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アゼルバイジャンの羊の毛生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)による最新データでは、アゼルバイジャンの羊の毛生産量は1992年の9,506トンから着実に増加し、2015年には17,020トンとピークに達しました。しかし、その後はやや減少傾向を示しており、2022年の生産量は15,767トンとなっています。過去30年間で産業は総じて成長していますが、近年は伸び悩みの兆候が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 15,150
-3.91% ↓
2022年 15,767
-2.3% ↓
2021年 16,138
0.06% ↑
2020年 16,128
0.21% ↑
2019年 16,095
1.55% ↑
2018年 15,849
-1.19% ↓
2017年 16,040
-3.73% ↓
2016年 16,662
-2.1% ↓
2015年 17,020
1.41% ↑
2014年 16,784
1.58% ↑
2013年 16,523
1.93% ↑
2012年 16,210
1.62% ↑
2011年 15,951
2.11% ↑
2010年 15,621
2.42% ↑
2009年 15,252
3.29% ↑
2008年 14,766
3.84% ↑
2007年 14,220
4.74% ↑
2006年 13,576
3.39% ↑
2005年 13,131
6.75% ↑
2004年 12,301
1.78% ↑
2003年 12,086
2.1% ↑
2002年 11,837
2% ↑
2001年 11,605
6.31% ↑
2000年 10,916
4% ↑
1999年 10,496
1.98% ↑
1998年 10,292
7.63% ↑
1997年 9,562
4.74% ↑
1996年 9,129
1.17% ↑
1995年 9,023
1.92% ↑
1994年 8,853
-8.33% ↓
1993年 9,657
1.59% ↑
1992年 9,506 -

アゼルバイジャンの羊毛生産量は、1990年代初頭の9,000トン台から2000年代後半の13,000〜15,000トン台へと順調に増加してきました。この上昇は、主に農牧業の発展と産業基盤の強化によるものと考えられます。特に2000年から2015年にかけての約15年間で、羊毛の年間生産量は毎年約1〜3%の割合で増加しており、これは国内産業構造の安定化および増大する輸出需要に応じた結果と言えるでしょう。

しかし、2015年をピークとする16,662〜17,020トンに達した後、2016年以降は減少傾向が現れました。この傾向は新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年から2022年に特に顕著であり、羊の飼育や毛刈りに関連する労働力不足や物流上の課題が影響を及ぼしたと考えられます。さらに、気候変動による影響も無視できず、長期間の干ばつや降水量不足が牧草地の質に影響を与えた可能性があります。

アゼルバイジャンにおける羊毛産業は地政学的な背景とも深く結びついています。この地域では、羊毛は伝統的なカーペット製造などの文化的な特徴を有し、国内経済だけでなく地域経済全体に対して大きな影響を持つ産品です。同国はカスピ海沿岸諸国や中東、西欧諸国などとの輸出入関係を発展させることで、羊毛の市場価値を最大限に引き出してきました。しかし、近年、羊毛産業における競争が激化し、特にオーストラリアやニュージーランドなどの主要輸出国との価格競争も国内生産の収益性を低下させる要因となっている可能性が考えられます。

アゼルバイジャン羊毛生産が持続的に成長するためには、いくつかの具体的な施策が必要です。例えば、高効率な飼育技術や気候に適応した牧羊管理を導入することが重要です。また、人為的な干ばつ被害の影響を緩和するために、大規模な灌漑インフラの整備や水資源の効率利用が求められます。さらに、国際市場での競争力を維持・向上させるために、品質向上への投資やブランド化戦略を推進することも欠かせません。

結論として、アゼルバイジャンの羊毛生産量推移は、全体として成長を続けてきた一方、近年には減速する兆候が見られます。これにより、持続可能な発展へ向けた新たな課題が浮上しています。今後、国内政策の強化だけでなく、地域間協力やグローバルマーケットへの接続性を引き続き確保しつつ、労働力の確保や環境適応型の産業強化が必要となるでしょう。このような努力を通じて、アゼルバイジャンは伝統産業の維持と国際市場での競争力の両立を図っていくことが期待されます。