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サウジアラビアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、サウジアラビアの牛乳生産量は1961年の約25,000トンから2023年の2,574,317トンまで、長期的な増加傾向を示しています。この期間でおよそ100倍以上の増加を見せており、特に1980年代以降の急激な伸びが特徴です。一方で、2020年をピークにやや減少の傾向も見られ、国内外の課題が潜在していることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,574,317
1.78% ↑
2022年 2,529,181
-2.72% ↓
2021年 2,600,000
0.24% ↑
2020年 2,593,771
8.36% ↑
2019年 2,393,771
15.39% ↑
2018年 2,074,562
-3.91% ↓
2017年 2,159,000
0.98% ↑
2016年 2,138,000
0.99% ↑
2015年 2,117,000
0.81% ↑
2014年 2,100,000
0.72% ↑
2013年 2,085,000
21.76% ↑
2012年 1,712,422
2.04% ↑
2011年 1,678,244
4.63% ↑
2010年 1,603,948
6.34% ↑
2009年 1,508,377
10.07% ↑
2008年 1,370,393
25.14% ↑
2007年 1,095,052
6.18% ↑
2006年 1,031,345
2.31% ↑
2005年 1,008,017
16.33% ↑
2004年 866,507
1.02% ↑
2003年 857,735
3.84% ↑
2002年 826,000
11.92% ↑
2001年 738,000
3.94% ↑
2000年 710,000
18.14% ↑
1999年 601,000
3.41% ↑
1998年 581,182
13.84% ↑
1997年 510,503
12.63% ↑
1996年 453,256
5.88% ↑
1995年 428,103
8.17% ↑
1994年 395,773
13.39% ↑
1993年 349,045
12.57% ↑
1992年 310,057
9.19% ↑
1991年 283,950
0.39% ↑
1990年 282,858
11.37% ↑
1989年 253,989
18.32% ↑
1988年 214,667
5.25% ↑
1987年 203,959
8.52% ↑
1986年 187,944
24.47% ↑
1985年 151,000
30.17% ↑
1984年 116,000
34.88% ↑
1983年 86,000
20.18% ↑
1982年 71,558
5.58% ↑
1981年 67,779
5.9% ↑
1980年 64,000
4.84% ↑
1979年 61,048
8.97% ↑
1978年 56,024
9.85% ↑
1977年 51,000
13.98% ↑
1976年 44,746
15.11% ↑
1975年 38,873
17.8% ↑
1974年 33,000
3.13% ↑
1973年 32,000
3.23% ↑
1972年 31,000
3.33% ↑
1971年 30,000
1.69% ↑
1970年 29,500
1.72% ↑
1969年 29,000
1.75% ↑
1968年 28,500
1.79% ↑
1967年 28,000
1.82% ↑
1966年 27,500
1.85% ↑
1965年 27,000
1.89% ↑
1964年 26,500
1.92% ↑
1963年 26,000
1.96% ↑
1962年 25,500
2% ↑
1961年 25,000 -

サウジアラビアの牛乳生産量は1960年代から2010年代後半にかけて、著しく成長してきました。1960年代から1970年代にかけては緩やかな増加に留まっていましたが、1980年代以降、国家主導の農業近代化政策や技術革新、さらに砂漠地帯でも農業を可能にする灌漑技術の進歩が生産の拡大を後押ししました。この背景には、人口増加や経済発展に伴う国内の乳製品需要の高まりがありました。また、人々の食生活の多様化によって牛乳や乳加工品の消費量が増えたことも、大きな要因です。

特に1984年の116,000トンから1990年の約282,858トンまでの急増は、サウジアラビア政府による農業部門への投資拡大政策の成果を示しています。その後2000年代に入ると生産量はさらに加速し、2008年には1,370,393トン、2010年代にはついに2,000,000トンを突破しました。この成長は国際市場に向けた輸出意識の高まりや、農業における機械化、サプライチェーンの効率化の賜物でもあります。

一方で2020年以降、増加傾向からやや下降または停滞の兆候が見られます。2020年の2,593,771トンから2022年には2,529,181トンまで若干減少しましたが、2023年には若干の回復を示し2,574,317トンとなりました。この変動は、世界的なパンデミックである新型コロナウイルスの影響や、サウジアラビア国内の水資源問題、また国際的な食料価格の高騰など複合的な要因によるものと考えられます。

サウジアラビアの地政学的背景もその農業動態に影響を与えています。同国は砂漠気候に位置し水資源が限られており、灌漑システムや地下水の過剰利用による環境的リスクが問題視されています。さらに、農業生産拡大により肥料や飼料需要が増加し、それが他国からの輸入依存度を高める原因ともなっています。また、中東地域では近年の経済制裁や政治的な不安定要素が農業資源の調達や輸出市場へ与えるリスクも無視できません。

未来に向けた課題としては、まずサステイナブルな農業生産システムの構築が挙げられます。限られた水資源を効率的に活用する技術革新や、再生可能エネルギーを用いた農業施設の導入が求められるでしょう。また、国内農業の環境負荷を軽減するには、飼料の地元調達率向上や、外部依存度の縮小が必要です。さらに乳製品輸出のさらなる拡大には、国際食品安全基準の遵守や、輸送インフラの整備が重要となります。

国際機関や地域間協力の枠組み構築により、サウジアラビアの直面する課題を克服することは可能です。例えば、近隣国との農業技術や水資源管理に関する共同プロジェクトを立ち上げることで、効率的な資源管理が実現できるでしょう。また、国際連合との連携を強化し、持続可能な発展目標(SDGs)に沿った政策を策定することも、有効な手段と言えます。

総じて、サウジアラビアの牛乳生産量推移は驚異的成長を見せてきた一方で、地理的条件や国際市場の動向に大きく影響される依存体質が露呈しています。今後、同国の乳製品部門が持続可能性と経済競争力を両立するためには、これらの課題に向けた本格的な取り組みが求められると言えるでしょう。