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ペルーの羊の毛生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ペルーの羊の毛生産量は1961年の10,827トンを起点に、1980年代には一部の増減を見せながら概ね横ばいでした。その後1990年代に減少傾向が加速し、近年の2022年では7,984トンにまで減少しています。全体として、長期的には減少基調が顕著ということが言えます。

年度 生産量(トン)
2022年 7,984
2021年 7,690
2020年 7,466
2019年 7,750
2018年 8,056
2017年 8,138
2016年 9,352
2015年 8,954
2014年 9,975
2013年 10,403
2012年 11,029
2011年 10,292
2010年 10,218
2009年 10,279
2008年 10,085
2007年 10,895
2006年 10,374
2005年 10,912
2004年 11,237
2003年 11,319
2002年 11,307
2001年 12,577
2000年 12,361
1999年 11,988
1998年 12,892
1997年 11,635
1996年 10,043
1995年 9,803
1994年 9,946
1993年 9,300
1992年 9,600
1991年 9,803
1990年 9,949
1989年 10,318
1988年 11,400
1987年 11,400
1986年 11,400
1985年 11,300
1984年 11,000
1983年 11,400
1982年 12,000
1981年 11,900
1980年 10,500
1979年 10,900
1978年 11,000
1977年 11,200
1976年 11,442
1975年 11,435
1974年 11,518
1973年 11,277
1972年 11,204
1971年 12,910
1970年 13,121
1969年 13,025
1968年 12,709
1967年 12,556
1966年 11,853
1965年 11,875
1964年 11,000
1963年 10,980
1962年 10,664
1961年 10,827

ペルーは古くから羊毛の生産を行っており、特にアンデス高地では伝統的な繊維産業が地域経済を支えてきました。1960年代から1970年代の前半、ペルーの羊毛生産量は安定した成長を見せ、最高潮は1970年の13,121トンに達しました。しかし、1970年代後半から1980年代には、生産量が一時的に減少し始め、この時期は主に経済の混乱や国内の政治的不安定が影響を及ぼしたと考えられます。さらに1990年代からは、グローバル市場における羊毛製品の需要減少それに代わる合成繊維の普及が、羊毛産業にも影を落としました。

2022年時点の生産量は7,984トンと、1960年代のレベルから大幅に減少しています。近年の気候変動や土地利用の変化も生産量減少の一因と考えられます。例えば、異常気象による草地の質の低下が見られ、生産環境そのものの悪化が羊の飼育状況を圧迫しています。こうした減少傾向は、国内市場における食肉と繊維の需要低迷、及び羊牧畜業従事者の高齢化・離農といった社会経済的課題とも密接に関わっています。

ペルーの羊毛生産は世界全体でみると比較的シェアの低い部類に属しますが、隣国ボリビアやアルゼンチンなどの南米諸国と比較し、長年伝統的な役割を担ってきた点が注目されます。他方、中国やオーストラリアといった主要生産国は、規模の経済に基づく大量生産を実現しており、ペルーは品質面や伝統工芸分野で差別化を図る必要があるでしょう。

さらに地政学的にも、ペルーが位置するアンデス高地では気候変動が深刻な影響を及ぼしています。特に降水量の変動は羊の牧草地に大きなダメージを与え、これが羊毛生産を一層難しい状況に追い込んでいます。過去には、疫病の流行も羊毛産業に被害をもたらしており、将来同様の事態に備えた防疫体制の強化が求められます。

課題解決に向けては、まず羊毛生産業の効率改善のための技術導入が鍵を握ります。例えば、乾燥地に強い牧草の開発や飼育技術の向上が考えられます。また、ペルーの伝統織物文化を活用し、高付加価値製品を国際市場に向けてアピールする戦略も実効性が高いでしょう。さらに国際協力や政府の支援体制を強化し、生産者コミュニティへの支援を拡充していくことが重要です。

結論として、ペルーの羊毛生産量の減少は、自然環境の変化や社会経済的条件の変化に起因する多くの要因が絡み合った結果であるといえます。この現状を踏まえ、適切な政策と技術革新を進めることで、持続可能な羊毛生産を実現し、地域社会の振興へと結びつけることが求められます。特に持続可能性に重点を置いた取り組みは、今後の国際市場における競争力強化にも寄与するでしょう。