国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、セントルシアのヤギ肉生産量は、1961年の22トンから2023年の64トンまで約60年にわたり推移をみせています。その間、1970年代から1980年代にかけて緩やかな増加を記録し、1990年代以降は一時的に一定の水準で停滞しました。2013年から再び生産量が増加に転じましたが、その後再び波を伴う変動が見られます。特にここ10年では、生産量が安定せず上下する傾向が強まっています。
セントルシアのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 64 |
-11.09% ↓
|
2022年 | 72 |
1.95% ↑
|
2021年 | 70 |
1.69% ↑
|
2020年 | 69 |
1.75% ↑
|
2019年 | 68 |
7.05% ↑
|
2018年 | 63 |
11.64% ↑
|
2017年 | 57 |
-8.32% ↓
|
2016年 | 62 |
-11.53% ↓
|
2015年 | 70 |
-9.41% ↓
|
2014年 | 77 |
14.59% ↑
|
2013年 | 67 |
41.9% ↑
|
2012年 | 48 |
-0.17% ↓
|
2011年 | 48 | - |
2010年 | 48 | - |
2009年 | 48 | - |
2008年 | 48 |
3.03% ↑
|
2007年 | 46 |
3.13% ↑
|
2006年 | 45 |
-13.51% ↓
|
2005年 | 52 | - |
2004年 | 52 | - |
2003年 | 52 | - |
2002年 | 52 | - |
2001年 | 52 | - |
2000年 | 52 | - |
1999年 | 52 | - |
1998年 | 52 | - |
1997年 | 52 | - |
1996年 | 52 |
-2.63% ↓
|
1995年 | 53 |
-5% ↓
|
1994年 | 56 |
-2.44% ↓
|
1993年 | 57 |
-4.65% ↓
|
1992年 | 60 |
-2.27% ↓
|
1991年 | 62 |
-2.22% ↓
|
1990年 | 63 |
2.27% ↑
|
1989年 | 62 |
2.33% ↑
|
1988年 | 60 |
2.38% ↑
|
1987年 | 59 |
2.44% ↑
|
1986年 | 57 |
2.5% ↑
|
1985年 | 56 |
2.56% ↑
|
1984年 | 55 |
2.63% ↑
|
1983年 | 53 |
2.7% ↑
|
1982年 | 52 |
2.78% ↑
|
1981年 | 50 |
2.86% ↑
|
1980年 | 49 |
2.94% ↑
|
1979年 | 48 |
3.03% ↑
|
1978年 | 46 |
3.13% ↑
|
1977年 | 45 |
6.67% ↑
|
1976年 | 42 |
3.45% ↑
|
1975年 | 41 |
3.57% ↑
|
1974年 | 39 | - |
1973年 | 39 |
-6.67% ↓
|
1972年 | 42 |
7.14% ↑
|
1971年 | 39 |
7.69% ↑
|
1970年 | 36 |
8.33% ↑
|
1969年 | 34 |
9.09% ↑
|
1968年 | 31 |
10% ↑
|
1967年 | 28 | - |
1966年 | 28 | - |
1965年 | 28 | - |
1964年 | 28 |
25% ↑
|
1963年 | 22 | - |
1962年 | 22 | - |
1961年 | 22 | - |
セントルシアのヤギ肉生産量は、1960年代初頭には年間22トン程度の少規模な状態から始まりました。1968年以降はわずかに増加し、1980年代までには50トン台に達しました。こうした増加の背景には、地元経済の発展とともに農畜産業への投資があり、ヤギ肉がこの地域の重要な動物性たんぱく源として利用されてきたことが考えられます。1980年代後半には63トンまで生産量が伸びましたが、1991年以降、再び減少し、1990年代から2000年代の初頭まで52トン前後で長期停滞期に入ります。この期間には、セントルシア全体の農業政策に変化、輸入肉類の増加、および地域経済の軟化が影響していた可能性があります。
2013年に生産量が67トン、2014年に77トンと急上昇した背景には、農業振興政策の改定やローカル市場での需要回復が一因となったように見受けられます。しかし、この上昇も長続きせず、2015年以降は再び減少を繰り返し、生産量の変動が増えています。2020年から2023年にかけては、やや回復基調を見せつつも、依然として安定とは言えない状況が続いています。ここから、セントルシアのヤギ肉生産量には外部的な要因や国内の経済構造の影響が強く及んでいると推察されます。
このヤギ肉生産量の変動には、地政学的なリスクや自然災害の影響も無視できません。例えば、セントルシアを含むカリブ海諸国はハリケーン被害や異常気象に直面しやすく、これらが農畜産業に大きな影響を及ぼしています。また、新型コロナウイルスの流行により一時的にサプライチェーンが断絶したこともまた、生産量低下の一因と考えられます。
今後、セントルシアのヤギ肉生産を安定させ、さらに発展させるためには、いくつかの具体策が考えられます。まず、気候変動に強いヤギの品種改良や、災害対策としての畜産インフラの強化が重要です。次に、小規模な農場が多いと予想されるセントルシアの畜産業において、農家間の協力体制を築き、効率的な生産モデルを導入することが求められます。また、輸入依存度を下げるため、地産地消を促進するマーケティング戦略や、観光産業との連携による新たな需要創出も効果的でしょう。
さらに、地域間協力によってカリブ諸国全体としての農業産業基盤を強化することも重要な視点です。他国の例として、フランスやドイツでは、小規模農業者支援プログラムによって生産の安定化と輸出拡大の両面を達成しています。こうした成功事例を参考に、国際的な機関の援助も積極的に利用するべきです。
まとめると、1960年代からのセントルシアのヤギ肉生産は増減を繰り返しながら、現状では安定化を模索している段階にあります。この産業をカリブ地域の持続可能な食料源として活用するためには、農業政策、災害対策、国際協力の三位一体の戦略が必要と言えるでしょう。