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チュニジアの羊の毛生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月に更新されたデータによると、チュニジアの羊の毛生産量は過去数十年にわたり増減を繰り返しています。1961年の4,000トンからスタートし、1990年代中頃にピークを迎えた後、徐々に減少傾向が見られるようになり、近年は9,000トン台で推移しています。このようなデータは、気候変動や経済変化、政策の影響が複雑に絡んでいる現状を反映しています。

年度 生産量(トン)
2022年 9,333
2021年 9,366
2020年 9,402
2019年 9,491
2018年 9,662
2017年 9,955
2016年 9,784
2015年 7,610
2014年 10,678
2013年 11,065
2012年 11,000
2011年 10,600
2010年 10,352
2009年 10,128
2008年 9,910
2007年 9,698
2006年 9,490
2005年 9,287
2004年 9,000
2003年 9,049
2002年 9,012
2001年 8,978
2000年 8,947
1999年 8,949
1998年 8,911
1997年 8,874
1996年 8,800
1995年 8,700
1994年 8,600
1993年 10,000
1992年 11,000
1991年 12,300
1990年 12,000
1989年 11,600
1988年 11,400
1987年 11,300
1986年 11,000
1985年 11,000
1984年 10,000
1983年 10,000
1982年 9,000
1981年 9,000
1980年 8,900
1979年 8,610
1978年 8,980
1977年 8,990
1976年 9,050
1975年 6,700
1974年 6,400
1973年 5,800
1972年 5,230
1971年 4,700
1970年 5,500
1969年 4,200
1968年 6,100
1967年 6,700
1966年 5,300
1965年 4,200
1964年 3,600
1963年 3,500
1962年 4,000
1961年 4,000

チュニジアの羊の毛生産量は、1961年の4,000トンに始まり、1980年代には安定的に8,000トン台から10,000トン台へ成長を遂げました。この時期の増加は、家畜飼育の拡大や農業政策による支援が影響していると考えられます。特に1983年から1991年にかけては、最高値の12,300トンを記録するなど、生産力の向上が明らかです。この数値は、羊毛生産が景気の一部を維持し、地域の経済活動において重要な役割を果たしていたことを示しています。

一方、1992年以降は減少傾向が見られ、とくに1994年には8,600トンまで落ち込みました。このような減少には、地域の気候変動や水不足、さらには砂漠化の進行が影響していることが指摘されています。また、経済状況の悪化や国際的な羊毛価格の変動も否定できない要因です。

2000年代に入り、羊の毛生産量は一部回復しましたが、9,000トン前後での推移が続き、安定しています。しかし、2015年には再び大きな減少があり、7,610トンにまで低下しました。この減少の背景には、同年の干ばつや農村地帯での生産インフラの弱体化が関連している可能性があります。2020年代に入ってからのデータでは、9,300トン台での横ばいが続いていますが、依然として大きな上向きの兆候は見られません。

チュニジアの羊毛生産の課題は、地政学的および環境的なリスクに関連しています。チュニジアは北アフリカに位置し、干ばつや砂漠化の影響を受けやすい国です。これにより、牧草地や飼料の確保が難しくなり、羊飼育の効率が低下しています。また、この地域の政治的不安定さや経済環境の厳しさも、農畜産業全般への投資を阻害しています。

世界との比較を見ると、例えばインドや中国のように、高効率な生産管理や政府の補助によって家畜産業が成長している国もあります。これに対し、チュニジアの場合、地理的条件や政策的な遅れが影響し、競争力の向上には時間を要する状況です。ただし、フランスやスペインのように、高品質な製品で市場を狙う戦略も一部成功していることから、チュニジアでも専門市場への転換が示唆されます。

未来に向けた具体的な提案としては、第一に、気候変動に対応した持続可能な牧草地管理が挙げられます。これには、干ばつ耐性の高い植物の導入や、効率的な水利用技術の採用が含まれます。第二に、羊毛の高付加価値化を図るため、品質向上のための研修プログラムや技術支援を拡充し、国際市場での競争力を高めることが重要です。第三に、地域間協力を強化し、隣国と牧畜資源や技術を共有する枠組みの構築が求められます。例えば、モロッコやアルジェリアとの連携が挙げられます。

最終的に、このデータの傾向から、チュニジア政府や関係機関は長期的な計画のもと、環境的リスクに耐え得る生産モデルを構築する必要があります。同時に、国際機関や専門家との連携を深め、科学に基づく政策形成を進めることで、羊毛生産の安定と利益の最大化が期待されます。これによって、チュニジアの農畜産業はそのポテンシャルを再び活かすことができるでしょう。