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ウズベキスタンの羊の毛生産量推移(1961年~2023年)

ウズベキスタンの羊の毛生産量は、1992年の27,400トンをピークに1996年まで急減し、その後徐々に回復しました。2009年以降は安定した成長を見せ、2022年には37,307トンに達しています。一時的な経済危機や農業政策の変化が生産量に影響を与えたと考えられる一方で、近年の回復傾向は農業技術の改善や牧羊業の支援政策による成果と評価されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 38,573
3.39% ↑
2022年 37,307
2.65% ↑
2021年 36,345
2.61% ↑
2020年 35,422
0.87% ↑
2019年 35,115
1.44% ↑
2018年 34,615
-4.8% ↓
2017年 36,360
-2% ↓
2016年 37,103
4.18% ↑
2015年 35,614
4.73% ↑
2014年 34,006
4.96% ↑
2013年 32,400
4.3% ↑
2012年 31,065
8.29% ↑
2011年 28,687
8.21% ↑
2010年 26,510
6.12% ↑
2009年 24,980
5.05% ↑
2008年 23,779
6.22% ↑
2007年 22,386
4.43% ↑
2006年 21,437
6.75% ↑
2005年 20,081
7.86% ↑
2004年 18,618
7.03% ↑
2003年 17,395
4.83% ↑
2002年 16,594
4.29% ↑
2001年 15,912
0.49% ↑
2000年 15,834
0.84% ↑
1999年 15,702
1.1% ↑
1998年 15,531
1.86% ↑
1997年 15,247
2.33% ↑
1996年 14,900
-23.59% ↓
1995年 19,500
-21.69% ↓
1994年 24,900
-6.39% ↓
1993年 26,600
-2.92% ↓
1992年 27,400 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ウズベキスタンの羊の毛生産量は長期的な視点で見ると劇的な変遷を経験してきました。1992年の27,400トンという数値を起点に、1996年には14,900トンとほぼ半減しており、この期間は旧ソ連崩壊直後の政治的混乱と経済的制約が主要な要因と考えられます。この国では当時、自由市場経済への移行に伴うインフラや制度の混乱、農業分野の投資不足が生じ、その影響が羊毛生産の減少として現れたのです。

しかしながら、1997年以降は徐々に回復の兆しを見せています。この時期以降、政府の農業改革政策が徐々に進み、牧羊業の再構築への取り組みが着手されました。2005年には20,000トン台を回復し、2010年代以降は年間2,000トン前後のペースで安定的に増加しています。2022年には37,307トンに達し、過去最高値を記録しました。特に近年は、品種改良や飼育技術の高度化といった農業技術の導入の成果が顕著に見られるようになりました。

このデータを国際的な観点で捉えると、ウズベキスタンは他の主要羊毛生産国、たとえば中国やオーストラリアに比べると生産量は依然として小規模ですが、中央アジア地域では重要な地位を占めています。中国の毛織物業界が世界の市場をリードしている中、ウズベキスタンの羊毛は地域内での自給自足と輸出の両面で重要な資源となっています。ただし、ウズベキスタンの生産性向上の取り組みは、中国やオーストラリアの高度な技術や大規模化モデルと比較するとまだ改善の余地があります。

ウズベキスタンの現状を踏まえると、課題は非常に多様です。一つは、気候変動と水資源の確保です。ウズベキスタンは乾燥した気候を持つ国として、農業全般における水資源の効率的な利用が将来的に大きな課題となるでしょう。特に、羊の飼育に必要な牧草地や水の供給不足は、長期的な生産拡大に影響を及ぼす可能性があります。二つ目は、インフラ整備とデジタル技術の応用です。物流や市場アクセスの改善に加え、デジタル技術を活用した生産管理や国際市場との連携が重要です。

未来の指針として、ウズベキスタンは持続可能な農業への投資を継続し、地域の特性に合わせたより効率的な羊毛生産体制を確立する必要があります。例えば、気候変動に適応した乾燥耐性の牧草を栽培するとともに、水資源の管理技術を強化することが求められます。また、地域協力を通じて、他の中央アジア諸国や国際機関との研究開発のパートナーシップを深めることも、今後優先されるべき対策です。こうした取り組みにより、ウズベキスタンは羊毛生産大国としての地位をさらに強固にすると期待されます。