Skip to main content

アルジェリアの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO)が提供した最新データによると、アルジェリアの羊肉生産量は1961年に29,900トンだったのに対し、2023年には360,039トンを記録し、大幅な増加を遂げています。特に1980年代後半からの急増が顕著で、2000年代以降は全体的に安定的な基調で成長しています。この変化は、アルジェリアの国内需要や農業政策、さらには気候変動や紛争の影響も反映している結果と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 360,039
4.38% ↑
2022年 344,937
0.77% ↑
2021年 342,295
2.21% ↑
2020年 334,903
1.77% ↑
2019年 329,090
1.26% ↑
2018年 325,008
-0.03% ↓
2017年 325,114
1% ↑
2016年 321,890
5.83% ↑
2015年 304,155
3.24% ↑
2014年 294,621
5.24% ↑
2013年 279,963
7.18% ↑
2012年 261,198
3.16% ↑
2011年 253,204
23.56% ↑
2010年 204,918
3.91% ↑
2009年 197,200
10.48% ↑
2008年 178,500
-4.55% ↓
2007年 187,000
1.08% ↑
2006年 185,000
3.93% ↑
2005年 178,000
3.31% ↑
2004年 172,300
4.42% ↑
2003年 165,000
0.06% ↑
2002年 164,900
-0.06% ↓
2001年 165,000
0.58% ↑
2000年 164,050
0.51% ↑
1999年 163,224
-2.26% ↓
1998年 167,000 -
1997年 167,000
-6.7% ↓
1996年 179,000
5.29% ↑
1995年 170,000 -
1994年 170,000
0.59% ↑
1993年 169,000
9.03% ↑
1992年 155,000
7.8% ↑
1991年 143,780
7.3% ↑
1990年 134,000
3.88% ↑
1989年 129,000
15.7% ↑
1988年 111,494
4.68% ↑
1987年 106,513
33.81% ↑
1986年 79,600
3.38% ↑
1985年 77,000
-2.53% ↓
1984年 79,000
11.27% ↑
1983年 71,000
-5.5% ↓
1982年 75,131
14.9% ↑
1981年 65,387
5.17% ↑
1980年 62,174
3.28% ↑
1979年 60,200
10.05% ↑
1978年 54,700
5.05% ↑
1977年 52,068
2.09% ↑
1976年 51,000
8.51% ↑
1975年 47,000
5.38% ↑
1974年 44,600
-5.76% ↓
1973年 47,324
5.98% ↑
1972年 44,654
4.43% ↑
1971年 42,760
4.29% ↑
1970年 41,000
8.63% ↑
1969年 37,743
5.15% ↑
1968年 35,895
20.86% ↑
1967年 29,700 -
1966年 29,700
-2.3% ↓
1965年 30,400
-5% ↓
1964年 32,000
14.29% ↑
1963年 28,000
-6.35% ↓
1962年 29,900 -
1961年 29,900 -

アルジェリアの羊肉生産が60年以上にわたり大きな伸びを見せている背景には、複合的な要因が絡み合っています。1960年代には30,000トン前後で推移していた生産量は、1970年代後半から顕著に増加し、1980年代には10万トンを超える規模となりました。この拡大の一因として、経済成長に伴う国内の食肉需要の増加や、農業基盤の発展が挙げられます。1987年には特に大きな伸びを示し、年間生産量が106,513トンから翌年には111,494トンへ、さらに1989年には129,000トンという大幅な上昇が見られます。この時期、アフリカにおける経済的・政治的状況の変化とアルジェリア国内の人口増加が、羊肉に対する需要を押し上げた可能性があります。

また、2000年以降はおおむね安定した成長を続け、2010年代には生産量が20万~30万トンの間で推移しました。この年代の初頭から中盤にかけては、とりわけ2011年から2015年の間で急激な成長が確認されます。2011年の253,204トンから2016年には321,890トンへと増加したことは、アルジェリア政府による食糧自給率向上を目的とした畜産支援策や、養羊業の技術向上が寄与したと考えられます。地域ごとに農業インフラを整備したことも、生産量の拡大に貢献している可能性があります。

しかしこうした拡大の一方で、課題も見過ごせません。まず、気候変動による干ばつや水不足が、アルジェリア全土の農業生産に与える影響は無視できません。羊の飼育に必要な牧草や水供給が制限されることで、持続可能な生産モデルが脅かされるリスクもあるため、こうした問題に対する対策が重要です。さらに、アルジェリアの羊肉生産量がこれほど増加している中で、品質の均質化といった課題もあります。国内市場では、量的拡大に重点が置かれすぎ、品質や衛生管理、輸出市場への対応が遅れている可能性があります。

世界の他国、例えば中国、アメリカ、インドと比較すると、羊肉生産量そのものはアルジェリアを大きく上回るものの、国内消費を優先するケースが多く、アルジェリアの場合も国内市場への供給が主体となっています。一方で、日本や韓国などのアジア諸国では羊肉消費が限定的なため、輸出市場としての需要は依然として限定的です。これを打破するためには、品質向上を図った競争力のある商品づくりが鍵を握るでしょう。

さらに、地域的な地政学リスクや紛争の影響も懸念材料です。アルジェリア周辺地域では、食糧を巡る課題が国境を越えた問題となることがあり、羊肉やその加工品は一部の地域で資源争奪の対象となりうるため、安定供給を維持するための地域協力や国際的な枠組みの構築が求められます。また、新型コロナウイルスのパンデミックが流通や農業労働に与えた負の影響からもわかるように、感染症対策としての生産システムの頑健化が不可欠です。

今後、アルジェリアが持続可能な羊肉生産モデルを築くには、いくつかの具体的な方策が必要です。一例として、牧草や農地の効率的利用を考慮した農業政策のさらなる推進、水不足対策としての灌漑システムの充実、品質向上を目指した羊肉の加工・流通技術の発展が挙げられます。また地域連携を強化し、近隣諸国との協力体制を築くことで、輸出の活性化を視野に入れることもできるでしょう。

結論として、アルジェリアの羊肉生産量は着実に増加しており、国内需要や政策的努力を背景に地位を確立しています。しかし、これを持続可能な成長に結びつけるためには、気候変動、品質管理、輸出市場の開拓といった課題への対応が求められます。各課題に対策を講じることで、アルジェリアは将来にわたり安定した食糧自給と経済的発展を実現できる可能性があります。