への輸出に影響を与えます。このため、大規模な国際的な事象が発生する場合の影響緩和を図る必要があるでしょう。

今後の課題として、まず持続可能な農業の推進が求められます。具体的には、農地の効率化や品質改良技術の導入、スマート農業技術(例えばIoTを活用した作物管理)の活用によって生産性を向上させることが重要です。さらに、新世代の農業人材を育成するための政策立案が不可欠であり、若い世代を農業分野に呼び込むための支援策が必要です。政府や地方自治体が補助金や教育プログラムを整備する以外にも、農業が魅力的な産業として認識されるような広報活動が求められるでしょう。

また、農作物マーケティングも効果的な収益向上策として有効です。台湾ナスの品質や市場価値を国際的にPRし、海外市場への販路を拡大することも一つの手段です。日本やアメリカ、ヨーロッパの健康志向の市場では、台湾産ナスの需要拡大の可能性も大いに期待できます。

総じて、データは台湾省におけるナス生産が時代ごとのさまざまな要因に影響されてきたことを示しています。このような統計情報を生かし、今後は国際市場の展望を見据えた持続可能な農業政策を強化することが、さらなる発展につながる鍵となるでしょう。