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トルコのナス生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、トルコにおけるナスの生産量は1961年の360,000トンから2022年の781,242トンまで大きく成長を遂げています。生産量は1970年代から増加基調を辿り、1999年には976,000トンとピークに達しましたが、その後はやや減少もしくは横ばいの傾向が見られます。近年では、2022年のデータで80万トンを下回る結果となり、下振れが見られています。

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年度 生産量(トン) 増減率
2023年 817,591
4.65% ↑
2022年 781,242
-6.21% ↓
2021年 832,938
-0.3% ↓
2020年 835,422
1.55% ↑
2019年 822,659
-1.63% ↓
2018年 836,284
-5.39% ↓
2017年 883,917
3.5% ↑
2016年 854,049
6.06% ↑
2015年 805,259
-2.67% ↓
2014年 827,380
0.05% ↑
2013年 826,941
3.46% ↑
2012年 799,285
-2.74% ↓
2011年 821,770
-2.98% ↓
2010年 846,998
3.78% ↑
2009年 816,134
0.3% ↑
2008年 813,686
-5.79% ↓
2007年 863,737
-6.54% ↓
2006年 924,165
-0.63% ↓
2005年 930,000
3.33% ↑
2004年 900,000
-3.74% ↓
2003年 935,000
-2.09% ↓
2002年 955,000
1.06% ↑
2001年 945,000
2.27% ↑
2000年 924,000
-5.33% ↓
1999年 976,000
6.67% ↑
1998年 915,000
8.03% ↑
1997年 847,000
-0.35% ↓
1996年 850,000
13.33% ↑
1995年 750,000
-7.41% ↓
1994年 810,000
8% ↑
1993年 750,000 -
1992年 750,000 -
1991年 750,000
2.04% ↑
1990年 735,000
2.08% ↑
1989年 720,000
-1.37% ↓
1988年 730,000
2.82% ↑
1987年 710,000
-5.33% ↓
1986年 750,000
10.29% ↑
1985年 680,000
1.49% ↑
1984年 670,000
0.75% ↑
1983年 665,000
-5% ↓
1982年 700,000 -
1981年 700,000
7.69% ↑
1980年 650,000
3.17% ↑
1979年 630,000
3.28% ↑
1978年 610,000
10.91% ↑
1977年 550,000
4.76% ↑
1976年 525,000
8.25% ↑
1975年 485,000
3.19% ↑
1974年 470,000
2.17% ↑
1973年 460,000
-11.54% ↓
1972年 520,000
5.26% ↑
1971年 494,000
2.92% ↑
1970年 480,000
1.59% ↑
1969年 472,470
16.31% ↑
1968年 406,199
-3.29% ↓
1967年 420,000
-4.15% ↓
1966年 438,200
2.57% ↑
1965年 427,200
6.8% ↑
1964年 400,000
5.26% ↑
1963年 380,000
2.7% ↑
1962年 370,000
2.78% ↑
1961年 360,000 -

トルコのナス生産量の推移を観察すると、1960年代から2000年代にかけて顕著な増加が見られます。1961年に360,000トンだった生産量は1980年には650,000トン、1999年には976,000トンと、約40年間でおよそ2.7倍に拡大しています。この成長は、トルコの農業技術の改良や農地の拡大、気候の多様性にうまく適応したナス栽培が進展したことに起因します。また、ナスは地中海料理の基幹的な食材としてトルコ国内での消費も高く、安定的な需要が生産を支えてきました。

しかし、2000年以降のデータを見てみると、生産量はやや安定化し、900,000トン前後で推移しています。その中でも特に2007年から2022年の間に生産量の減少を見ることができます。2022年のデータでは781,242トンと、過去20年間の中でも低い水準に位置しています。これはいくつかの外的要因が関係していると考えられます。

まず、地政学的リスクが背景にある可能性が指摘されます。トルコ周辺地域では、シリア内戦や中東全般での緊張が続いており、これが農業生産を間接的に阻害していると推察されます。具体的には、輸送ルートの混乱や国境近辺での安全性低下が、生産活動や流通効率に影響を与えている可能性があります。

次に、気候変動も重要な要因です。トルコは乾燥地域が多く気温変動の影響を受けやすい国です。ナスは比較的温暖な環境を好む作物ですが、異常気象や降雨量の減少が収穫量の変動につながりやすいです。2020年代における生産量の低下も、こうした環境要因が深く関与している可能性があります。また、新型コロナウイルスのパンデミック時には、労働力不足や物流の滞りが発生し、一時的な農業生産への打撃が加わりました。

トルコがナスの生産量を再度安定化し、さらには増加を図るためにはいくつかの対策が必要です。一つ目に、気象変動への適応力を高めるための作物保護技術の導入や品種改良の促進です。例えば、干ばつ耐性の強化や害虫への耐性を強めた品種の投入が求められます。二つ目に、国内外の需要に迅速に応えるため、効率的な輸送インフラの整備です。劣化しやすいナスの品質を保持するため、冷蔵設備は特に重要です。さらに、地域紛争が農業に及ぼす影響を緩和するためには、国際機関や周辺国と協調した支援制度の確立も効果的です。

結論として、トルコのナス生産量はここ数十年で大幅な増加を記録しましたが、近年では停滞または減少傾向が見られます。この現状を改善するため、農業技術の向上、国際協力の強化、政策的な支援が必要です。このような取り組みを通じて、トルコは再びナス生産の安定と拡大を目指すことができるでしょう。農業を重要な柱とするトルコ経済において、ナスが果たす役割は非常に大きいため、これらの対策は生産者だけでなく地域全体の経済・生活にとっても重要です。