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サウジアラビアのブドウ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、サウジアラビアのブドウ生産量は1961年から2023年にかけて大きな変動を見せています。初期段階では年間1万~2万トン台の生産が中心でしたが、1970年代後半以降急激に増加し、1989年には約9万トン、1995年には12万トンを超えました。その後、2000年代の一部で生産量が低下する局面も見られましたが、2008年には16万トン台に達しました。しかしながら、2014年から2018年にかけては急激な減少が見られ、再び2020年代にかけて10万トン台を回復する動きが見られています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 103,466
-6.37% ↓
2022年 110,500
3.85% ↑
2021年 106,400
4.76% ↑
2020年 101,570
-13.66% ↓
2019年 117,639
162.32% ↑
2018年 44,845
0.76% ↑
2017年 44,505
7.46% ↑
2016年 41,413
-2.48% ↓
2015年 42,466
-0.58% ↓
2014年 42,715
-68.24% ↓
2013年 134,484
-0.65% ↓
2012年 135,368
-2.84% ↓
2011年 139,327
0.54% ↑
2010年 138,576
-13.49% ↓
2009年 160,177
-0.83% ↓
2008年 161,516
11.83% ↑
2007年 144,430
6.02% ↑
2006年 136,235
3.07% ↑
2005年 132,175
16.09% ↑
2004年 113,855
17.4% ↑
2003年 96,979
4.82% ↑
2002年 92,520
0.8% ↑
2001年 91,786
-21.38% ↓
2000年 116,745
0.64% ↑
1999年 116,000
-17.73% ↓
1998年 141,000
0.82% ↑
1997年 139,858
6.07% ↑
1996年 131,850
2.04% ↑
1995年 129,212
3.85% ↑
1994年 124,420
3.56% ↑
1993年 120,140
10.16% ↑
1992年 109,057
16.76% ↑
1991年 93,406
-7.72% ↓
1990年 101,218
3.47% ↑
1989年 97,823
5.25% ↑
1988年 92,940
8.67% ↑
1987年 85,525
3.29% ↑
1986年 82,797
3.4% ↑
1985年 80,073
4.29% ↑
1984年 76,777
81.44% ↑
1983年 42,316
-4.19% ↓
1982年 44,166
-27.04% ↓
1981年 60,537
6.77% ↑
1980年 56,699
-9.1% ↓
1979年 62,375
11.63% ↑
1978年 55,877
32.01% ↑
1977年 42,329
1.59% ↑
1976年 41,665
-31.99% ↓
1975年 61,262
99.67% ↑
1974年 30,682
-12.27% ↓
1973年 34,973
21.46% ↑
1972年 28,795
10.75% ↑
1971年 26,000
8.33% ↑
1970年 24,000
9.09% ↑
1969年 22,000 -
1968年 22,000
10% ↑
1967年 20,000
5.26% ↑
1966年 19,000 -
1965年 19,000
5.56% ↑
1964年 18,000
5.88% ↑
1963年 17,000 -
1962年 17,000
6.25% ↑
1961年 16,000 -

サウジアラビアのブドウ生産は、気候や政策、人為的要因に左右される農産物として、その推移が多くの要因に影響されています。1960年代から1970年代にかけてはゆるやかな増加傾向を維持していましたが、1975年に大幅な増加が見られました。この要因の一つとして、当時の農業インフラの整備や、新しい農業政策による灌漑技術の導入などが考えられます。その後も生産量は継続して成長を見せ、1980年代後半から1990年代にかけては、毎年10万トンを超える規模に成長しました。この時期には、国内の農業機械化やブドウ栽培技術の向上が寄与していると推測されます。

一方で、2000年代初頭には生産量がいったん減少に転じています。91,786トン(2001年)や96,979トン(2003年)と落ち込む中で、2004年から再び増加が始まり、2008年には過去最高となる161,516トンを記録しました。この成果は、サウジアラビア政府による農業支持政策や、砂漠地帯での農地開発と関連していると考えられます。しかし、それ以降は再度生産量の浮き沈みが見られる状況でした。

特に注目すべきは2014年の急激な生産量の落ち込みです。この年の生産量は42,715トンと、前年に比べて急激な減少を記録しました。この劇的な変動には干ばつや水不足などの自然要因が影響している可能性があります。また、地域的な紛争や地政学的リスクが農業生産に悪影響を及ぼした可能性も排除できません。その後、2014年から2018年にかけて低迷が続きましたが、2019年に117,639トンまで回復し、コロナ禍の影響を受けた2020年代初頭も比較的安定した10万トン台で推移しています。

この状況を他国と比較すると、サウジアラビアのブドウ生産量は世界最大の輸出国である中国やアメリカ、また他の主要生産国であるイタリアやスペインには遠く及びません。これは、一つには地理的条件が農業に不利であること、また気候の過酷さから持続可能な大規模生産が難しいことが要因として挙げられます。日本と比較しても、サウジアラビアの場合は輸出よりも国内消費向けの需要が高いと考えられます。

課題としては、まず水資源の確保が挙げられます。サウジアラビアは砂漠国であり、慈雨がほとんどないため、作物栽培に大量の人工灌漑を必要とします。このコストが生産量と品質の一部に影響を与えている可能性があります。また、農業労働力の確保や、技術的革新を促進するための投資が不足している可能性もあります。

今後の解決策として、最新の灌漑技術を取り入れることで水資源の利用効率を最大化することや、耐乾燥性の高いブドウ品種の導入を検討することが挙げられます。また、隣接する国々との協力関係を強化し、技術共有や農産物輸出のためのインフラ整備に取り組むことも効果的です。さらに、気候変動への適応を踏まえた長期的な農業政策を策定し、予測される環境変動への対策を準備する必要があるでしょう。

結論として、サウジアラビアのブドウ生産の推移はさまざまな要因に影響されており、特に地政学的リスクや気候変動が今後の課題として浮上しています。持続可能な農業発展のためには、政府や企業による積極的な投資が求められており、国際的な技術協力を通じた課題克服が重要となるでしょう。