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クウェートのナス生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、クウェートのナス生産量は1975年に32トンからスタートし、近年では数万トン規模に成長しています。特に1990年代後半から2000年代にかけて、持続的な生産量の増加が見られましたが、一部の年には大きな変動が記録されています。最近では2022年に32,514トンと、過去数十年の水準と比較して安定した生産量が確保されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 19,300
-40.64% ↓
2022年 32,514
10.09% ↑
2021年 29,533
36.75% ↑
2020年 21,596
-45.17% ↓
2019年 39,385
42.69% ↑
2018年 27,602
-13.95% ↓
2017年 32,075
29.33% ↑
2016年 24,801
-16.08% ↓
2015年 29,552
12.63% ↑
2014年 26,239
24.14% ↑
2013年 21,137
-33.61% ↓
2012年 31,837
-14.08% ↓
2011年 37,055
45.65% ↑
2010年 25,441
-6.13% ↓
2009年 27,101
17.62% ↑
2008年 23,042
-12.43% ↓
2007年 26,312
28.36% ↑
2006年 20,499
14.02% ↑
2005年 17,979
4.74% ↑
2004年 17,165
16.4% ↑
2003年 14,746
-11.29% ↓
2002年 16,623
4.28% ↑
2001年 15,940
29.7% ↑
2000年 12,290
6.78% ↑
1999年 11,510
21.3% ↑
1998年 9,489
-13.58% ↓
1997年 10,980
29.12% ↑
1996年 8,504
62.26% ↑
1995年 5,241
-20.25% ↓
1994年 6,572
209.42% ↑
1993年 2,124
49.58% ↑
1992年 1,420
-5.33% ↓
1991年 1,500
-75% ↓
1990年 6,000
22.5% ↑
1989年 4,898
55.94% ↑
1988年 3,141
65.4% ↑
1987年 1,899
165.97% ↑
1986年 714
-4.55% ↓
1985年 748
81.11% ↑
1984年 413
8.68% ↑
1983年 380
52% ↑
1982年 250
6.38% ↑
1981年 235
29.83% ↑
1980年 181
49.59% ↑
1979年 121
39.08% ↑
1978年 87
-25% ↓
1977年 116
78.46% ↑
1976年 65
103.13% ↑
1975年 32 -

クウェートのナス生産量のデータを詳しく見ると、最初の1975年時点ではわずか32トンと限られたものでした。しかし、1980年代から急速な拡大が見られ、1989年までは毎年着実に生産量が増加しています。この時期には農業技術の改善や灌漑システムの整備が進み、既存の限られた耕作地でも効率的な生産が可能になったと考えられます。1989年には生産量が4,898トンに達しました。

1990年代には、湾岸戦争(1990年から1991年)の影響で生産量が一時的に大きく落ち込みました。この紛争が影響する直接的な理由として、農地への被害やインフラの破壊、農業従事者の減少が挙げられます。当時の1991年には1,500トンと、それまでのピーク値(1990年の6,000トン)から大幅に減少しています。しかし戦後の復旧とともに生産は回復し、1997年には10,980トン、1999年には11,510トンと順調に増加しました。

2000年代以降は、一段と規模が拡大し、2007年には26,312トン、2019年には39,385トンと、生産量は安定的に高水準を維持しています。ただし、この期間にもいくつかの急激な変化が見られ、2013年には21,137トンと一時的な落ち込みを記録しました。また、2020年にも21,596トンとCOVID-19パンデミックの影響が考えられる水準まで減少しています。この感染症による影響として、労働力不足や輸送システムの混乱が挙げられるでしょう。

一方で、2020年以降は再び増加の傾向が見られ、2022年には32,514トンに到達しました。これは、国の農業支援政策が一定の効果を上げ、技術革新や地域間協力を通じて持続可能な農業生産が推進された結果と推測されます。

クウェート特有の課題として、同国が乾燥気候であり、水資源の利用が生産に大きく影響を与える点に注意が必要です。農業用水の確保は一貫して重要なテーマとなっており、地下水の過剰利用や海水淡水化施設への依存が増しています。また、地政学的背景から輸入依存が高く、ナスの生産が国内の食料自給率向上に果たす役割も今後さらに重要になります。

今後の課題としては、急激な気候変動や水不足に対応するための灌漑効率向上、より頑強で高収量の品種の開発が求められます。また、国際的な農業協力の枠組みに参加し、持続可能な農業政策を推進することも一つの戦略です。具体的には、地域的な農業技術の共有や輸出入政策の見直し、さらには新たな気候適応型農法の導入が効果的と考えられます。

結論として、クウェートのナス生産は成功例として注目される一方で、持続可能性の確保が今後の焦点となります。地元の農業労働力の確保と環境負荷の低減を両立させるためには、政策と技術のさらなる統合が重要です。国際社会や他国からの知識や技術の導入を通じて、食料安全保障の確立が進むことを期待します。