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アルジェリアのナシ生産量推移(1961年~2023年)

アルジェリアのナシ(梨)生産量は長期的には増加傾向を示しています。特に1970年代後半以降、持続的な成長が見られました。2005年以降は生産量が急増し、2010年にはピークの234,274トンを記録しましたが、それ以降は増減を繰り返しています。2020年以降、生産量は再び減少傾向を見せており、2023年には170,055トンとなっています。このような変動には、気候変動や農業政策などが影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 170,055
3.72% ↑
2022年 163,949
9.46% ↑
2021年 149,780
-3.28% ↓
2020年 154,861
-30.7% ↓
2019年 223,467
11.64% ↑
2018年 200,176
-15.53% ↓
2017年 236,982
11.81% ↑
2016年 211,951
-16.99% ↓
2015年 255,344
11.94% ↑
2014年 228,114
-5.23% ↓
2013年 240,709
13.98% ↑
2012年 211,191
-9.42% ↓
2011年 233,147
-0.48% ↓
2010年 234,274
46.42% ↑
2009年 159,997
-9.58% ↓
2008年 176,957
26.98% ↑
2007年 139,353
-26.44% ↓
2006年 189,430
19.75% ↑
2005年 158,193
18.78% ↑
2004年 133,176
14.66% ↑
2003年 116,144
5.78% ↑
2002年 109,800
18.52% ↑
2001年 92,646
24.9% ↑
2000年 74,176
-9.19% ↓
1999年 81,686
35.84% ↑
1998年 60,132
27.3% ↑
1997年 47,236
-15.36% ↓
1996年 55,810
-4.36% ↓
1995年 58,356
34.99% ↑
1994年 43,231
-16.57% ↓
1993年 51,820
10.1% ↑
1992年 47,067
18.66% ↑
1991年 39,666
62.16% ↑
1990年 24,461
-43.38% ↓
1989年 43,200
24.03% ↑
1988年 34,830
-7.93% ↓
1987年 37,830
27.76% ↑
1986年 29,610
-11.29% ↓
1985年 33,380
19.62% ↑
1984年 27,905
18.03% ↑
1983年 23,643
16.4% ↑
1982年 20,312
-9.84% ↓
1981年 22,529
24.5% ↑
1980年 18,096
23.78% ↑
1979年 14,620
-0.61% ↓
1978年 14,710
-13.27% ↓
1977年 16,960
-5.97% ↓
1976年 18,036
-27.04% ↓
1975年 24,719
59.61% ↑
1974年 15,487
34.46% ↑
1973年 11,518
42.97% ↑
1972年 8,056
-19.25% ↓
1971年 9,977
3.56% ↑
1970年 9,634
-0.5% ↓
1969年 9,682
0.55% ↑
1968年 9,629
7.08% ↑
1967年 8,992
16.54% ↑
1966年 7,716
-4.28% ↓
1965年 8,061
1.56% ↑
1964年 7,937
-11.81% ↓
1963年 9,000
-10% ↓
1962年 10,000
11.11% ↑
1961年 9,000 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新のデータをもとにアルジェリアのナシ生産量を分析すると、その推移にはいくつかの特徴が見られます。1960年代の初頭、ナシの生産量は9,000トン台で推移しており、数年間は安定的な状態が続きました。しかし、徐々に変化が訪れ、1975年以降は生産量が急増しました。この伸びは、1970年代半ばから農業の近代化政策や果樹園の拡張が進められたことが原因とされています。

2000年以降は特に目覚ましい成長が見られ、2004年から2010年の間に生産量が倍増し、2010年には過去最高の234,274トンを記録しました。この強い成長は、灌漑技術の導入、農業インフラの整備、政府の支援制度などが主な要因です。しかし、その後は自然災害や干ばつといった異常気象の影響、また土壌の劣化といった課題が表面化し、生産量の変動が激しくなりました。特に2020年から2021年にかけての生産量減少は顕著で、世界的な気候変動の影響が深刻化していることを示しています。

また、アルジェリアのナシ生産量を他国と比較すると、主要産地である中国やアメリカとは大きな差があります。例えば、2023年における中国のナシ生産量は2000万トンを超え、世界全体の約70%を占めています。これに対し、アルジェリアの数値はそのわずか1%にも満たない状況です。一方で、地域の中では生産量が増加傾向にある点は評価できます。これは、マグリブ地域全体の食料供給においてアルジェリアが一定の役割を果たしていることを意味します。

アルジェリアの地政学的な立地も考慮する必要があります。同国はサハラ砂漠を抱え、水資源の限られた地域です。そのため、農業全般において気候変動の影響をより強く受けやすい環境にあります。さらに、近年の地域紛争や移民問題も、この地域の農業や物流に間接的な影響を及ぼしている可能性があります。

こうした現状を踏まえ、今後アルジェリアが取るべき対策としては、まず気候変動へのさらなる適応が第一に挙げられます。例えば、耐乾燥性の高いナシの品種を導入することや、水管理技術のさらなる向上が急務です。また、栽培面積の効率的な拡大とともに、土壌改良や自然災害への対応システムの構築も重要です。加えて、農業分野における周辺国との地域間協力を強化することも、食料安全保障や経済発展に寄与するでしょう。

結論として、アルジェリアのナシ生産量は過去半世紀で大幅な増加を遂げた一方、近年は停滞や減少が課題となっています。これらの問題に対処するには、地政学的リスクや気候変動の影響を考慮しつつ、持続可能な農業技術の導入、政策の強化、地域間協力の促進が不可欠です。特に国際機関と連携し、資金や技術の共有を進めることで、アルジェリアのナシ生産はさらに成長する可能性があります。