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アルジェリアの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)のデータによると、アルジェリアの牛乳生産量は1961年から2022年にかけて、長期的には増加傾向が見られます。1961年の生産量は約34万7千トンでしたが、ピーク時の2014年には約413万トンに達しました。その後、やや減少傾向に転じ、2022年には約332万トンに及びました。この増加の背景には農業政策の変化や技術革新がある一方、近年の減少は環境ストレスや経済状況が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 3,321,114
1.76% ↑
2021年 3,263,583
-2.71% ↓
2020年 3,354,616
0.34% ↑
2019年 3,343,375
3.08% ↑
2018年 3,243,472
-9.79% ↓
2017年 3,595,404
-1.63% ↓
2016年 3,654,882
4.1% ↑
2015年 3,510,867
-14.97% ↓
2014年 4,129,144
5% ↑
2013年 3,932,448
6.77% ↑
2012年 3,683,034
2.69% ↑
2011年 3,586,442
10.12% ↑
2010年 3,256,802
9.76% ↑
2009年 2,967,278
6.61% ↑
2008年 2,783,328
3.86% ↑
2007年 2,679,994
-3.6% ↓
2006年 2,780,016
8.86% ↑
2005年 2,553,669
7.59% ↑
2004年 2,373,450
16.84% ↑
2003年 2,031,300
2.87% ↑
2002年 1,974,653
-3.05% ↓
2001年 2,036,826
3.18% ↑
2000年 1,974,098
45.16% ↑
1999年 1,359,924
2.2% ↑
1998年 1,330,600
12.17% ↑
1997年 1,186,200
-2.87% ↓
1996年 1,221,200
4.57% ↑
1995年 1,167,800
10.57% ↑
1994年 1,056,173
2.52% ↑
1993年 1,030,179
1.78% ↑
1992年 1,012,173
13.17% ↑
1991年 894,400
-8.45% ↓
1990年 977,000
6.55% ↑
1989年 916,950
-0.57% ↓
1988年 922,200
-0.53% ↓
1987年 927,100
5.28% ↑
1986年 880,600
-0.24% ↓
1985年 882,700
-0.68% ↓
1984年 888,700
0.32% ↑
1983年 885,900
-1.77% ↓
1982年 901,850
8.95% ↑
1981年 827,800
1.07% ↑
1980年 819,050
3.91% ↑
1979年 788,200
0.99% ↑
1978年 780,500
4.56% ↑
1977年 746,460
3.5% ↑
1976年 721,250
7.19% ↑
1975年 672,860
7.32% ↑
1974年 626,960
13.5% ↑
1973年 552,400
1.84% ↑
1972年 542,400
2.88% ↑
1971年 527,200
3.43% ↑
1970年 509,700
-0.53% ↓
1969年 512,400
6.41% ↑
1968年 481,550
5.33% ↑
1967年 457,200
9.81% ↑
1966年 416,350
8.22% ↑
1965年 384,720
9.11% ↑
1964年 352,600
9.84% ↑
1963年 321,000
-3.6% ↓
1962年 333,000
-4.09% ↓
1961年 347,200 -

アルジェリアは北アフリカに位置し、地中海性気候と乾燥地帯を持つ広大な国土が特徴的です。この地域では伝統的に農業が重要な役割を果たしており、牛乳生産もその一環として国家経済と食料安全に寄与しています。

牛乳生産のデータを振り返ると、1961年から1979年にかけては年平均2-4%の緩やかな成長が見られました。この時期はアルジェリアの独立直後にあたり、食料自給率向上を目指す農業政策が展開されていました。その後、1980年代には一部横ばいの時期もありましたが、1990年代に入ると再び急速に増加し、2000年代初頭には生産量が急激に伸びました。特に2000年から2014年の間では、年平均約4%以上の成長率を記録しています。このような増加は、酪農技術の導入、生産設備の改善、農業従事者への補助金など、多様な要因によるものです。

しかし、2015年以降は減少傾向が顕著となっており、2022年時点では過去のピークである2014年からおよそ20%減少しています。この要因として、気候変動による影響が挙げられます。アルジェリアでは降水量が減少傾向にあり、土地の乾燥化が進行しています。これにより、牧草地の維持が困難になり、牛の飼育環境が劣化しています。また、経済の不安定性も影響しています。原油価格が下落した際にアルジェリアの財政が圧迫された結果、農業セクターへの投資が減少したと考えられます。さらに、輸入飼料価格の上昇も小規模酪農家の経営に重い負担をもたらしました。

国際的に見ると、アルジェリアの2014年のピーク時の生産量約413万トンは、日本の生産量(約760万トン)やアメリカ(約9,000万トン)と比較すると低い水準です。これは、一人あたり牛乳消費量が先進国と比べても少ないという食文化や需要構造の違いも反映しています。しかし、北アフリカ地域ではトップクラスの生産規模を誇ります。現在、地域全体での食料安全保障向上の文脈において、アルジェリアの持つ生産量の安定性は重要な役割を担っています。

将来的な課題として、持続可能な牛乳生産の促進と生産量回復の必要性が挙げられます。まず、気候変動への適応策が不可欠です。乾燥条件でも適応可能な牧草の開発や、効率的な灌漑技術の導入が挙げられます。また、酪農における規模拡大だけでなく、小規模農家向けの支援も求められています。アルジェリア政府が農業政策を再構築し、国際的な技術協力を促進することで、これらの課題に対応することが可能です。さらに、地域協力の強化によって、北アフリカ全体の農業基盤向上に寄与することも期待されます。

このように、アルジェリアの牛乳生産量推移は、その国の食料安全保障政策や環境変動への適応を理解するうえで重要な指標となっています。将来的には国際機関や地域協力を活用した政策的対応が欠かせません。その実現が、アルジェリアのみならず、周辺地域全体の持続的発展につながると考えられます。