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サウジアラビアの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによれば、サウジアラビアの鶏卵生産量は1961年の1,485トンから長期間にわたって増加を続け、2018年には345,000トン、2019年には382,000トンに達しました。2020年以降のパンデミックによる影響などで一部減少する年も見られましたが、2022年には375,000トン、2023年には361,399トンと比較的安定的な水準を維持しています。特に1960年代から1980年代にかけての生産量の急激な伸びが特徴的であり、1974年以降の経済成長や政策変更が大きく影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 361,399
-3.63% ↓
2022年 375,000
4.4% ↑
2021年 359,196
2.63% ↑
2020年 350,000
-8.38% ↓
2019年 382,000
10.72% ↑
2018年 345,000
21.91% ↑
2017年 283,000
1.07% ↑
2016年 280,000
1.82% ↑
2015年 275,000
7.76% ↑
2014年 255,200
7.68% ↑
2013年 237,000
7.63% ↑
2012年 220,200
1.01% ↑
2011年 217,996
-0.59% ↓
2010年 219,283
14.81% ↑
2009年 190,997
12.35% ↑
2008年 169,995
-0.35% ↓
2007年 170,600
7.94% ↑
2006年 158,050
-6.78% ↓
2005年 169,548
16.68% ↑
2004年 145,311
5.76% ↑
2003年 137,400
-0.72% ↓
2002年 138,400
0.29% ↑
2001年 138,000
7.41% ↑
2000年 128,477
-5.27% ↓
1999年 135,626
-0.37% ↓
1998年 136,130
3.58% ↑
1997年 131,424
5.28% ↑
1996年 124,838
-5.1% ↓
1995年 131,549
3.56% ↑
1994年 127,028
2.79% ↑
1993年 123,585
2.66% ↑
1992年 120,387
6.74% ↑
1991年 112,782
-0.41% ↓
1990年 113,246
0.23% ↑
1989年 112,986
9.35% ↑
1988年 103,325
-9.32% ↓
1987年 113,941
-16.83% ↓
1986年 137,000
3.18% ↑
1985年 132,772
28.28% ↑
1984年 103,500
6.15% ↑
1983年 97,500
38.1% ↑
1982年 70,600
40.08% ↑
1981年 50,400
22.71% ↑
1980年 41,072
32.92% ↑
1979年 30,900
12.46% ↑
1978年 27,476
29.39% ↑
1977年 21,235
37% ↑
1976年 15,500
34.78% ↑
1975年 11,500
35.29% ↑
1974年 8,500
35.14% ↑
1973年 6,290
14.36% ↑
1972年 5,500
11.11% ↑
1971年 4,950
16.75% ↑
1970年 4,240
14.29% ↑
1969年 3,710
23.67% ↑
1968年 3,000
20% ↑
1967年 2,500
11.11% ↑
1966年 2,250
12.5% ↑
1965年 2,000
11.11% ↑
1964年 1,800
14.29% ↑
1963年 1,575
2.94% ↑
1962年 1,530
3.03% ↑
1961年 1,485 -

サウジアラビアの鶏卵生産量の推移を見ると、経済と政策の影響を強く受けていることが読み取れます。1961年には1,485トンだった生産量が、1970年代、80年代に急上昇し、1983年には初めて生産量が97,500トンを突破しました。この時期には、石油収入による経済発展の恩恵を受け、農業や畜産に必要なインフラや技術の投資が進んだことが推測されます。また、外部からの専門家や技術の導入も寄与した可能性があります。

ただし、1987年に113,941トンを記録した後、一時的に減少する傾向が見られ、1990年代に入ってから緩やかな増加に転じています。この生産量の変動は、気候条件、輸入飼料価格の変動、あるいは政策の転換などが原因として挙げられるでしょう。加えて、海外からの鶏卵輸入が国内市場に影響を与えた可能性もあります。2000年代以降には再び増加傾向となり、2010年代には大幅な伸びを見せました。特に2018年の345,000トン、2019年の382,000トンが近年のピークとなっており、これは国内市場の需要の高まりのみならず、輸出の可能性も影響していると考えられます。

2020年には新型コロナウイルス感染症の拡大による社会的・経済的な混乱が影響を及ぼし、一時的に生産量が減少しました。この減少は、生産チェーン全体への打撃や輸送制限による影響と関連があると見られます。しかし、その後も生産量は比較的安定しており、2022年の375,000トン、2023年の361,399トンというデータが示すとおり、大規模な減少には至っていません。これらは、鶏卵産業がサウジアラビアの食料安全保障政策の重要な柱であることを物語っています。

今後の課題として、主に輸入に依存している飼料生産の持続可能性や、砂漠地帯特有の厳しい環境条件に対応する技術革新が挙げられます。サウジアラビアはこれまでの経済成長を通じて得た資金を利用し、農業の持続可能な発展にも取り組んでいますが、環境問題や水資源の制約が大きな障害となっています。さらには、地政学的リスクによる貿易や輸入ルートの不確実性も考慮しなければなりません。

具体的な対策として、地域間での技術協力を活発化させることが重要です。例えば、同様の乾燥地域を抱える中東諸国や北アフリカ諸国との協力による耐熱性の高い鶏の品種改良や、効率的な飼料システムの構築が考えられます。また、国内外の投資を呼び込むための法整備や規制緩和も積極的に進めるべきです。そして、国内の市場競争力を高め、輸出品としての品質基準向上を目指すことで国際競争力を高める取り組みが必要です。

結論として、サウジアラビアの鶏卵生産量は過去数十年間、着実に増加してきましたが、気候変動や輸入依存の克服、そして地政学的課題に対応していく必要があります。これにより、食料自給率をさらに向上させ、外部リスクへの耐性を強化することが可能となるでしょう。また、国際的な協力関係を深めることで、より持続可能な生産モデルを確立することが今後の重要な目標です。