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アルジェリアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、アルジェリアの牛乳生産量は長期的には著しい増加を記録しているものの、近年は減少傾向を示しています。1961年の生産量は158,000トンでしたが、その後の数十年間で急激な増加を見せ、2014年には3,548,825トンに達しました。ただし、2015年以降は減少に転じ、2023年の生産量は2,419,277トンと2014年のピーク時から約30%減少しています。これらの推移は、特に食料安全保障、気候変動、およびアルジェリア国内農業政策の課題を浮き彫りにしています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,419,277
-0.6% ↓
2022年 2,433,987
1.03% ↑
2021年 2,409,291
-0.22% ↓
2020年 2,414,552
-2.57% ↓
2019年 2,478,117
2.31% ↑
2018年 2,422,053
-9.15% ↓
2017年 2,666,000
-5.39% ↓
2016年 2,818,000
-3.89% ↓
2015年 2,932,000
-17.38% ↓
2014年 3,548,825
5.37% ↑
2013年 3,368,066
9.06% ↑
2012年 3,088,190
2.44% ↑
2011年 3,014,768
11.17% ↑
2010年 2,711,898
9.97% ↑
2009年 2,466,066
7.86% ↑
2008年 2,286,299
1.6% ↑
2007年 2,250,391
-2.64% ↓
2006年 2,311,320
7.27% ↑
2005年 2,154,760
9.24% ↑
2004年 1,972,450
18.94% ↑
2003年 1,658,300
4.27% ↑
2002年 1,590,320
-5.69% ↓
2001年 1,686,326
3.39% ↑
2000年 1,631,098
56.86% ↑
1999年 1,039,854
5.68% ↑
1998年 984,000
15.76% ↑
1997年 850,000
-5.35% ↓
1996年 898,000
8.19% ↑
1995年 830,000
15.28% ↑
1994年 720,000
5.88% ↑
1993年 680,000
4.62% ↑
1992年 650,000
16.07% ↑
1991年 560,000
-11.11% ↓
1990年 630,000
5.88% ↑
1989年 595,000
1.71% ↑
1988年 585,000
-0.85% ↓
1987年 590,000
9.46% ↑
1986年 539,000
0.56% ↑
1985年 536,000
0.37% ↑
1984年 534,000
-2.91% ↓
1983年 550,000
-6.78% ↓
1982年 590,000
13.46% ↑
1981年 520,000
0.34% ↑
1980年 518,250
3.13% ↑
1979年 502,500
0.5% ↑
1978年 500,000
4.17% ↑
1977年 480,000
4.35% ↑
1976年 460,000
9.52% ↑
1975年 420,000
13.51% ↑
1974年 370,000
17.31% ↑
1973年 315,400
0.99% ↑
1972年 312,300
4.13% ↑
1971年 299,900
3.74% ↑
1970年 289,100
1.08% ↑
1969年 286,000
9.58% ↑
1968年 261,000
6.1% ↑
1967年 246,000
7.42% ↑
1966年 229,000
10.1% ↑
1965年 208,000
8.33% ↑
1964年 192,000
12.94% ↑
1963年 170,000
3.03% ↑
1962年 165,000
4.43% ↑
1961年 158,000 -

アルジェリアの牛乳生産量の推移を分析すると、同国の農業発展の変移や社会経済的背景が反映されています。1960年代から1980年代には、人口増加と国内経済の発展に伴い、牛乳生産量は大幅に増加しました。特に1970年代から1980年代にかけては1年平均約20,000トン以上の増加を記録しています。これには、同国が家畜の頭数増加や農村開発の拡充を通じて酪農セクターを支援した背景が関係していると考えられます。

しかしながら、1990年代初頭の生産量には一時的な停滞と減少が見られます。この時期の停滞は、社会不安や内戦に起因する農業セクターへの影響であったと推測されます。その後、2000年代に入ってから生産技術の向上や国際援助を活用した農業政策により、急速な生産量の増加が見られるようになりました。例えば、2000年の生産量は1,631,098トンですが、2014年には3,548,825トンと2倍以上に成長しています。この時期には、アルジェリアが自給率向上を目指して乳製品生産を強く推進したことが寄与しています。

しかし、2015年以降の急激な減少は、新たな課題を示しています。最も重要な要因として挙げられるのが気候変動です。アルジェリアは北アフリカに位置し、乾燥した気候が農業に悪影響を及ぼしています。水資源不足や農地の劣化といった環境条件の悪化が、牛乳生産量に直接的および間接的な影響を与えています。また、国内の政治的不安や経済的課題も、酪農業への投資や政策の安定的な実施を阻害している可能性があります。さらに、輸入乳製品の増加も国内生産の競争力を低下させています。

今後、アルジェリアが牛乳生産量を持続的に向上させるためにはいくつかの対応が必要です。第一に、気候変動への適応として灌漑設備の近代化や飼料の効率的利用を促進することが求められます。これにより水資源の不足問題を緩和しつつ、農場の収益性を向上させる可能性があります。第二に、小規模酪農家への技術サポートや金融支援を強化し、生産効率を向上させる政策が効果を発揮するでしょう。また、乳製品の国際的な価格競争に対抗するために、国内市場の保護政策や補助金制度を見直す必要があると考えられます。さらには、地域間協力を強化し、周辺国と食料安全保障に関する共通の取り組みを進めることも、アルジェリアにとって戦略的に重要です。

アルジェリアがこの課題に適切に対応することで、中長期的には牛乳生産量の安定的な成長と食料自給率の向上が可能になるでしょう。また、持続可能な酪農業の発展は、農村部の雇用創出や経済的自立にもつながります。国際機関や他国の成功事例を参考にしつつ、環境と経済の両面に配慮した政策を実施することで、アルジェリアの酪農産業は新たな段階に進むことができると期待されます。