国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、1975年以降のアルジェリアのキャベツ生産量は急激に拡大しています。1975年の生産量はわずか1,000トンでしたが、2022年には155,164トンに達しました。特に2000年代以降、農業技術の進化や政策的支援を背景に著しい増加を見せており、2010年代後半から特に急速な成長が見られます。しかしながら、一部の年で生産量が減少する傾向もあり、天候や地政学的リスクが影響している可能性があります。
アルジェリアのキャベツ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 155,164 |
2021年 | 158,045 |
2020年 | 124,204 |
2019年 | 116,426 |
2018年 | 107,412 |
2017年 | 91,942 |
2016年 | 104,881 |
2015年 | 78,212 |
2014年 | 85,201 |
2013年 | 77,943 |
2012年 | 83,368 |
2011年 | 59,048 |
2010年 | 50,982 |
2009年 | 46,788 |
2008年 | 36,604 |
2007年 | 43,521 |
2006年 | 39,062 |
2005年 | 33,512 |
2004年 | 42,305 |
2003年 | 29,799 |
2002年 | 24,773 |
2001年 | 24,383 |
2000年 | 18,616 |
1999年 | 21,971 |
1998年 | 19,378 |
1997年 | 21,024 |
1996年 | 23,658 |
1995年 | 22,329 |
1994年 | 23,663 |
1993年 | 20,614 |
1992年 | 25,589 |
1991年 | 15,145 |
1990年 | 13,267 |
1989年 | 17,633 |
1988年 | 16,208 |
1987年 | 12,432 |
1986年 | 12,700 |
1985年 | 9,730 |
1984年 | 11,170 |
1983年 | 6,590 |
1982年 | 5,570 |
1981年 | 6,330 |
1980年 | 5,800 |
1979年 | 4,900 |
1978年 | 4,500 |
1977年 | 4,000 |
1976年 | 2,000 |
1975年 | 1,000 |
アルジェリアのキャベツ生産量の推移を振り返ると、生産の急成長を遂げた時期と停滞あるいは減少が見られる時期の繰り返しが特徴と言えます。1975年の1,000トンという生産規模からしばらくは徐々に増加しており、1980年代半ばまでに10,000トン以上に達しています。こうした増加は、主に農業インフラの整備や国内需要の向上に伴うものと考えられます。
1990年代に入ると、しばしば生産量が上下動を見せ、例えば1990年の13,267トンから1992年には25,589トンに大幅に増加した一方で、1995年と1996年には22,329トンと23,658トンとやや停滞が見られました。この時期は、アルジェリア内戦による社会的・経済的影響が大きく、農業部門全体が不安定な状況にあったと見ることができます。内戦は農地の管理不足や物流インフラの問題をもたらし、キャベツ栽培にも悪影響を与えました。
2000年以降になると、政府が農業政策を再整備し、特に灌漑設備や合理的な栽培技術を導入することで、キャベツ生産は飛躍的に向上しました。2003年、2004年の20,000トン台からいきなり40,000トンを超える水準となったことは、生産性の向上を如実に示しています。その後も成長は続き、2010年代に入ると持続的な増加の傾向が強まり、2019年にはすでに116,426トンとなっています。さらに、2020年代に入ってからは、特に2021年、2022年に急増し、それぞれ158,045トン、155,164トンと過去最高水準を記録しています。
直近の大幅な増加は、アルジェリア政府が持続可能な農業政策を推進していることに加え、輸出市場の拡大や国内需要のさらなる増加が寄与していると考えられます。ただし、この成長にはいくつかの課題が伴います。一つは気象変動の影響です。特に近年、洪水や干ばつといった異常気象が農作物に大きなリスクをもたらしている点は見逃せません。また、周辺国や国際市場との競争が激化していることにも留意が必要です。
さらに、地政学的背景にも注意を払う必要があります。北アフリカ地域の資源や農業用水を巡る争奪が生産に影響を及ぼす可能性があり、輸出依存度が高まる中で輸送の安定性が課題となるでしょう。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で一時的に物流が停滞したことは、農産物輸出における脆弱性を露呈しました。
未来を見据え、アルジェリアにはいくつかの具体的対策が求められます。第一に、キャベツ生産に依存する農家が持続的な生産を行えるよう、気候変動への適応策を強化することです。例えば、抗干ばつ性の高い品種の導入や、水資源を効率的に利用する技術の拡充が重要です。第二に、国際市場における競争力を高めるため、品質管理と輸出インフラの整備を進める必要があります。これには、輸送ルートの強化や冷蔵設備の改善が含まれます。第三に、地域間協力の強化が挙げられます。北アフリカ諸国との共同研究や技術開発を通じて、輸出の安定性を確保しつつ競争力を高めることが期待されます。
まとめとして、キャベツ生産の成長はアルジェリア農業部門の進展を象徴する成功例ですが、その裏には持続可能性という課題も潜んでいます。データの示す成長カーブを維持するためには、国家政策や国際連携が鍵を握るといえるでしょう。FAOデータが示すこれらの統計は、単なる生産の数値的指標に留まらず、今後のアルジェリア農業全体の方向性を考える重要な参考になるといえます。