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セントルシアの豚飼育数推移(1961年~2023年)

セントルシアにおける豚の飼育数は、1961年以降長期間にわたり変動を繰り返してきました。1960年代には増加傾向が見られましたが、1970年代以降に一度減少し、その後緩やかな回復傾向を示しています。2007年には大幅な増加を記録したものの、その後再び減少し近年も変動が続いています。特に2021年には大幅に減少しましたが、2022年には10,000頭まで回復しています。このデータは、セントルシアの農業政策や経済状況、さらには外部要因の影響が反映されていることを示しています。

年度 飼育数(頭) 増減率
2023年 10,835
8.35% ↑
2022年 10,000
7.74% ↑
2021年 9,282
-29.8% ↓
2020年 13,222
-7.52% ↓
2019年 14,297
-8.43% ↓
2018年 15,613
-4.41% ↓
2017年 16,334
10.99% ↑
2016年 14,717
8.27% ↑
2015年 13,593
23.37% ↑
2014年 11,018
15.17% ↑
2013年 9,567
-28.02% ↓
2012年 13,291
-3.42% ↓
2011年 13,761
-1.88% ↓
2010年 14,025
-9.25% ↓
2009年 15,454
0.53% ↑
2008年 15,372
-21.25% ↓
2007年 19,520
30.13% ↑
2006年 15,000 -
2005年 15,000
0.13% ↑
2004年 14,980
0.2% ↑
2003年 14,950 -
2002年 14,950
0.34% ↑
2001年 14,900
1.02% ↑
2000年 14,750 -
1999年 14,750
0.34% ↑
1998年 14,700
0.68% ↑
1997年 14,600
-0.6% ↓
1996年 14,688
2.71% ↑
1995年 14,300
2.14% ↑
1994年 14,000
3.7% ↑
1993年 13,500
3.85% ↑
1992年 13,000
4% ↑
1991年 12,500
4.17% ↑
1990年 12,000
1.69% ↑
1989年 11,800 -
1988年 11,800
0.85% ↑
1987年 11,700
0.86% ↑
1986年 11,600
0.43% ↑
1985年 11,550
-0.03% ↓
1984年 11,553
5.37% ↑
1983年 10,964
4.82% ↑
1982年 10,460
4.99% ↑
1981年 9,963
2.5% ↑
1980年 9,720
3.99% ↑
1979年 9,347
4.17% ↑
1978年 8,973
4.35% ↑
1977年 8,599
4.55% ↑
1976年 8,225
4.76% ↑
1975年 7,851
-0.62% ↓
1974年 7,900
0.64% ↑
1973年 7,850
-12.78% ↓
1972年 9,000
-10% ↓
1971年 10,000
-16.67% ↓
1970年 12,000
-20% ↓
1969年 15,000
-11.76% ↓
1968年 17,000
-5.56% ↓
1967年 18,000
12.5% ↑
1966年 16,000 -
1965年 16,000
6.67% ↑
1964年 15,000 -
1963年 15,000
7.14% ↑
1962年 14,000
3.7% ↑
1961年 13,500 -

セントルシアの豚の飼育数の推移を見ると、各時期において経済や社会状況、さらには地政的な要因が明確に影響していることが分かります。1960年代から1970年にかけて15,000~18,000頭程度の安定した規模を維持していましたが、1970年代初頭に12,000頭を切る急激な下落が見られました。この時期、セントルシアを含むカリブ地域では農業改革や輸入依存の拡大が進んでおり、国内での豚飼育が一時的に後退したと考えられます。

その後、1980年代から1990年代にかけては緩やかな回復傾向が見られ、2000年には15,000頭に達しました。これは、国内農業の政策支援や市場動向の好転が寄与した可能性があります。しかし2007年には19,520頭という異常ともいえる高水準を記録しました。これは一部の農業政策や地域的な需要増加による一時的な現象であったと推測されますが、その後2008年には再び15,000頭台に戻り、安定的な増減を繰り返しました。

近年に焦点を移すと、2013年を境にして特に激しい変動が見られ、2017年の16,334頭をピークに再び減少傾向に転じています。2021年には9,282頭まで減少し、2022年にはいくらか回復して10,000頭となりました。この急激な変動には、2020年から始まった新型コロナウイルス感染症による経済的打撃が深く関係していると考えられます。パンデミックによる物流の停滞や観光業への依存が高い同国経済の不安定化が、小規模農家や農産業全体に影響を及ぼした可能性があります。また、気候変動による極端な気象パターンも、飼育環境の不安定要因であることが指摘されています。

このような現状を踏まえると、セントルシアの豚飼育業における課題は明確です。まず、外部からの経済的ショックや気象災害に強い農業基盤を構築することが必要です。そのためには、多様化した飼育モデルの導入が一つの方策となるでしょう。例えば、小規模農家の集合的なネットワーク化や適切な技術指導をサポートし、設備資金や飼料供給の安定を図る政策が有効です。さらに、気候変動対策として耐気候性の豚品種の育成や、水資源管理への投資を行うことも重要です。

また、輸入依存を軽減するためには、国内市場拡大や観光業との連携強化が必要です。観光客向けに地元産豚肉の供給を促進するための認証制度やブランディング戦略の導入が考えられます。これにより国内の需要を高め、外貨流出を防ぐだけでなく地元経済の強化にもつながります。

結論として、セントルシアの豚飼育業界は地域経済の一部として重要な役割を担い続けていますが、近年の外的要因による不安定さが顕在化しています。その解決には、短期的な支援措置だけでなく、持続可能な長期的発展を目指した政策転換が不可欠です。国際機関や地域間協力のサポートも取り込みつつ、セントルシア特有の環境に適した農業モデルの構築を進めていくことが求められるでしょう。