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セントルシアのプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月時点までのデータによると、セントルシアのプランテンおよび調理用バナナの生産量は、1978年の1,733トンから2023年の1,603トンまで長期的に推移を見せています。生産量のピークは2019年の2,712トンで、この数値の後、2020年以降には減少傾向が見られます。特に新型コロナウイルス感染症の流行や近年の自然災害が、この分野に影響を与えたと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,603
-35.88% ↓
2022年 2,500
32.91% ↑
2021年 1,881
9.62% ↑
2020年 1,716
-36.73% ↓
2019年 2,712
1.99% ↑
2018年 2,659
12.67% ↑
2017年 2,360
14.08% ↑
2016年 2,069
15.23% ↑
2015年 1,795
21.04% ↑
2014年 1,483
10% ↑
2013年 1,349
-0.47% ↓
2012年 1,355
-2.81% ↓
2011年 1,394
-0.65% ↓
2010年 1,403
-3.69% ↓
2009年 1,457
10.46% ↑
2008年 1,319
48.37% ↑
2007年 889
35.31% ↑
2006年 657
-8.11% ↓
2005年 715
-20.11% ↓
2004年 895
27.86% ↑
2003年 700
-2.78% ↓
2002年 720
2.86% ↑
2001年 700
1.45% ↑
2000年 690
-2.82% ↓
1999年 710
-45.22% ↓
1998年 1,296
-13.66% ↓
1997年 1,501
28.07% ↑
1996年 1,172
-21.87% ↓
1995年 1,500
-1% ↓
1994年 1,515
6.13% ↑
1993年 1,428
0.64% ↑
1992年 1,419
1.34% ↑
1991年 1,400
-29.65% ↓
1990年 1,990
-0.5% ↓
1989年 2,000
5.26% ↑
1988年 1,900
5.56% ↑
1987年 1,800 -
1986年 1,800 -
1985年 1,800
-4.86% ↓
1984年 1,892
2.49% ↑
1983年 1,846
19.95% ↑
1982年 1,539
3.08% ↑
1981年 1,493
18.87% ↑
1980年 1,256
8.28% ↑
1979年 1,160
-33.06% ↓
1978年 1,733 -

1978年から2023年までのセントルシアにおけるプランテンおよび調理用バナナの生産量の推移は、農業分野における地元経済と国際市場の影響を如実に反映しています。このデータは、セントルシアが農業を主軸とする経済構造を持ちながら、変化する輸出市場と気候条件に適応しなければならない現実を示しています。

特に、生産量は1978年には1,733トンと安定的な数値で始まったものの、1980年代には1,800トン前後で推移しました。しかし、1989年の2,000トンを一つのピークとして以降、1990年代には生産量が明らかに減少に転じ、1999年までには710トンにまで落ち込みました。この大幅な減少は、国際価格競争の激化だけでなく、セントルシアが抱える農業のインフラ不足や、気候変動による自然災害の影響も要因と考えられます。

2000年代にはやや回復するものの、生産量は1,000トンをわずかに上回る程度の期間が続きました。その後、2010年代になると再び安定的な増加傾向を示し、特に2016年の2,069トンを皮切りに2018年の2,659トン、そして2019年の2,712トンへとピークを迎えました。この時期には、地元政府の農業支援施策や、輸出市場の需要増加が影響したとみられます。

しかし、2020年には新型コロナウイルスの流行が世界を襲い、生産量は2019年のピーク値から約1,000トン減少して1,716トンとなりました。ロックダウンやサプライチェーンの混乱は、特産品の輸出に大きな制約をもたらし、それが農業全体、特に調理用バナナ生産に明確な影響を与えました。また、この期間には洪水や暴風雨など、気候変動に伴う自然災害の頻発も生産量減少の一因とされています。

2022年には2,500トンと再度回復の兆しを見せたものの、2023年には再び1,603トンまで減少しました。これは、単発的な災害だけでなく、市場需給の不均衡や農業労働者の減少など構造的な問題を抱えている可能性を示唆しています。また、セントルシアは小さな島国であるため、地政学的な影響や輸送面の効率性低下も課題として明確です。

今後の課題としては、気候変動への対応や災害リスクの軽減が極めて重要です。例えば、気象予測技術の活用や災害リスク管理の強化を図りつつ、生産体制を多様化して柔軟性を向上することが求められます。また、輸送網の整備や国際市場との連携を強化し、収益性の向上を図る必要があります。さらに、農業分野における若年層の参入を促進するための教育プログラムや、持続的な労働環境の整備も対策の一環として検討すべきです。

国際レベルでも、セントルシアなど小規模農業国への技術支援や資金提供が一層必要であり、これにより競争力を高めることで国際市場での存在感を再評価できます。特に近隣のカリブ諸国や大きな消費市場を持つアメリカとの連携が鍵となります。長期的には、持続可能な農業手法を導入して気候変動に強い産業基盤を構築することが、セントルシアの農業そして国全体の繁栄につながる道筋となるでしょう。