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アルジェリアのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アルジェリアのオリーブ油生産量は、1960年代から2020年までの間に大きな変動を示しつつ、全体的には増加傾向にあります。特に近年、2015年以降の生産量は急増しており、2019年には過去最高となる106,400トン、2020年にはさらに113,600トンに達しました。しかし、2021年には71,000トンに減少し、減産の兆候が見られます。この長期的なデータは、アルジェリアの農業政策や地政学的状況、気候条件の影響を反映しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 71,000
-37.5% ↓
2020年 113,600
6.77% ↑
2019年 106,400
21.88% ↑
2018年 87,300
25.79% ↑
2017年 69,400
-8.32% ↓
2016年 75,700
2.85% ↑
2015年 73,600
40.46% ↑
2014年 52,400
-10.73% ↓
2013年 58,700
21.78% ↑
2012年 48,200
-16.75% ↓
2011年 57,900
45.11% ↑
2010年 39,900
-20.2% ↓
2009年 50,000
37.36% ↑
2008年 36,400
67.01% ↑
2007年 21,795
-31.93% ↓
2006年 32,017
-7.72% ↓
2005年 34,694
-39.77% ↓
2004年 57,600
137.04% ↑
2003年 24,300
8% ↑
2002年 22,500
-14.12% ↓
2001年 26,200
-14.06% ↓
2000年 30,488
-41.58% ↓
1999年 52,188
276.48% ↑
1998年 13,862
-70.05% ↓
1997年 46,289
-1.98% ↓
1996年 47,222
216.76% ↑
1995年 14,908
-34.12% ↓
1994年 22,628
-15.27% ↓
1993年 26,706
-38.4% ↓
1992年 43,357
346.84% ↑
1991年 9,703
-59.21% ↓
1990年 23,786
112.83% ↑
1989年 11,176
-40.58% ↓
1988年 18,810
8.86% ↑
1987年 17,279
-25.96% ↓
1986年 23,337
27.82% ↑
1985年 18,258
62.41% ↑
1984年 11,242
-42.03% ↓
1983年 19,394
-1.01% ↓
1982年 19,591
-19.8% ↓
1981年 24,429
119.67% ↑
1980年 11,121
-47.07% ↓
1979年 21,010
113.28% ↑
1978年 9,851
-9.62% ↓
1977年 10,900
-66.59% ↓
1976年 32,629
30.3% ↑
1975年 25,041 -
1974年 25,040
60.8% ↑
1973年 15,572
-25.76% ↓
1972年 20,976
-6.77% ↓
1971年 22,500
73.08% ↑
1970年 13,000
-39.58% ↓
1969年 21,517
39.81% ↑
1968年 15,390
-20.22% ↓
1967年 19,290
37.79% ↑
1966年 14,000
-18.7% ↓
1965年 17,220
1.29% ↑
1964年 17,000 -
1963年 17,000 -
1962年 17,000
-11.11% ↓
1961年 19,124 -

アルジェリアにおけるオリーブ油の生産推移には、幾つかの重要な特徴があります。初期の1960年代から1990年代までは10,000トン台から30,000トン台の間を大きく上下する不安定な傾向が続き、その後2000年代に入ると徐々に生産量が上昇し始めました。これには、1960年代独立後の経済的な混乱や農業インフラの整備遅れが影響していたと考えられます。特に1966年や1977年など、生産量が10,000トン前後まで激減した年も見られ、これらは主に干ばつや紛争といった地政学的リスクによる影響と推測されます。

一方で、2004年以降は40,000トンを超える年が増え、2015年以降は飛躍的な生産拡大が見られます。これは、政府による農業振興政策の強化、灌漑設備の整備、オリーブ栽培のための補助金支給といったさまざまな施策が奏功した結果と考えられます。また、気候変動や土壌改良技術の進展に伴い、より持続可能な農業が可能になったことも寄与しています。2019年から2020年にかけての大幅な生産増加は特筆すべき成果であり、これはアルジェリアがオリーブ油市場において一定の競争力を持つ可能性を示唆しています。

しかし2021年には71,000トンと大幅に減少しました。この背景には、異常気象や国家的な経済問題、新型コロナウイルスの影響による労働力不足や物流の停滞が挙げられます。この減少は、アルジェリアのオリーブ油産業がいまだ外部要因に対して脆弱であることを示しています。

アルジェリアの国際的な地位を考えると、同じ地中海沿岸の他国とも比較しながら、さらなる市場成長を目指す必要があります。たとえば、スペインやイタリア、ギリシャは世界的なオリーブ油生産の主要国であり、それぞれ年間100万トン超の規模を誇ります。一方で、アルジェリアの生産量は彼らと比べまだ非常に限られています。ただし、世界の他の地域、例えばアメリカ、中国においてはオリーブ油の需要が急激に拡大しており、こうした市場への輸出を視野に入れることで、アルジェリアは大きな成長機会を得られるでしょう。

今後の課題として、第一に、気候変動への長期的な対策が挙げられます。特に乾燥地帯に位置するアルジェリアでは、持続可能な灌漑や耐干ばつ性に優れたオリーブ種の導入が重要です。第二に、国際市場での競争力を高めるため、品質向上と認証制度の整備が必要です。例えば、有機栽培や地理的表示認定を取得することで付加価値を創出することが期待されます。第三に、生産の安定性を確保するため、農家への技術指導や補助金制度を拡充することにより、生産基盤を強化することが肝要です。

また地域間協力を通じ、地中海沿岸諸国との技術交流の促進や共同研究プロジェクトの立ち上げが期待されます。これにより、共通の課題である気候変動や市場拡大を効率的に対処できるでしょう。さらに、経済の近代化と輸出インフラの強化も欠かせません。特に、港湾設備や輸出業者との連携を進めることで、国際オリーブ油市場へのアクセスを改善することができます。

要するに、アルジェリアのオリーブ油産業には明るい展望がある一方で、多くの課題を抱えています。したがって、国としては産業のさらなる振興と安定化を目指した包括的な政策を推進することが求められます。この取り組みが成功すれば、同国は地中海地域を代表するオリーブ油生産国の一つへと成長する可能性を秘めています。