Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、セントルシアのショウガの生産量は、1980年代から現在に至るまで大きな増減を経ています。1984年の190トンを頂点に急激な減少を示し、1990年代以降は低迷が続きましたが、2010年以降は20トン前後で安定する傾向が見られます。2022年には24トンまで回復しましたが、2023年は23トンとやや微減し、現在も生産量の低迷が続いています。
セントルシアのショウガ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 23 |
-4.17% ↓
|
2022年 | 24 |
118.18% ↑
|
2021年 | 11 |
57.14% ↑
|
2020年 | 7 |
-36.36% ↓
|
2019年 | 11 |
-42.11% ↓
|
2018年 | 19 |
-13.64% ↓
|
2017年 | 22 |
17.9% ↑
|
2016年 | 19 |
6.81% ↑
|
2015年 | 17 |
12.64% ↑
|
2014年 | 16 |
3.4% ↑
|
2013年 | 15 |
0.67% ↑
|
2012年 | 15 |
15.33% ↑
|
2011年 | 13 |
9.12% ↑
|
2010年 | 12 |
7.64% ↑
|
2009年 | 11 |
22.22% ↑
|
2008年 | 9 | - |
2007年 | 9 |
28.57% ↑
|
2006年 | 7 |
-22.22% ↓
|
2005年 | 9 | - |
2004年 | 9 |
-28.8% ↓
|
2003年 | 13 |
-8.14% ↓
|
2002年 | 14 |
-8.57% ↓
|
2001年 | 15 |
67.22% ↑
|
2000年 | 9 |
-61.82% ↓
|
1999年 | 24 |
-20.96% ↓
|
1998年 | 30 |
-17.53% ↓
|
1997年 | 36 |
-26.73% ↓
|
1996年 | 49 |
-3.93% ↓
|
1995年 | 51 |
-14.38% ↓
|
1994年 | 60 |
20% ↑
|
1993年 | 50 |
6.38% ↑
|
1992年 | 47 |
-21.67% ↓
|
1991年 | 60 |
-14.29% ↓
|
1990年 | 70 |
40% ↑
|
1989年 | 50 |
-13.79% ↓
|
1988年 | 58 |
-44.76% ↓
|
1987年 | 105 |
-31.37% ↓
|
1986年 | 153 |
24.39% ↑
|
1985年 | 123 |
-35.26% ↓
|
1984年 | 190 |
35.71% ↑
|
1983年 | 140 |
16.67% ↑
|
1982年 | 120 |
41.18% ↑
|
1981年 | 85 | - |
セントルシアのショウガ生産量は、1980年代初頭には成長を見せ、1984年には190トンと最高値を記録しました。しかし、その後は外的要因や農業構造の変化が影響して急激な減少が見られ、1990年代に入ると50トン以下の低い水準で推移するようになりました。この下落には、多様な原因が指摘されています。例えば、自然災害による農業基盤の損傷、農業労働力の減少、輸出需要の変化、そして地元の農業政策の影響などが挙げられます。
特に1990年から2000年にかけて生産量が9トンから50トンの範囲で推移していることは、セントルシア国内の農業が危機的状況に陥っていたことを示しています。ショウガは土壌の質や栽培方法の影響を受けやすい作物であるため、栽培技術やインフラの発展がなくては生産性の向上は難しいという課題があります。この間、地元農家が他の収益の高い作物に転換していった事実も影響を及ぼしたと言えます。
2000年代以降は停滞期が続き、2010年以降はわずかながらも緩やかな回復傾向が見られます。特に2017年から2022年までの間、生産量は15トン前後から20トン台へと安定的に増加しています。この動きは、農業政策の改善や地元消費需要の高まりを反映したものと考えられます。しかし、2023年には23トンと、前年の24トンを下回る結果となっています。この背景には、地政学的な不安定さや気候変動、新型コロナウイルスによる供給チェーンの混乱など、複合的な要因が絡んでいる可能性があります。
競争力という観点では、ショウガ市場でのセントルシアのシェアは他国と比較して非常に小さく、中国やインドといった主要生産国と比較すると、桁違いの規模差があります。例えば、中国では年間生産量が数百万トンに達し、これはセントルシアの2023年の生産量の約5万倍の規模です。この違いは、国内市場の小ささ、農業インフラの不足、人材不足といったセントルシア特有の課題を浮き彫りにしています。
今後の課題としては、持続可能な農業政策の推進が急務です。気候変動へ対応しつつ、安定した収穫を可能にするための土壌改善技術や効率的な灌漑技術の導入が必要です。また、国際市場における競争力を高めるための品質向上やブランド戦略の立案も重要です。セントルシアならではの有機ショウガやフェアトレード認証を受けた製品を強化することで、高付加価値の商品として輸出可能性を高めることが考えられます。
さらに、若い労働力の確保も重要な課題です。農業を魅力的な職業とするための教育制度の整備や、地域コミュニティの支援も並行して進める必要があります。地域連携や国際協力を通じて、持続可能な農業の枠組みを構築する記念すべき転換点となる可能性が秘められています。
結論として、セントルシアのショウガ生産量は現在も課題が山積しつつも回復の兆しを見せています。しかし、過去の経験に鑑み、地球環境や国際市場の影響を見据えた戦略的施策が成功の鍵となります。国や国際機関が共同して支援プログラムを策定し、セントルシアが持続可能なショウガ生産と経済発展を両立させる未来を切り開くための取り組みが期待されます。