国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データを基に、セントルシアのマンゴー・マンゴスチン・グアバの生産量推移を分析すると、1960年代後半には約3万7,000トンと高い生産量を誇っていましたが、それ以降、長期的に減少傾向が見られ、特に2000年以降には1,000トン付近に大きく減少しました。一方、直近では2019年の1,093トンの回復を経て、2022年には980トンに近づくも、2023年には713トンと揺れ動く状況が続いています。
セントルシアのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移(1961年~2023年)
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 713 |
-27.24% ↓
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| 2022年 | 980 |
83.86% ↑
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| 2021年 | 533 |
-37.37% ↓
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| 2020年 | 851 |
-22.14% ↓
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| 2019年 | 1,093 |
46.51% ↑
|
| 2018年 | 746 |
-6.28% ↓
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| 2017年 | 796 |
45.77% ↑
|
| 2016年 | 546 |
36.58% ↑
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| 2015年 | 400 |
41.61% ↑
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| 2014年 | 282 |
-28.45% ↓
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| 2013年 | 395 |
-21.89% ↓
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| 2012年 | 505 |
29.52% ↑
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| 2011年 | 390 |
19.98% ↑
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| 2010年 | 325 |
0.65% ↑
|
| 2009年 | 323 |
-49.84% ↓
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| 2008年 | 644 |
22.2% ↑
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| 2007年 | 527 |
-32.87% ↓
|
| 2006年 | 785 |
35.11% ↑
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| 2005年 | 581 |
-33.83% ↓
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| 2004年 | 878 |
9.75% ↑
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| 2003年 | 800 |
-27.01% ↓
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| 2002年 | 1,096 |
0.55% ↑
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| 2001年 | 1,090 |
0.93% ↑
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| 2000年 | 1,080 |
2.86% ↑
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| 1999年 | 1,050 |
-96.11% ↓
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| 1998年 | 27,000 |
1.89% ↑
|
| 1997年 | 26,500 |
-3.64% ↓
|
| 1996年 | 27,500 |
1.85% ↑
|
| 1995年 | 27,000 |
1.89% ↑
|
| 1994年 | 26,500 |
1.92% ↑
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| 1993年 | 26,000 |
1.96% ↑
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| 1992年 | 25,500 |
2% ↑
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| 1991年 | 25,000 |
6.24% ↑
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| 1990年 | 23,531 |
-1.95% ↓
|
| 1989年 | 24,000 |
-4% ↓
|
| 1988年 | 25,000 | - |
| 1987年 | 25,000 |
-3.85% ↓
|
| 1986年 | 26,000 | - |
| 1985年 | 26,000 |
-3.7% ↓
|
| 1984年 | 27,000 | - |
| 1983年 | 27,000 |
-3.57% ↓
|
| 1982年 | 28,000 | - |
| 1981年 | 28,000 |
-3.45% ↓
|
| 1980年 | 29,000 | - |
| 1979年 | 29,000 |
-3.33% ↓
|
| 1978年 | 30,000 | - |
| 1977年 | 30,000 |
-3.23% ↓
|
| 1976年 | 31,000 |
-3.13% ↓
|
| 1975年 | 32,000 | - |
| 1974年 | 32,000 |
-3.03% ↓
|
| 1973年 | 33,000 |
-2.94% ↓
|
| 1972年 | 34,000 |
-5.56% ↓
|
| 1971年 | 36,000 |
-5.37% ↓
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| 1970年 | 38,042 |
1.45% ↑
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| 1969年 | 37,500 |
1.35% ↑
|
| 1968年 | 37,000 |
1.37% ↑
|
| 1967年 | 36,500 |
1.39% ↑
|
| 1966年 | 36,000 |
1.41% ↑
|
| 1965年 | 35,500 |
1.43% ↑
|
| 1964年 | 35,000 |
1.45% ↑
|
| 1963年 | 34,500 | - |
| 1962年 | 34,500 |
1.47% ↑
|
| 1961年 | 34,000 | - |
セントルシアにおけるマンゴー・マンゴスチン・グアバの生産量は、1960年代後半には3万7,000トンを超え、この地域の重要な農業資源としての地位を築いていました。しかし、この生産量は1970年代以降に減少傾向を見せ始め、長期的な低迷が明確となります。その後、特に1999年以降、生産量は大幅に減少し、1,000トンを切るほどの落ち込みを記録しました。この劇的な低下は、農地の転用、気候変動、労働力不足、害虫や疫病の発生など、複合的な要因によるものと考えられます。
農業の衰退には、セントルシアの地政学的背景も影響しています。この国は小アンティル諸島に位置し、気候変動の影響を受けやすい低緯度地域に属しています。特に、ハリケーンや暴風雨といった自然災害が頻発し、これが農業生産に大きなダメージを与えています。また、グローバルな農産物市場における競争や輸送コストの増加も、セントルシアの農業収益を押し下げる要因となりました。
加えて、1990年代以降に進んだ都市化と観光産業への注力が、農業分野の優先度を相対的に低下させました。この結果、多くの農地が住宅やリゾート地として転用され、マンゴーやグアバが収穫できる土地が失われるという問題が顕著化しています。例えば、1999年には急激に1,050トンまで生産量が減少し、それ以前と以後で大きな隔たりが生まれたことからも、この時期に大きな構造変化があったことがうかがえます。
近年の動向を見てみると、生産量は年によって揺れ動いています。2017年には約796トンまで回復し、2019年には1,093トンに達しましたが、その後は再び減少傾向を示しました。この不安定性は気象条件や農業政策の影響と考えられます。それに加え、2020年以降の新型コロナウイルスの流行が、労働力の確保や物流に影響を及ぼし、生産過程の効率を妨げた可能性も高いです。
現在の課題としては、まず収穫量の安定化が挙げられます。具体的には、気候変動に対応する耐性のある作物品種の導入、防災農業技術の活用、そして農業従事者の育成が重要です。また、自然災害に備えた施設の整備や、作物の収穫・輸送体制の近代化が求められています。さらに、観光産業と農業を関連付け、地元産のマンゴーやグアバを用いた食品ブランドを構築することで、地元経済全体の活性化も図るべきです。
将来的には、地域間協力を深めることで、セントルシアの農業生産を広域的な枠組みの中で支える動きが期待されます。隣国との共同研究や市場の整備は、輸出の量と質を向上させる重要なステップとなるでしょう。例えば、韓国や日本のような加工食品輸出が進む国々の事例を参考に、マンゴーやグアバを加工した商品を海外へ供給する計画が有望です。
結論として、セントルシアのマンゴー・マンゴスチン・グアバの生産量推移は、歴史的に見ると顕著な下降傾向がありますが、持続可能な農業施策を講じることで今後の復興や発展に向けた道筋を描くことが可能です。国際機関や隣国との協力を通じて適切な支援を導入し、人材育成や農業インフラの整備への投資を強化することで、この地域の農業を次世代に受け継ぐことが必要です。