世界の羊の毛生産量ランキング2023(最新)

国際連合食糧農業機関（FAO）の最新データによると、2023年度における世界の羊の毛生産量ランキングでは、中国が367,505トンで1位、オーストラリアが324,000トンで2位、ニュージーランドが124,043トンで3位となっています。これら上位3カ国だけで、世界の生産量の大半を占めています。一方で、日本はランクインしておらず、国内での羊毛生産が限られていることが伺えます。上位国から中位、下位国までの生産量には大きな差が見られ、地理条件や産業構造が生産量に大きな影響を与えていると考えられます。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	367,505
2	オーストラリア	オセアニア	324,000
3	ニュージーランド	オセアニア	124,043
4	トルコ	アジア	80,195
5	イギリス	ヨーロッパ	71,690
6	モロッコ	アフリカ	62,921
7	トルクメニスタン	アジア	49,116
8	イラン（イスラム共和国）	アジア	47,706
9	南アフリカ	アフリカ	45,252
10	ロシア連邦	ヨーロッパ	44,909
11	パキスタン	アジア	42,846
12	ウズベキスタン	アジア	38,573
13	カザフスタン	アジア	36,643
14	アルジェリア	アフリカ	35,415
15	アルゼンチン	南アメリカ	35,179
16	インド	アジア	33,896
17	ウルグアイ	南アメリカ	24,692
18	インドネシア	アジア	24,627
19	シリア・アラブ共和国	アジア	21,133
20	アゼルバイジャン	アジア	15,150
21	モンゴル	アジア	14,501
22	イラク	アジア	14,214
23	サウジアラビア	アジア	14,195
24	アフガニスタン	アジア	12,755
25	エジプト	アフリカ	11,911
26	キルギスタン	アジア	11,802
27	アメリカ合衆国	北アメリカ	11,350
28	リビア	アフリカ	10,334
29	チュニジア	アフリカ	9,459
30	イエメン	アジア	9,268
31	ブラジル	南アメリカ	8,546
32	ペルー	南アメリカ	7,984
33	タジキスタン	アジア	7,685
34	タンザニア連合共和国	アフリカ	7,614
35	エチオピア	アフリカ	7,323
36	チリ	南アメリカ	6,316
37	ヨルダン	アジア	4,689
38	コロンビア	南アメリカ	4,433
39	メキシコ	南アメリカ	3,797
40	レソト	アフリカ	3,614
41	ノルウェー	ヨーロッパ	3,414
42	ジンバブエ	アフリカ	2,852
43	レバノン	アジア	2,832
44	アルバニア	ヨーロッパ	2,683
45	バングラデシュ	アジア	2,511
46	ケニア	アフリカ	2,168
47	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	2,030
48	セルビア	ヨーロッパ	2,009
49	グルジア	アジア	2,000
50	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	1,417
51	エリトリア	アフリカ	1,329
52	ナミビア	アフリカ	1,206
53	イスラエル	アジア	1,205
54	カナダ	北アメリカ	1,189
55	ウクライナ	ヨーロッパ	1,187
56	モルドバ共和国	ヨーロッパ	1,181
57	アルメニア	アジア	1,101
58	クウェート	アジア	1,024
59	エクアドル	南アメリカ	951
60	ミャンマー	アジア	796
61	北マケドニア	ヨーロッパ	713
62	スイス	ヨーロッパ	629
63	パラグアイ	南アメリカ	623
64	アイスランド	ヨーロッパ	543
65	ネパール	アジア	381
66	マリ	アフリカ	268
67	モンテネグロ	ヨーロッパ	240
68	マレーシア	アジア	169
69	ベラルーシ	ヨーロッパ	88
+ すべての国を見る

2023年のデータによれば、羊の毛生産量は特定の国々に偏っており、中国、オーストラリア、ニュージーランドが特に高い生産量を記録しています。中国は、豊富な資源と広大な土地、羊毛産業の発展に加え、国内の強大な供給体制によって世界の生産リーダーとなっています。オーストラリアは、特に高品質のメリノウールで知られ、羊毛の輸出でも世界的に重要な役割を果たしています。ニュージーランドも、広大な牧草地と気候条件に恵まれ、主要な輸出国として名を連ねます。

一方、中位グループにはトルコやモロッコ、トルクメニスタンなどが位置しており、生産量は上位国には及ばないものの、それぞれの国が地域的な気象条件や需要に応じた羊毛生産を展開しています。ヨーロッパではイギリスが健闘しており、歴史的に羊毛産業が重要な位置を占めてきた背景がうかがえます。また、パキスタン、イランなど中東地域も羊毛生産量で一定の地位を確立しています。

さらに下位グループに目を向けると、アフリカ、南米、アジアの発展途上国が含まれており、例えばエチオピア、パラグアイ、ネパールなどでは生産量が数千トンに留まっています。これらの国では、羊毛生産が国内消費をまかなう程度にとどまっている場合が多く、輸出産業としての発展には課題が残されています。

地政学的な観点から見ると、国や地域によって羊毛生産の規模や重要性は異なります。例えば、アフガニスタンやシリアのように紛争下にある国々では、牧畜産業が大きな打撃を受け、羊毛の生産や流通が制限されています。また、地球温暖化や自然災害が牧草地に与える影響も懸念材料となっています。一方で、オーストラリアやニュージーランドのような安定した地域は、世界市場に品質の高い羊毛を安定供給することで、不安定な地域を補っています。

未来を見据えると、羊毛産業全体にはいくつかの重要な課題が存在します。まず、気候変動への対応が急務です。過剰な放牧による砂漠化が進む地域では、生態系の保護が必要となります。温暖化は牧草地の品質悪化や、羊の健康にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、各国では牧畜管理技術の強化と、持続可能な生産方法への移行が求められます。

さらに、国際的な需要と供給の不均衡を解消するため、発展途上国への技術支援や融資が重要です。特に、生産効率が低い地域では、近代農業技術や羊毛の加工技術を普及させることで、地元経済の強化と国際市場での競争力向上が期待されます。また、羊毛の産業クラスター形成や越境協力も、中小規模の生産国にとって有力な戦略となるでしょう。

結論として、羊の毛生産量の分布には地域ごとに明確な特徴があり、歴史的背景や地政学的状況がその違いを生じさせています。日本においては羊毛生産がほぼ行われず、輸入に依存した状態が続いていますが、この依存度を軽減するためには国内消費の効率化や代替素材の導入も一つの方向性となるかもしれません。国際社会は、持続可能性を考慮に入れた政策と協力体制を進めることで、全体的な産業の安定化を目指すべきです。