国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、アルジェリアの鶏卵生産量は1961年には7,500トンであった一方、2023年には308,542トンを記録しました。1960年代から2000年代にかけては概ね一貫した増加傾向を示していましたが、2016年に388,162トンでピークを迎え、その後は減少と緩やかな回復を繰り返しています。この20年間、生産量の大幅な変動が見られる一方で、300,000トン前後で横ばいの状態が続いています。
アルジェリアの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 308,542 |
-1.09% ↓
|
2022年 | 311,930 |
2.19% ↑
|
2021年 | 305,239 |
-1.04% ↓
|
2020年 | 308,456 |
-4.23% ↓
|
2019年 | 322,095 |
2.56% ↑
|
2018年 | 314,043 |
-4.41% ↓
|
2017年 | 328,521 |
-15.36% ↓
|
2016年 | 388,162 |
0.71% ↑
|
2015年 | 385,413 |
9.64% ↑
|
2014年 | 351,512 |
1.22% ↑
|
2013年 | 347,275 |
12.4% ↑
|
2012年 | 308,966 |
10.45% ↑
|
2011年 | 279,726 |
7.39% ↑
|
2010年 | 260,477 |
34.57% ↑
|
2009年 | 193,560 |
4.99% ↑
|
2008年 | 184,360 |
-5.79% ↓
|
2007年 | 195,690 |
9.64% ↑
|
2006年 | 178,490 |
1.99% ↑
|
2005年 | 175,000 |
-2.78% ↓
|
2004年 | 180,000 |
9.09% ↑
|
2003年 | 165,000 |
3.13% ↑
|
2002年 | 160,000 |
48.15% ↑
|
2001年 | 108,000 |
6.93% ↑
|
2000年 | 101,000 |
8.6% ↑
|
1999年 | 93,000 |
-15.45% ↓
|
1998年 | 110,000 |
14.58% ↑
|
1997年 | 96,000 |
12.94% ↑
|
1996年 | 85,000 |
-35.61% ↓
|
1995年 | 132,000 |
14.78% ↑
|
1994年 | 115,000 |
9.52% ↑
|
1993年 | 105,000 |
0.96% ↑
|
1992年 | 104,000 |
-18.11% ↓
|
1991年 | 127,000 |
-9.29% ↓
|
1990年 | 140,000 |
42.86% ↑
|
1989年 | 98,000 |
3.16% ↑
|
1988年 | 95,000 |
17.28% ↑
|
1987年 | 81,000 |
35% ↑
|
1986年 | 60,000 |
-6.25% ↓
|
1985年 | 64,000 |
16.36% ↑
|
1984年 | 55,000 |
10% ↑
|
1983年 | 50,000 |
11.11% ↑
|
1982年 | 45,000 |
50% ↑
|
1981年 | 30,000 |
20% ↑
|
1980年 | 25,000 |
34.05% ↑
|
1979年 | 18,650 |
3.04% ↑
|
1978年 | 18,100 |
2.26% ↑
|
1977年 | 17,700 |
4.73% ↑
|
1976年 | 16,900 |
9.03% ↑
|
1975年 | 15,500 |
6.9% ↑
|
1974年 | 14,500 |
3.57% ↑
|
1973年 | 14,000 |
3.7% ↑
|
1972年 | 13,500 |
3.85% ↑
|
1971年 | 13,000 |
4% ↑
|
1970年 | 12,500 |
4.17% ↑
|
1969年 | 12,000 |
4.35% ↑
|
1968年 | 11,500 |
4.55% ↑
|
1967年 | 11,000 |
10% ↑
|
1966年 | 10,000 |
3.09% ↑
|
1965年 | 9,700 |
10.23% ↑
|
1964年 | 8,800 |
3.53% ↑
|
1963年 | 8,500 |
6.25% ↑
|
1962年 | 8,000 |
6.67% ↑
|
1961年 | 7,500 | - |
アルジェリアの鶏卵生産量は、データが記録された1961年から着実に増加を見せ、1980年代に急激な成長期を迎えました。この成長は、農業生産能力の向上や近代的な養鶏技術の導入に起因しています。特に1980年以降の増加幅は顕著であり、1980年の25,000トンから1990年には140,000トンと約5.6倍の成長を記録しました。その後、2000年代前半にも長期的な拡張が続き、2016年には388,162トンという最高値に到達しました。
しかし、それ以降の生産量は不安定な推移を見せています。2016年をピークに減少が始まり、2018年以降は300,000トン付近を前後する状況が続いています。この変動には、いくつかの要因が関係していると考えられます。例えば、国内外の経済不安定、輸入飼料価格の高騰、気候変動による農業インフラへの影響、さらには新型コロナウイルスの影響が、アルジェリアにおける鶏卵生産の課題を浮き彫りにしています。
さらに地政学的リスクとして、アルジェリアは西アフリカの地域不安定やサハラ周辺の地政学的問題に直面しています。これにより、農業生産の安定性に影響が及ぶ可能性があります。また、輸入依存が高い飼料や設備が供給されにくくなることで、生産量の停滞を招きかねません。このような地理的背景は、国内生産を支える基盤の脆弱性を露呈しています。
将来的な課題は、アルジェリアがどのようにして国内の卵生産を安定させ、需要を満たすのみならず輸出用の余剰生産を実現するかにあります。特に現代的設備や技術の導入、持続可能な農業インフラの確立、国内産業の多角化が鍵となります。また、気候変動への適応策として、鶏卵生産に関する気候対応型の政策を推進することが必要です。農業研究の促進や、輸入依存度の低下のために飼料自給率を向上させる施策も求められます。
国際的にも鶏卵の生産は競争が激化しており、日本や韓国などでは生産性の向上と輸出市場の拡大に注力しています。これに対し、アルジェリアは現時点でそのような競争力を持つ段階には達していません。そのため、政府による産業振興施策やインセンティブの提供が重要となるでしょう。また、地域間協力を強化し、特にEU諸国やアフリカ各国との貿易協定を活用することで、新たな需要ルートの開拓も考えられます。
結論として、鶏卵生産量の安定性を高めるために、アルジェリアは長期的かつ包括的な戦略を採らなければなりません。地球規模の気候問題や国際経済の影響を考慮しつつ、国内の農業空間を効率化することが必要です。政府や国際機関が連携し、生産性向上と持続可能性の両立を目指した施策を強化することで、アルジェリアの鶏卵産業が将来的に安定した成長を遂げることが期待されます。